寝室が臭いとき、どうしてる?

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 寝室に入って「何だか臭い…」と感じたとき、あなたはどうしますか。寝室は睡眠を取るだけでなく、読書をしたりくつろいだりと、ゆっくりと自分の時間を過ごす人も多い場所です。だからこそ、不快なにおいがすると気分が落ちてしまいます。

「寝室が臭い!」と感じたとき、どこをどのように掃除すればいいのでしょうか。寝室のにおいを取り除く掃除術について、ハウスクリーニングアドバイザーの有賀照枝さんに聞きました。

ファブリック製品がにおいを吸着

Q.そもそも、なぜ寝室に悪臭が発生してしまうのですか。

有賀さん「寝室は、人生のおよそ3分の1の時間を過ごす場所ともいわれています。リビングやキッチンといった場所に比べて、『汚れてにおいが発生する場所』とはあまり感じにくいかもしれませんが、においの原因は意外にもあります。

寝室には、枕カバーやシーツなどの寝具をはじめ、においを吸着しやすいファブリック製品が多くあります。私たちが寝ている間にも汗をかいたり、皮脂や髪の毛、フケなどの汚れが寝具に付着したりするので、小まめにお手入れしないと、それらをエサにして雑菌などが繁殖し、においのもとになります。

寝室にする部屋には押し入れやクローゼットが併設されていることも多く、換気状態がよくないとカビが生えて、『カビ臭』がすることもあります。フローリングや畳に直接、万年床のように常時ベッドマットや布団を敷きっ放しにしている場合も、カビが発生してしまう場合があります。

また、介護中の方や小さな子どもがいる場合は粗相してしまった際のアンモニア臭、犬猫などのペットを飼っている場合はペット臭、タバコを吸っている人がいる場合はタバコ臭、キッチンが寝室の隣など近くにある場合は油のにおいや生活臭など、家族構成やライフスタイルによっては、他のにおいがすることもあります。シーツや布団カバーなどが生乾きだったときの生乾き臭の他、人によっては柔軟剤の強い香りが悪臭と感じられる場合もあるかもしれません」

Q.「寝室が臭い!」と感じたとき、チェックすることが推奨される場所はどこでしょうか。

有賀さん「寝室で不快な臭いがしたときは、次の4カ所をチェックしてみてください」

【枕・枕カバーなどのファブリック製品】

皮脂の酸化によってできる「ノネナール」や「ペラルゴン酸」という物質が原因で、一般的に「加齢臭」と呼ばれるにおいが発生します。特に枕カバーは、加齢臭が発生しやすい頭や首の裏側が直接触れるので、においの元になりやすいです。

また、髪が濡れたまま寝てしまうと、雑菌が繁殖する温床になってしまいます。小まめな枕カバーの交換と洗濯で対策しましょう。洗濯表示に従って洗うのが基本ですが、加齢臭の原因となる皮脂汚れを効果的に落とすには、ぬるま湯で酸素系漂白剤を使用して洗濯するとよいでしょう。においが手ごわい場合は、つけ置き洗いを試してみてください。また、カバーだけでなく、枕の本体までにおいが染みついてしまっているケースも考えられます。洗えない枕の場合は天日干しの他、市販の消臭スプレーなども併用して対策しましょう。

枕カバーほどではなくても、シーツや布団カバーも同様に小まめに洗濯することをお勧めします。布団も、天日干しや布団乾燥機などを使って湿気を飛ばし、乾燥させるようにしましょう。

【ベッドマット・その下の床や畳】

ベッドマットを直接フローリングや畳に敷いていると、床面と接している部分の通気性が悪くなり、結露が発生して、ベッドマットと床面両方にカビ臭が発生してしまうことがあります。カビには塩素系カビ取り剤が有効ですが、フローリングや畳の色落ち、場合によっては素材を傷めてしまう可能性もあるので、目立ちにくい場所で試してから使うようにしましょう。なお、塩素系カビ取り剤に代わってアルコールやエタノールも使えますが、黒カビの色を落とすことはできません。

【窓・カーテン】

窓の結露をそのまま放置してしまうと、サッシや窓のゴムパッキン部分にカビが発生し、カビ臭がしてしまいます。カーテンも同様に窓の結露で濡れてしまうと、同じことが起こり得ます。特に窓下部やカーテン裏側下部をチェックして、黒ずんでいないかチェックしてみましょう。カビ臭は、ベッドマットと同様に対策を行ってください。

【寝室にある押し入れやクローゼット】

物や衣類が詰め込まれていたり、あまり扉を開け閉めしていなかったりすると、空気がこもってカビや雑菌が繁殖しやすくなり、嫌なにおいが発生する場合があります。特に天気のよい日は扉を開け放って換気をすること、また年に数回は中の物を全部出し、掃除機をかけてほこりを取り除き、衣類も陰干しするなどメンテナンスを行いましょう。

Q.「不快なにおいが発生しにくい寝室」にするには、どうすればよいですか。

有賀さん「日頃から、肌に一番触れる布団やカバー類の寝具を小まめに乾燥・洗濯し、寝室全体に湿気がこもらないように換気・乾燥に気を配るだけでも、悪臭の発生はずいぶん抑えられるでしょう。

家族構成やライフスタイルによっても変わってはきますが、枕カバーは週2〜3回、シーツ類は月1〜2回洗濯できると理想的です。小まめな洗濯が難しい場合は、消臭スプレーを併用してみましょう。シャンプー後は髪をよく乾かしてから寝るなど、生活習慣を少し見直してみることもお勧めです。

また、ベッドマットを直接フローリングや畳に敷いている場合は、風通しがよくなるように、ベッドマットと床面の間に『すのこ』を敷くなどして対策しましょう。

アンモニア臭の原因となる汚れは『すぐに対処』が基本です。布団が洗える場合は洗濯を、洗えない場合は尿の水分を乾いた布で吸水し、中性洗剤を薄めた水でたたき洗いし、よく乾燥させます。頻度が多い場合は、防水シーツの導入も検討してみてください。布団の材質により洗うのが難しい場合や、ひどい汚れの場合はクリーニング店の手を借りることも検討してみましょう。

窓が汚れていたり、カーテンにほこりがついていたりするとさらにカビが発生しやすくなるので、十分な換気が大切です。『スクイジー』(水分除去用のT字形の道具)などで小まめに結露を取り除いたり、カラリと晴れた日を狙ってカーテンを定期的に洗濯したりするとよいでしょう。窓を開けるのが難しい住環境の場合、タバコやペットのにおい対策を強化したい場合は、脱臭機を併用するのも一案です」