環七〜環八のあいだに「練馬〜世田谷」南北道路の計画が!? 「中杉通り」の延伸いつ完成? 壮大な「環7.5」構想どこまで進んだのか

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環八と環七のあいだの「南北道路空白地帯」の貴重な南北軸 将来は?

 東京の環状道路、環八通りと環七通りのあいだは、練馬区・中野区・杉並区・世田谷区にわたって、住宅地が密集しています。
 
 どこへ行くにも細い路地ばかりのなか、一応の「南北軸」としてネットワーク的に機能している2車線道路が都道427号線「中杉通り」です。
 
 この道路、どこからどこまで伸びているのでしょうか。また将来的に、どこまで延伸する計画なのでしょうか。

一部が都市計画道路として完成済みの「中杉通り」(画像:東京都)。

 現時点で「中杉通り」と呼ばれる南北の道路のルートを見てみましょう。北端は「目白通り」の貫井地区(西武池袋線・中村橋駅の北側)です。

【画像】超便利!? 「中杉通り」壮大な計画ルートと開通状況を見る(地図)(30枚以上)

 そこからまっすぐ南下し、西武新宿線の鷺ノ宮駅を経由して、早稲田通りでは阿佐谷北六丁目交差点、JR阿佐ヶ谷駅を経て、青梅街道の杉並区役所前交差点(丸ノ内線の南阿佐ヶ谷駅)に突き当たって、約5kmの南北道路は終わります。

 中村橋・鷺ノ宮周辺で狭いものの、その他の区間はおおむね、都市計画道路たる、余裕ある歩道と路肩が確保された2車線道路となっています。生活道路の雰囲気はいなめず混雑していますが、住民の南北道路を支える貴重な南北軸です。

 その「環7.5」とでも言うような中杉通りですが、阿佐ヶ谷からさらに都市計画道路「補助第133号線」が設定されています。

 補助第133号線は、終戦後すぐに都市計画決定された、環七・環八などと同期の1947年告示の「一期生」であるという古い歴史を持ちます。

 計画ルートは、京王井の頭線の西永福駅を経て、京王線の桜上水駅、小田急の経堂駅をむすび、最終的に世田谷区の世田谷通り(東京農大、馬事公苑前)へ到達します。

 さらに、練馬貫井から北にも計画があり、東武東上線の下赤塚駅付近へ至ることになっています。

 さて、総延長16kmにもおよぶ南北道路「補助第133号線」のうち、どこが実際に進んでいるのでしょうか。工区ごとに見ていきます。

開通しそうな区間はどこ?

 まず、開通済みの中杉通りでも、狭い現道を拡幅・バイパスする計画が進行中です。
●中村南工区(用地取得中)

 西武池袋線の南側、千川通り〜新青梅街道で約1.1kmの拡幅・バイパス計画が事業化済み。中村橋駅東側の大通りが、そのまま南へ延伸する形です。2023年時点で用地取得率は約20%。着々と現場が進んでいます。そこからさらに南側、鷺ノ宮駅北側までも優先して事業化すべき区間とされています。

●鷺ノ宮駅南側(用地取得中)

 西武新宿線の南側で約700mのバイパス計画が事業化済み。2023年時点で用地取得率は約19%。着々と現場が進んでいます。

 次に、道路がまだ存在していない延伸部のうち、以下が準備中もしくは優先整備路線となっています。
●目白通り〜練馬春日町(事業化予定)

 2024年度の事業認可をめざし、用地測量など準備が進められています。旧「としまえん」の西端をかすめて北上し、春日町の東西道路(大江戸線の地上道路)に接続する、延長約1240mの計画です。

●青梅街道〜五日市街道(成田東工区)(事業化準備中)

 こちらも都の「第四次事業化計画」に指定され「おおむね2025年度末までに優先的に整備すべき」区間となっていて、事業化をめざし、用地測量が2022年から進められています。

 延長は約890m。狭い路地が密集しているエリアに、歩道付きの南北道路を整備することで、抜け道交通と歩行者との分離を図り、緊急車両がスムーズに通行できるようにします。

●甲州街道(桜上水)〜経堂

 もうひとつの「第四次事業化計画」の指定区間がここです。環七〜環八で約4kmにわたって「南北道路空白地帯」となっていて、生活車両も緊急車両もまともな南北移動が困難です。中間部で「第四次」に指定されている南北道路はこの都市計画道路だけです。

 こちらは成田東工区とは対称的に、事業化に向けた動きはほぼ皆無。世田谷区の公式ページに目立った情報は無く、区議会で議論された形跡もありません。

 もっとも、南端で接続するはずの東西道路「補助第52号線」も、やはり「第四次」指定ながら動きが特にありません。この道路は渋谷から西進する「淡島通り」の延長線上で、東急世田谷線を超えた宮坂工区までが事業化済みです。

 この宮坂工区が進捗し、さらに先の経堂方面へ事業化の機運が高まれば、それに合わせて「中杉通り」も経堂まで事業化の話が進むのかもしれません。