12年ぶりの復活! もはや「パジェロ」超えの三菱「新型オフロード四駆」登場! 新型「トライトン」に辛口評論家も「感激」しきり!?
ラダーフレームとは思えぬ乗用車ライクな仕上がりに感心!
昨年2023年秋、北海道のテストコースで筆者(自動車評論家 国沢 光宏)がプロトタイプのハンドルを握った時に「これは素性がいいですね!」と感じた新型トライトン。
今回、2024年2月より12年ぶりの国内発売を開始した市販モデルに公道で乗ったら、一段と「いいね!」だった。
新型トライトンに対し、もしリクエストをすることがあるとすれば「3ナンバー仕様も作って欲しい」という点だ。
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1ナンバーだと高速料金が高く車検は毎年。3ナンバー仕様を作ってくれたら全て解決するのに、です。
ともあれ、試乗といきましょう。
試乗車は、ワイドフェンダーや荷台のスタイリングバーなど付く売れ筋の「GSR」グレード。
ボディサイズは、全長5360mm×全幅1930mm×全高1815mm、ホイールベース3130mmとかなりの大柄だ。
自分で買うのなら、使い勝手(特に自宅の車庫)を考え、車幅が65mm狭い「GLS」グレードを選ぶかもしれない。
私はふだん車幅が1900mmのSUVに乗っているが、このあたりの大型サイズにおける65mmの差は案外大きな違いを持つ。
基本性能に大きな違いはないというので、大いに迷ったらいいと思う。
Dレンジをセレクトして走り出すと、最初に感じたのが「これは本当にフレーム構造のクルマなのか」だった。
一般的にフレーム構造のクルマは、路面とハンドルの間にゴムがたくさん挟まった感じになる。
少しばかり誇張して書くと、道路からのインフォメーションが1年遅れて入ってくるのを受け、それに見合ったハンドル操作をすると、タイヤに伝わるまで1年掛かる、みたいなイメージ。
慣れ親しんでいる普通の乗用車と比べると、フレーム構造のクルマはいろんな意味でユルくてダルい感じるケースが多い。
まぁそれが好きという人もいるが、私はドタバタしたりブルブルする乗り心地やステアリングフィールをあまり好まず。
新型トライトンに乗ると、普通の乗用車と全く同じ感覚で運転できることに驚く。新開発のラダーフレームが素晴らしい仕上がりだと感心することしきり。
乗り心地も動力性能も「もはや3ナンバーのSUV」と変わりない!
新型トライトンでもうひとつの「いいね!」が乗り心地にある。
ピックアップトラックの文法通り、新型トライトンはリアサスペンションにリーフスプリングを使う。
リーフスプリングとは、曲がった弾性のある鉄の板を重ねる構造。当然ながら鉄と鉄が摩擦するため、スプリングを使うバネより動きは渋い(フリクションが大きいといいます)。
また小さい入力だと動かないため、通常はどうしてもゴツゴツした突き上げ感の大きい乗り心地になってしまう。
そいつを嫌って減衰力を下げるため、今度は乗り心地悪いのにフワフワするという奇妙な乗り味に陥る。
だからこそリーフスプリングのクルマは、一般に乗り心地が悪いといわれる。
その点、新型トライトンのリーフスプリングは徹底的にフリクションを減らしたという。
極悪路やタイヤが浮くようなモーグル路も試してみたところ、リーフスプリングのフリクションが小さいため、伸び側も縮み側もスムース。
公道試乗時には、カメラマンや編集スタッフ合わせ4人で移動したところ、後席の乗り心地も1ナンバーのピックアップトラックというより「よく出来た3ナンバーの乗用車」的だと後席スタッフの弁。
内装だって乗用車クオリティだ。だからこそ3ナンバー乗用車登録で良いと思う。
ちなみに5人が乗ると荷物スペースはすべて「屋外」になる。濡れたり汚したくない荷物を多く運ぶのなら、GLSにオプション設定されたキャノピーを載せることをオススメする。
動力性能はどうだろうか。
搭載されているのは204馬力の2.4リッターターボディーゼル+6速AT。最大トルクが470Nmと、5リッターのターボ無しガソリンエンジンと同じくらい太い。したがって2100kgと軽くないボディを軽々と走らせる。
イメージとしては、車重1050kgのクルマに2リッター級のトルクを持つエンジン載せたようなもの。その気になってアクセル踏むと、相当イケる走りをする。
今回は公道に加え、激しい登坂や凹凸を含む極悪路の試乗コースも用意されていた。
新型トライトンで驚くのは、多数の路面適合モードを持つこと。ノーマルからロックセクション、雪道まで何と7種類もあり、電子的なトラクションコントロールも付く。
しかも前後タイヤが浮くようなモーグル路面ですら、ベーシックなフルタイム4WDモードのままで走りきれるほど基本的に優れたシャシ性能を持つ。
これに電子制御や、砂地や岩場、深い泥道などそれぞれに対応する路面モード制御を加えたら鬼に金棒だ。
おそらく三菱のエンジニアは、何年もこういったクルマを作りたかったんだと思う。でもチャンスがなかった。
新型トライトンの開発にあたり「これでもか」というほどの情熱を注ぎ込んだに違いない。
コンディションの悪い道をワシワシ走って行く新型トライトンのハンドルを握っていたら、このクルマを開発した人の気持ちが伝わってきて、少し感激してしまった。クルマって楽しいとつくづく感じる。
新型トライトン、もっともっと誉めたいところはあるけれど、今回はこのくらいにしておきましょう。