トヨタ「アルファード」買うなら「スペアタイヤ」は必須!? なぜオプション装着する人多い? 意外な事情とは?

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スペアタイヤと同時装着できない「ユニバーサルステップ」が伸び悩む?

 トヨタが2023年6月に発売した「アルファード/ヴェルファイア」ですが、発売から7カ月ほど経過した現在、「ユニバーサルステップの装着率が思ったほど高くない」といった想定外の事態が起こっているようです。
 
 その理由にはユーザーにとっては“大切なある事情”が絡んでいました。それは「リセールバリュー」なのですが、どのような背景があるのでしょうか。

トヨタ「アルファード」オプションのスペアタイヤは選ぶべき?

「ユニバーサルステップ」とは、2022年1月にデビューした現行「ノア/ヴォクシー」に続いて現行アルファード/ヴェルファイアに設定されている便利装備のひとつです。

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 スライドドアが開くのに連動して地上約220mmの高さで可動式のステップがせり出し、床と地面の段差を少なくし、乗り降りがしやすくなるというもので、年配の人などが乗るときの乗降性向上を目的に設定されました。このステップはスライドドアを閉じると自動的に格納されます。

 ドアの開閉に連動してせり出したり格納されるステップは他のミニバンにも採用例がありますが、トヨタが用意するユニバーサルステップの魅力は手頃な価格で装着可能な点。

 アルファード/ヴェルファイアでは、左右両側でメーカーオプション価格6万6000円。これは販売店オプションだった従来品(助手席側のみで20万7900円+取り付け工賃)に対して3分の1ほど(助手席側だけで考えれば1/7ほど)と、価格を抑えて設定されています。

 従来品に対して価格を大幅に引き下げることができた理由は作動方法にあり、従来は電動式でしたが、新型は電気仕掛けのない「からくり構造」としているのがポイントです。

 ドアとリンクした構造によってドアの開閉の動きがステップのオープン/クローズを直接おこなうことで、コストダウンを実現。装着すれば、明確に乗り降りが楽になるのですから、この値段ならとても魅力的なアイテムです。

 リーズナブルで便利なユニバーサルステップですが、トヨタの関係者は「想定に対して選ぶ人が少ない」といいます。そしてその理由は意外なところにありました。「スペアタイヤ」です。

アルファード/ヴェルファイアの日本仕様は標準状態でスペアタイヤが備わっておらず、希望すればメーカーオプションとして装着可能(1万4300円)。

 実は、アルファード/ヴェルファイアは従来モデルからスペアタイヤの装着率が高いのですが、その一方でスペアタイヤを選ぶと、前出の、現行モデルで新たに設定されたユニバーサルステップとの同時装着ができません。

 車両の重量が同時装着できない理由だといいますが、そんな背景もありユニバーサルステップの装着率が想定よりも低く留まっているというわけです。

スペアタイヤの有無でリセールバリューが変わるってホント?

 一般的には、昨今はオプションで追加料金を払ってまでスペアタイヤを選択する人の割合はそう高くありません。しかし、なぜアルファード/ヴェルファイアではスペアタイヤが選ばれることが多いのでしょうか。

 もちろん万が一のパンクに備える(スペアタイヤを装着しないとパンク修理キットで応急処置することになる)という人もいますが、それは少数派。多くの人は別のある目的があって選んでいるようです。

 その目的とは、リセールバリューのアップです。アルファード/ヴェルファイアでは車両にスペアタイヤが積んであると、手放すときの査定価格が高くなるというのです。

トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」

 残価設定ローンの基準には反映されていませんが、従来型アルファード/ヴェルファイアにおける経験則から「スペアタイヤがあればリセールバリューが高まる」という情報が広まっているというわけ。

 なぜスペアタイヤがあるとリセールバリューが高まるのかというと、それは海外への中古車輸出の影響です。

 アルファード/ヴェルファイアは海外でも人気で、中古車としても引き合いが多くあります。国や地域によってはスペアタイヤ搭載車が好まれたり、スペアタイヤの搭載が法規で義務付けられている場所もあります。

 つまり、スペアタイヤの装備が輸出時に有利となり、それがリセールバリューに影響することを気にして新車購入時にオプションで装着する人が多いという状況になっているのです。

 ただし、スペアタイヤがあったほうがリセールバリューが高まるというのはあくまで従来モデルでの経験則であり、これから先も必ずしもそうとは限りません。

 もしかするとこれから新型の中古車海外輸出が増えて「スペアタイヤよりもステップがあったほうが良い」というニーズに変化する可能性もゼロではなく、そうなるとリセールバリューはそれに応じて変わることも考えられます。

 クルマを「財産」ではなく「生活を豊かにするための道具」と考えるのであれば、リセールバリューを気にするのではなく、重宝しそうなオプションを選ぶことが正当なオプション選びといえるでしょう。