(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第92回は東大合格者が実践している、SNSを使った英語の勉強法をご紹介します。

SNSを活用してどう英語を学ぶ?


みなさんは普段、英語をどうやって勉強していますか?

学生時代なら単語帳や問題集を使って、繰り返し勉強していた人も多いでしょう。

もちろんそれも1つのやり方ですが、現代ならもっと効率を上げる方法があります。

それはSNSの活用です。といっても、例えばYouTubeで英語のチャンネルを見たり、Xで英語の投稿を読むといった受け身の使い方ではありません。

重要なのは、自分から発信することです。実際にどんどん使うことで、英語力は飛躍的に伸びるのです。東大受験マンガ『ドラゴン桜2』でも、SNSを使ったアウトプットの重要性が強調されていました。桜木先生が「日本人はなぜ英語が話せないのか」を説明している、こちらのシーンをご覧ください。

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(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)

いかがでしょうか。日本人が英語ができないのは、使う機会がないからだということでしたね。

勉強すれば一時的には記憶に残りますが、使わなければ脳が不要な情報だと判断して捨ててしまいます。長期記憶として脳に定着させるには、とにかくアウトプットするのがいちばん早いのです。それに最適なツールがSNSなのですね。

実際、日常生活で英語を使う機会ってなかなかありませんよね。職場でのコミュニケーションは英語が中心とか、パートナーが英語のネイティブスピーカーなどというケースなら別ですが、あまり一般的ではないでしょう。そうなると、自分から意識的にアウトプットする機会を作らないとなかなか身につきません。

SNSのいいところは、世界中の人に自分の表現が届く喜びがあるのと、人から反応がもらえる点です。

同じアウトプットでも、ノートに問題を解くとか、その日に覚えた単語を使って作文するのとは面白味が違います。

SNSで誰かに見てもらうのは刺激がありますし、リアクションがあったら嬉しくなって、また勉強するモチベーションも湧くでしょう。投稿が記録として残るので、自分の成長を実感しやすいのも大きいです。

私自身が活用していたSNSといえば、Facebookです。1年ほど海外にいたときにできた友人がたくさんいて、彼らと毎日のようにやり取りしていました。Skypeでビデオ通話もちょくちょくして、帰国してからも英語力が鍛えられていましたね。

学習したい言語用のアカウントを作る

私の知り合いの東大生には、SNS利用のプロというべき人がいます。彼は10カ国語以上を操る言語オタクみたいな人なのですが、新しい言語の勉強に手を出す度に、まずSNSでその言語用の新しいアカウントを作ります。

そして覚えた単語や文法を片っ端から使って、どんどん発信するのです。プロフィールに「私は〇〇語の勉強を始めた初心者です。いろいろ教えてください」と書いておくと、親切なネイティブが文法や単語の間違いを指摘してくれるのだとか。

そうしてアウトプットをガンガンやっていれば、2〜3カ月で一通りのことは書いたり話したりできるようになると言っていました。

「そんなの東大生だからでしょ」と思われるかもしれませんが、もちろん東大生でも語学力のレベルはピンキリです。

英語のペーパーテストはある程度解けても、コミュニケーションするほうはサッパリという人も一定数います。そういう人はやはりアウトプットの機会が足りていません。筋肉と一緒で、英語も使わなければ鍛えられないのです。

SNSで手軽に勉強ができる時代に

昔は「英語の習得=海外生活」みたいなイメージがありましたが、今ではSNSという便利なツールがあるので、アウトプットだけなら誰でも手軽にできます。ブログやテキストメッセージ、動画、音声配信など形態もいろいろ選べます。リアルな自分ではなく、英語での発信用に架空の人物を演じてみるのもいいでしょう。

対面でのコミュニケーションなら緊張したり言い間違いも気になったりしますが、SNSなら削除や修正も可能で余計な心配もありません。しかもほとんどのアプリは無料で使えるのです。

今ほど勉強がしやすい時代はないと言えるかもしれませんね。現代ならではの効率的な英語習得法として、ぜひ参考にしてみてください。

(青戸 一之 : 東大卒講師・ドラゴン桜noteマガジン編集長)