国交省「Projectプラトー」3D都市モデル/デジタルツイン活用コンテスト「PLATEAU AWARD 2023」開催 グランプリ受賞作は・・
国土交通省が、3D都市モデルの整備・活⽤・オープンデータ化の取組みとして2020年度から実施している「Project PLATEAU」(プラトー)を活用した開発技術とアイディアを競う「PLATEAU AWARD 2023」決勝(最終審査会)を、2023年2月24日(土)に東京ポートシティ竹芝ポートスタジオで開催した。
プレゼン会場の様子
プレゼンの例(スカイランナー 高層の冒険者 : KND-3さんの作品)
グランプリは賞金100万円。ほかに部門賞が5作品が選出され、それぞれ15万円が贈呈される。また、当日急遽、逆激励賞が追加された。
●一次審査を見事突破し、決勝に残ったファナリストは12チーム
3D都市モデルを使ってどんなイノベーションが生まれるのか、第2回目となる「PLATEAU AWARD」は、まだ見ぬサービスやビジネス、あるべき都市や暮らしの未来像につながる取り組み、それらを支える先進的なソフトウェアや開発技術のプレゼンテーションと、質疑応答が行われ、6名の審査員によって最終審査が行われ、グランプリほか各部門賞が発表された。
■ファイナリスト12チームの紹介動画:
●ファイナリスト12作品
●グランプリは「PlateauKit+ PlateauLab」
ロボスタ編集部の印象では、今回の決勝大会は、思ったよりも開発ツール関連の作品が多く感じた。グランプリを受賞した「PlateauKit+ PlateauLab」(小関健太郎さんの作品)も「都市空間プログラミングのためのPythonライブラリとコーディング環境」と銘打ったツール。
PLATEAUの都市モデルをPythonからシームレスに利用できるようにする、ライブラリとコーディング環境をプレゼンした。質疑応答では審査員から「すぐにでも使ってみたい」という意見や、ジオメトリーとセマンテック情報の取扱い、JSONでの属性の扱い方など、技術的な内容の質問が多かった。
グランプリを受賞した小関健太郎さん。本業は東京大学で哲学の研究をしている(博士/哲学、修士/工学)。デジタルツインとオープンデータなどに興味があるという。前回「PLATEAU AWARD 2022」もファイナリストとして登壇した。
●部門賞
イノベーション賞:
東京大学 相澤研究室 360-CV班さんの「360°歩行映像のPLATEAUへの動的なプロジェクションと洪水可視化-Floodeau-への応用」が受賞。360度カメラ映像で撮った都市の景色をPLATEAUの3D都市データのテクスチュアとして使用できる画期的なツール。ロボスタ編集部のお気に入りの作品。
エモーション賞:
おなかソフト(伊藤 周)さんのランニングVRアプリ「Beat Running over the city」。VRゴーグルに加えて、ランニングマシン(トレッドミル)を持ち込み、実際に走りながらデモが行われ、会場内は騒然となった。
データ活用賞:
株式会社大林組さんの「PLATEAU DIPS-4D」が受賞した。PLATEAUを活用したドローン運用の情報プラットフォームで、ドローンの飛行経路計画(DIPS)や飛行規制領域の3D表示、飛行申請の情報共有(複数のドローンが飛び交うようになった場合の事故を避ける飛行経路の策定など)を行うことかできる。大手企業らしく、将来、ドローンが活用される未来を想定した運用と、街のデータにPLATEAUの3D表示を使って活用している面白い作品となっていた。
UI/UXデザイン賞:
九州産業大学 合志研究室さんの「安全運転学習用 Unity版ドライビングシミュレータ 「ぷらっとドライブ in 沼津」」が受賞。
PLATEAUユース賞:
今回から新設された賞で、将来の展望を見据えて、学生を対象にしたPLATEAU賞。KND-3さんの「スカイランナー 高層の冒険者」が受賞した。PLATEAUの3D都市モデルを使った東京と京都を舞台にして、高い場所にパルクールのように上がっていくアクションゲーム。いろいろなアイテムが降ってきて、東京版では東京の名物・名産品なら降ってくるアイテムを利用してジャンプして跳ね上がることができる。デザイン性に優れていて、キャラクターや名産品のアイテムなどにも注目が集まり、評価された。
PLATEAU賞:
IRODUKURIさんの「Machi Plus」が受賞した。PLATEAUではまだまだテクスチュアを貼ったリアルな3Dモデルの地域は少ない。そこをユーザー達で補完して、自分の街を写真にとって、テクスチュアとしてPLATEAUの3Dデータに活用しようというもの。建物の屋根は航空写真の地図データからもインポートできる。
逆激励賞:
「逆激励賞」は、審査員が「逆に」「激励をもらう」ような刺激を受けた、として、Sagar Patelさんの「Scaling up PLATEAU」が受賞した。重くて遅く、贅沢にメモリを食うPLATEAUのデータをUNITYで如何にクラッシュなく、軽く動作させるようにするか、軽くすることでこんなこともできる、ということをデモで示し、開発者や審査員の一部から驚きの声が上がった。
●最終審査会とデモの様子は後日、PLATEAU公式サイトで公開
記事ではそれぞれの作品の良さはほとんど伝わらないと思う。実際のデモや動画を観るのが一番なので、後日、PLATEAUの公式サイトで公開されるだろう最終審査会とデモの動画を心待ちにして欲しい。
●審査員の方たち
「PLATEAU AWARD 2023」の審査員は下記の通り。千代⽥まどかさんは、仕事の都合でオンラインでの参加となった。
齋藤精⼀氏:
パノラマティクス主宰 審査委員長
1975年 神奈川県⽣まれ。建築デザインをコロンビア⼤学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。Omnicom Group 傘下のArnell Group にてクリエイティブ職に携わり、2003 年の越後妻有アートトリエンナーレでのアーティスト選出を機に帰国。
2006年株式会社ライゾマティクス(現:株式会社アブストラクトエンジン)を設⽴。社内アーキテクチャー部⾨『パノラマティクス』を率い、現在では⾏政や企業などの企画、実装アドバイザーも数多く⾏う。 2023年グッドデザイン賞審査委員委員⻑。2025年⼤阪・関⻄万博EXPO 共創プログラムディレクター。2023 年 D&AD 賞 デジタルデザイン部⾨審査部⾨⻑。
川⽥ ⼗夢氏:
開発者/AR三兄弟 ⻑男
1976年熊本県⽣まれ。10年間のミシンメーカー勤務で特許開発に従事したあと、やまだかつてない開発ユニットAR三兄弟の⻑男として活動。博物館からブラックホール、芸術から芸能に⾄るまで。多岐にわたる拡張を⼿掛ける。WIREDでは2011年に再刊⾏されたvol.1から特集や連載で寄稿を続けており、10 年続いたTVBros.での連載は2020 年に『拡張現実的』として発売。毎週⾦曜⽇20時からJ-WAVE『INNOVATION WORLD』が放送中。新会社(tecture)では、建築分野の拡張を⽬論んでいる。
千代⽥ まどか氏:ちょまど:
IT エンジニア兼漫画家
某⼤⼿外資系IT企業にてCloud Developer Advocateとして楽しく働いている。ツイッターが⼤好きでフォロワーは約10万⼈。⼥性 ITエンジニアコミュニティCodePolarisオーガナイザー。
⼩林 巌⽣氏:
Code for YOKOKOHAMA 共同代表
情報アーキテクト。まちづくり×ICTをテーマに活動。オープンデータ関連技術研究開発およびその普及活動を通じて、政府や⾃治体、公共機関のオープンデータ施策の⽀援を⾏う。テクノロジー活⽤で地域の課題解決を⽬指す活動 Code for YOKOKOHAMA を⽴ち上げ、同代表を務める。他、インフォ・ラウンジ株式会社副社⻑、特定⾮営利活動法⼈リンクト・オープン・データ・イニシアティブ副理事⻑。
松⽥ 聖⼤氏:
Takram Japan 株式会社 デザインエンジニア/ディレクター
インタフェースデザインからソフトウェアエンジニアリング、プロダクトデザインなどを⼿がける。1986年京都⽣まれ。⽂字の技術に興味を持ち、デジタルタイポグラフィにおいて未踏IT⼈材発掘・育成事業スーパークリエータ認定。慶応義塾⼤学環境情報学部卒業。東京⼤学⼤学院学際情報学府中退。⼤学研究員、ITスタートアップなどを経て、2013年よりTakramに参加。主なプロジェクトに「TAMRON New SP Series」のプロダクトデザイン、地域経済分析システム「RESAS」のプロトタイピング、地域未来牽引企業の可視化「LEDIX」のデザイン・開発、freeeのリブランディング、受賞歴としてグッドデザイン賞、Red Dot Design Award、iF Design Awardなどがある。
内⼭ 裕弥氏:
国⼟交通省 総合政策局 情報政策課 IT 戦略企画調整官 / 都市局 都市政策課 デジタル情報活⽤推進室
⾸都⼤学東京、東京⼤学公共政策⼤学院で法哲学を学び、2013 年に国⼟交通省へ⼊省。 国家公務員として、防災、航空、都市など国⼟交通省の幅広い分野の政策に携わる。法律職事務官として法案の企画⽴案に⻑く従事する⼀⽅、⼤⾂秘書官補時代は政務も経験。2020年からはProject PLATEAU のディレクターとして新規政策の⽴ち上げから実装まで深くコミット。
MCは伴野智樹氏と加茂春菜氏が担当:
プレゼン会場の様子
プレゼンの例(スカイランナー 高層の冒険者 : KND-3さんの作品)
●一次審査を見事突破し、決勝に残ったファナリストは12チーム
3D都市モデルを使ってどんなイノベーションが生まれるのか、第2回目となる「PLATEAU AWARD」は、まだ見ぬサービスやビジネス、あるべき都市や暮らしの未来像につながる取り組み、それらを支える先進的なソフトウェアや開発技術のプレゼンテーションと、質疑応答が行われ、6名の審査員によって最終審査が行われ、グランプリほか各部門賞が発表された。
■ファイナリスト12チームの紹介動画:
●ファイナリスト12作品
●グランプリは「PlateauKit+ PlateauLab」
ロボスタ編集部の印象では、今回の決勝大会は、思ったよりも開発ツール関連の作品が多く感じた。グランプリを受賞した「PlateauKit+ PlateauLab」(小関健太郎さんの作品)も「都市空間プログラミングのためのPythonライブラリとコーディング環境」と銘打ったツール。
PLATEAUの都市モデルをPythonからシームレスに利用できるようにする、ライブラリとコーディング環境をプレゼンした。質疑応答では審査員から「すぐにでも使ってみたい」という意見や、ジオメトリーとセマンテック情報の取扱い、JSONでの属性の扱い方など、技術的な内容の質問が多かった。
グランプリを受賞した小関健太郎さん。本業は東京大学で哲学の研究をしている(博士/哲学、修士/工学)。デジタルツインとオープンデータなどに興味があるという。前回「PLATEAU AWARD 2022」もファイナリストとして登壇した。
●部門賞
イノベーション賞:
東京大学 相澤研究室 360-CV班さんの「360°歩行映像のPLATEAUへの動的なプロジェクションと洪水可視化-Floodeau-への応用」が受賞。360度カメラ映像で撮った都市の景色をPLATEAUの3D都市データのテクスチュアとして使用できる画期的なツール。ロボスタ編集部のお気に入りの作品。
エモーション賞:
おなかソフト(伊藤 周)さんのランニングVRアプリ「Beat Running over the city」。VRゴーグルに加えて、ランニングマシン(トレッドミル)を持ち込み、実際に走りながらデモが行われ、会場内は騒然となった。
データ活用賞:
株式会社大林組さんの「PLATEAU DIPS-4D」が受賞した。PLATEAUを活用したドローン運用の情報プラットフォームで、ドローンの飛行経路計画(DIPS)や飛行規制領域の3D表示、飛行申請の情報共有(複数のドローンが飛び交うようになった場合の事故を避ける飛行経路の策定など)を行うことかできる。大手企業らしく、将来、ドローンが活用される未来を想定した運用と、街のデータにPLATEAUの3D表示を使って活用している面白い作品となっていた。
UI/UXデザイン賞:
九州産業大学 合志研究室さんの「安全運転学習用 Unity版ドライビングシミュレータ 「ぷらっとドライブ in 沼津」」が受賞。
PLATEAUユース賞:
今回から新設された賞で、将来の展望を見据えて、学生を対象にしたPLATEAU賞。KND-3さんの「スカイランナー 高層の冒険者」が受賞した。PLATEAUの3D都市モデルを使った東京と京都を舞台にして、高い場所にパルクールのように上がっていくアクションゲーム。いろいろなアイテムが降ってきて、東京版では東京の名物・名産品なら降ってくるアイテムを利用してジャンプして跳ね上がることができる。デザイン性に優れていて、キャラクターや名産品のアイテムなどにも注目が集まり、評価された。
PLATEAU賞:
IRODUKURIさんの「Machi Plus」が受賞した。PLATEAUではまだまだテクスチュアを貼ったリアルな3Dモデルの地域は少ない。そこをユーザー達で補完して、自分の街を写真にとって、テクスチュアとしてPLATEAUの3Dデータに活用しようというもの。建物の屋根は航空写真の地図データからもインポートできる。
逆激励賞:
「逆激励賞」は、審査員が「逆に」「激励をもらう」ような刺激を受けた、として、Sagar Patelさんの「Scaling up PLATEAU」が受賞した。重くて遅く、贅沢にメモリを食うPLATEAUのデータをUNITYで如何にクラッシュなく、軽く動作させるようにするか、軽くすることでこんなこともできる、ということをデモで示し、開発者や審査員の一部から驚きの声が上がった。
●最終審査会とデモの様子は後日、PLATEAU公式サイトで公開
記事ではそれぞれの作品の良さはほとんど伝わらないと思う。実際のデモや動画を観るのが一番なので、後日、PLATEAUの公式サイトで公開されるだろう最終審査会とデモの動画を心待ちにして欲しい。
●審査員の方たち
「PLATEAU AWARD 2023」の審査員は下記の通り。千代⽥まどかさんは、仕事の都合でオンラインでの参加となった。
齋藤精⼀氏:
パノラマティクス主宰 審査委員長
1975年 神奈川県⽣まれ。建築デザインをコロンビア⼤学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。Omnicom Group 傘下のArnell Group にてクリエイティブ職に携わり、2003 年の越後妻有アートトリエンナーレでのアーティスト選出を機に帰国。
2006年株式会社ライゾマティクス(現:株式会社アブストラクトエンジン)を設⽴。社内アーキテクチャー部⾨『パノラマティクス』を率い、現在では⾏政や企業などの企画、実装アドバイザーも数多く⾏う。 2023年グッドデザイン賞審査委員委員⻑。2025年⼤阪・関⻄万博EXPO 共創プログラムディレクター。2023 年 D&AD 賞 デジタルデザイン部⾨審査部⾨⻑。
川⽥ ⼗夢氏:
開発者/AR三兄弟 ⻑男
1976年熊本県⽣まれ。10年間のミシンメーカー勤務で特許開発に従事したあと、やまだかつてない開発ユニットAR三兄弟の⻑男として活動。博物館からブラックホール、芸術から芸能に⾄るまで。多岐にわたる拡張を⼿掛ける。WIREDでは2011年に再刊⾏されたvol.1から特集や連載で寄稿を続けており、10 年続いたTVBros.での連載は2020 年に『拡張現実的』として発売。毎週⾦曜⽇20時からJ-WAVE『INNOVATION WORLD』が放送中。新会社(tecture)では、建築分野の拡張を⽬論んでいる。
千代⽥ まどか氏:ちょまど:
IT エンジニア兼漫画家
某⼤⼿外資系IT企業にてCloud Developer Advocateとして楽しく働いている。ツイッターが⼤好きでフォロワーは約10万⼈。⼥性 ITエンジニアコミュニティCodePolarisオーガナイザー。
⼩林 巌⽣氏:
Code for YOKOKOHAMA 共同代表
情報アーキテクト。まちづくり×ICTをテーマに活動。オープンデータ関連技術研究開発およびその普及活動を通じて、政府や⾃治体、公共機関のオープンデータ施策の⽀援を⾏う。テクノロジー活⽤で地域の課題解決を⽬指す活動 Code for YOKOKOHAMA を⽴ち上げ、同代表を務める。他、インフォ・ラウンジ株式会社副社⻑、特定⾮営利活動法⼈リンクト・オープン・データ・イニシアティブ副理事⻑。
松⽥ 聖⼤氏:
Takram Japan 株式会社 デザインエンジニア/ディレクター
インタフェースデザインからソフトウェアエンジニアリング、プロダクトデザインなどを⼿がける。1986年京都⽣まれ。⽂字の技術に興味を持ち、デジタルタイポグラフィにおいて未踏IT⼈材発掘・育成事業スーパークリエータ認定。慶応義塾⼤学環境情報学部卒業。東京⼤学⼤学院学際情報学府中退。⼤学研究員、ITスタートアップなどを経て、2013年よりTakramに参加。主なプロジェクトに「TAMRON New SP Series」のプロダクトデザイン、地域経済分析システム「RESAS」のプロトタイピング、地域未来牽引企業の可視化「LEDIX」のデザイン・開発、freeeのリブランディング、受賞歴としてグッドデザイン賞、Red Dot Design Award、iF Design Awardなどがある。
内⼭ 裕弥氏:
国⼟交通省 総合政策局 情報政策課 IT 戦略企画調整官 / 都市局 都市政策課 デジタル情報活⽤推進室
⾸都⼤学東京、東京⼤学公共政策⼤学院で法哲学を学び、2013 年に国⼟交通省へ⼊省。 国家公務員として、防災、航空、都市など国⼟交通省の幅広い分野の政策に携わる。法律職事務官として法案の企画⽴案に⻑く従事する⼀⽅、⼤⾂秘書官補時代は政務も経験。2020年からはProject PLATEAU のディレクターとして新規政策の⽴ち上げから実装まで深くコミット。
MCは伴野智樹氏と加茂春菜氏が担当: