毎朝の◯◯が“要介護”にならない秘訣!?医師が教える「元気に長生きできる食事術」とは
医療技術が発達し、平均寿命がどんどん伸びている近年。でも、元気に長生きできる人もいれば、介護が必要になってしまう人もいます。90歳まで元気に長生きするには、食生活がとても大切。そこで今回は、佐賀県の女性の健康寿命全国1位に貢献した鎌田實医師による著書『医師のぼくが50年かけてたどりついた鎌田式長生き食事術』(アスコム)から、元気に長生きできる食生活のヒントを少しだけお届けします。
“要介護”にならないために!
たんぱく質いっぱいの生活=「たん活」をしよう
40歳を過ぎると、毎年1%ずつ筋肉が減っていくといわれています。そうなると怖いのが、フレイルです。
フレイルとは、筋肉のおとろえにより心身の働きが弱くなった「虚弱」の状態で、 歳以上の8.7%がフレイル、40.8%がプレフレイル(フレイル予備軍)というデータもあるほど身近な症状(※)。じつに、65歳以上の方の半分が、筋肉に不安がある状態なのです。
フレイルを放っておけば、要介護へまっしぐら。とくに女性はフレイルの割合が高いため、筋肉の材料であるたんぱく質を積極的にとる必要があります。
たんぱく質をしっかりとること、すなわち「たん活」は、鎌田式食事術の基本にして極意。とくに、朝のたんぱく質は効率よく筋肉に変わってくれます。ぼくはこれを「朝たん」と名づけ、全国に広めていきたいと思っています。
筋肉の長生き 3大原則
1.朝のたんぱく質で 「朝たん」生活
2.たんぱく質は1日に体重×1.2g
3.たんぱく質は3食+αで「こまめに」とる
筋肉を増やす朝たん生活におすすめ!
鎌田式みそ玉
一度に体に吸収できるたんぱく質の量は限られています。だから、やみくもにたんぱく質をとっても、邪魔なものとして体の外に排出されてしまいます。大切なのは、3食の中でバランスよくたんぱく質をとること。とりわけ重要なのが、朝のたんぱく質、略して「朝たん」です。
高齢女性を対象とした調査では、夕食よりも朝食にたんぱく質を多くとった人のほうが、骨格筋指数や握力が高いという報告があり、これには体内時計がかかわっていると考えられています。だから、朝食抜きというのが一番いけません。
ところが、日本人の3食のたんぱく量の割合は、若者から大人まで、夕食がもっとも高く、朝食はその半分程度。この朝と夜のたんぱく量の割合を逆にするだけで、効率よく筋肉をつけ、フレイル予防につなげることができます。
朝たんの最強の味方は、やっぱりみそ汁。ぜひ「鎌田式みそ玉」を活用してください。鎌田式では、たん活に効くサバ缶やチーズ、野菜を入れて具だくさんのみそ玉にするのがポイント。毎朝お湯を注ぐだけでみそ汁が完成。ぼくはこのみそ玉を、とにかくいそがしい朝の食事に革命を起こす秘策だと思っています。
たんぱく質だけでなく、朝食の量を全体的に増やして、朝食・昼食・夕食のバランスは4:4:2が理想的。せめて4:3:3は目指しましょう。
あるテレビ番組で、ぼくが「朝たん生活」と言ったら、出演者の方からすごく好評でした。これからは、全国に「朝たん」を伝えていきたいと思っています。
たんぱく質量10gアップ!
「鎌田式みそ玉」で作る「たんぱくみそ汁」
「鎌田式みそ玉」は、みそと顆粒だしを好みの具材と一緒にまぜて、1食分ずつラップで冷凍しておくだけ。朝は冷凍したみそ玉をお湯で溶くだけで、「たんぱく質みそ汁」の完成です。
サバ缶やチーズ、大豆などを入れれば、1食で10〜15gもたんぱく質をとれます。ほかにも、ごはんに蒸し大豆をまぜたり、しらす干しをのせたり、朝のひと工夫でフレイル知らずの元気な体に!
分量の目安(2人分)
・みそ...16g(大さじ1弱)
・減塩顆粒だしの素...2.4g(小さじ1弱)
・お好みの野菜...適量(そのまま食べられる冷凍野菜や乾燥野菜を活用してもOK)
・お好みのたんぱく質...適量
※東京都健康長寿医療センター研究所が2020年に発表
本文は『医師のぼくが50年かけてたどりついた鎌田式長生き食事術』(アスコム)より一部抜粋・編集しています。
画像提供:Adobe Stock
著者メッセージ
長生きとは、90歳を過ぎても元気で、歩いてレストランへ行き、日帰り温泉を楽しめること。その中心にあるのが食事です。
ここ数年、ぼくは佐賀県に度々足を運び、佐賀県民を健康長寿日本一に導こうと頑張っています。佐賀新聞やえびすFMラジオ、講演会を開き、健康改善の提案をし続けた結果、2020年には佐賀県の女性の健康寿命が85.2歳となり、長野県、大分県と並ぶ日本一になりました(※)。
とりわけ、県民の方に向けて毎月開催している「がんばらない健康長寿実践塾」、人呼んで「鎌田塾」では、健康、長生きのための食事術を幅広くお伝えしています。がまんはしない、がんばらない、でもちょっとだけ工夫する鎌田式食事術で、70歳、80歳、90歳の壁をひらりと越えましょう!
※国民健康保険中央会発表の「平均自立期間(健康寿命)」
書籍紹介
『医師のぼくが50年かけてたどりついた鎌田式長生き食事術』(アスコム)
「『今までにない食と健康の本』を書こうと思ったとき、
ふと頭に浮かんだのが、『きん・こつ・けつ・のう・ちょう』という呪文のような言葉でした。
筋肉・骨・血管・脳・腸。
健康の要となるこの5つがすべて元気になる本。
ただし、がんばらないこと。
がまんはせず、おいしいものを食べる。でもちょっと工夫する、それが鎌田式」(本書より)
現在75歳の医師・鎌田實先生は、佐賀県で「がんばらない健康長寿実践塾」、通称・鎌田塾を開催中。
さらに、佐賀新聞や地域FMで健康的な習慣を伝え続けています。
その中心に常にあったものは、常に「食事術」でした。
この本は、鎌田先生が、医師として地域の健康に取り組んできた50年の集大成にして、1冊まるごと「食べ方」の本です。
鎌田式食事術で、あなたの人生が変わります!
著者紹介
鎌田 實(さかまた みのる)
1948年、東京都生まれ。1974年、東京医科歯科大学医学部卒業。1988年、諏訪中央病院院長に就任。脳卒中の死亡率が全国ワーストクラスだった長野県で減塩運動をスタートさせ、地域住民と公民館で食事をするなど「住民とともにつくる医療」を推進。地域包括ケアのさきがけとなり、長野県を屈指の健康長寿県に導いた。2005年より同院名誉院長に就任。チェルノブイリ原発事故後の1991年に日本チェルノブイリ連帯基金を設立し、医師団を派遣。2004年には日本・イラク・メディカルネットを通じてイラクの支援にも取り組み、小児がんの子どもたちが勉強しながら治療できるチャイルドハウスや、難民キャンプで5つの診療所を開設。ウクライナから避難している子どもたちの支援を行うなど、戦禍の救済に取り組んでいる。国内でも、東北をはじめとする全国の被災地へ足を運び、講演会や支援活動を継続中。2018年からは佐賀県民を健康長寿に導くため、「がんばらない健康長寿実践塾(通称鎌田塾)」を開催。同時に佐賀新聞での連載や、えびすFM「幸せの処方箋」などを通じて佐賀県民の健康に貢献する。