ANA系新ブランド「AirJapan」初便でバンコクへ行ってみた【搭乗レポート】
ANAホールディングス傘下の中距離国際線の新ブランド「AirJapan(エアージャパン)」が2月9日、東京/成田〜バンコク/スワンナプーム線(NQ1便)を開設。今回はその記念すべき初便の機内の様子などを紹介する。
NQ1便のチェックインは、成田空港第1ターミナルの南ウィングEカウンターを使用。午後5時55分発というスケジュールとなっているため、筆者は午後3時30分頃にカウンターでチェックインを行った。
その時点では十数人ほどがカウンター前に並んでいたものの、手続自体はスムーズに進められており、15分ほど並んだだけでチェックインができた。
搭乗口は51番ゲート。ゲートでは初便就航に合わせて記念式典が開かれており、その模様は別記事にてレポートされているが、津軽三味線奏者の山下靖喬さんによる生演奏もあり、華やかな様子だった。
搭乗開始は予定よりも5分ほど遅れた午後5時30分頃にスタート。NQ1便はボーイング787-8型機を使用しており、全席エコノミーで314席という仕様で、搭乗者数は310人とほぼ満席の状態。そのため、全員が搭乗するまでにやや時間かかり、定刻よりも26分ほど遅れた午後6時21分にブロックアウト、午後6時48分の離陸となった。
今回の座席は機体後方の中央ブロック「36D」。AirJapanのボーイング787-8型機は、L2-R2ドア付近にあったバーコーナーとL3-R3ドア付近のギャレーを撤去しているため、後方に座ると前方の抜けが良く機内を広く感じ開放感のある印象。
ちなみに36Dから38Dの頭上にあるオーバーヘッドビンは機材収納のため使用不可となっていたので、AirJapanで座席指定をする際は参考にしてほしい。
AirJapanイチオシのポイントは座席。シートピッチは32インチとフルサービスキャリアのエコノミークラスと同等で、実際に座ってみると176cmの筆者でも足下に余裕がある感じで座りやすい。成田からバンコクへはFSCだけでなくLCCでも何度か体験があるが、シートに関しては確実にLCCよりも上だ。
またヘッドレストがあるのもうれしいポイント。NQ1便はバンコクに深夜23:15着で、復路のNQ1便はバンコク発0時15分発と深夜帯のため機内で寝ておきたいところ。シートで睡眠をとる場合、頭を固定したほうが寝やすいので、ヘッドレストがあるとネックピローを持ち込まなくてもすむので、荷物を軽くできてありがたい。
座席には電源コンセントこそないものの、座席背面の上部左側に充電用のUSBをType-AとType-Cとそれぞれ2ポート配置している。Type-Cの出力は最大27Wなので、高速充電に対応しているスマートフォンなどは、充電時間があまりかからない。ちなみに試してみたところ、Type-AとType-Cの同時使用も可能だった。
USB充電ポートのすぐ隣に、スマートフォンやタブレット用の小型テーブルもあり、大型のタブレットはフックで固定できるようになっているため、飛行機が揺れても落ちないので安心。充電ポートが近いこともあり、短めのケーブルでも充電しながら使用できる。
機内Wi-Fiサービスも提供しているが、動画などのエンターテイメントや機内食などを販売するアクセスポイント(AJX-Inflight-Service)と、インターネットを接続するアクセスポイント(Air Japan WIFI Service)の2種類がある。そのため機内サービスのアクセスポイントに接続しているとインターネットには接続できず、インターネットに接続していると、機内サービスのウェブページへはアクセスできないため若干戸惑う。
離陸後、安定飛行に入ると機内の照明はコーポレートカラーの曙色をイメージしたような暖色に。その後の機長からのフライトと初便に関するアナウンスのあとには、客室内から拍手が起こるといった、客室内全体でAirJapanの初便をお祝いする温かい雰囲気となっていた。
機内食のサービスは離陸から約1時間後にスタート。アナウンスでは事前に機内食をオーダーした人からのサーブとなっていたが、初便ということもあり目算で7割以上の乗客がオーダーしていたようで、ほぼ順番に全席へと提供している様子だった。
今回は機内取材ということもあり、19種類のメニューの中から事前に「ふわとろ卵の炭火焼親子丼」(1,600円)と「寿司ものがたり」(2,000円)をオーダー。
「ふわとろ卵の炭火焼親子丼」はその名のとおり、出汁のきいたふわとろの卵が絶品で、ジューシーな鶏肉とご飯によく合っていた。
「寿司ものがたり」はにぎりのほか、手まりや稲荷などバラエティー豊富な寿司が9貫入っており、小ぶりの握りなので機内でも食べやすいのがうれしい。
ちなみに機内食を提供しているケータリング会社からは、初便を記念してクルーにケーキがプレゼントされていた。
機内食は在庫があるメニューに関しては機内からもオーダー可能。前述のWi-Fiサービスに接続してオーダーできるようになっており、残りの個数も記されているので分かりやすい。
スナックやドリンクも同じくWi-Fiサービスから注文でき、乗務員への直接オーダーもできる。また決済端末は、クレジットカードのタッチ決済にも対応しており、スマートフォンでのクレジットカードタッチ決済での支払いも可能だった。
バンコク到着まで約1時間というタイミングで機内の照明が、同じくコーポレートカラーの藍色をイメージしたブルーの寒色系カラーに変わった。
バンコク・スワンナプーム国際空港には現地時刻午後11時34分着陸と約20分遅れで着陸し、D7ゲートへと到着。
ゲートには折り返しでバンコクからの初便となるNQ2便(バンコク発午前0時15分発)を待つ多くの乗客の姿がガラス越しながら見られた。
クルーの撮影や入国審査に30分ほど時間を要したため、到着ロビーに出たのは現地時刻の午前11時頃。空港直結の鉄道「エアポートレイルリンク」は午前0時頃が終電のため、深夜の到着も多いスワンナプーム国際空港の混雑具合から考えると、定刻に到着してもエアポートレイルリンクを利用するのは難しそうなため、タクシーかライドシェアのGrabを使って街中へ移動するのがベターだ。
AirJapanが推す広めのシートピッチに開放感のある機内レイアウトが相まって、カラダの疲れをあまり感じず、かなり快適な移動ができた。バンコク便は他社から、そして日本各地からも多くの便が就航しており、旅好きのリピーターも多くアクセスしている就航地。そんなバンコクに、機内サービスだけでなく片道でチケットを購入しやすいカスタマイザブルな新しいブランドが就航することで、インバウンド・アウトバウンドも含めて今後大いに期待できる路線となりそうだ。(取材協力:AirJapan)