「全米最高峰のインフルエンサー」は、ネット上で飛んでくる自分への批判的な声をどう受け止め、どう対処しているのでしょうか(写真:水乃みのる/PIXTA)

自分に向けられた批判的なコメントを、どう受け止め、どう対応すればいいかわからない人も多いのではないだろうか。

今では「全米最高峰のインフルエンサー」として知られるティム・フェリスも、最初は、批判的なコメントには足が震えるほどヤワだったと言う。

彼が10年かけて集めた、対策として役立つ法則の一部を、著書『巨神のツール 俺の生存戦略』の『知性編』の中から、紹介しよう。

足が震えた批判的なコメント

人生は、相手と直接フルパワーでやり合うフルコンタクトスポーツと一緒だ。とくにネット上では。

私が『「週4時間」だけ働く。』を出版したとき、アマゾンにこんなレビューが書かれた。当時の私は、ネットでこんなレビューを見たら足が震えるほどヤワだった。


タイトルがおかしい。サブタイトルとして「午前9時から午後5時の生活から逃げて、どこかに住んで、ニューリッチの仲間入りをして、世界最大級のバカになろう」と書くべき。

絶対に買ってはならない。この男は、あなたが支払ったお金を利用して、1分でもっとも多くの子ネコを絞殺した記録でギネスブックに載ろうとしているのだろう。

……こんな経験、初めてだった。ティッシュをくれ。

これは、2007年に書かれたレビューだ。

あれから10年、正気を維持して評判を無傷に保つために、たくさんの法則や名言を集めてきた。その一部を紹介しよう。

まず、理解していない人の数は重要ではない。理解している人の数が大切だ。

最終的に、できるだけ多くの人にできるだけ良いことをするのが目的だとしても、まずは「1000人の忠実なファン」を見つけ、ワクワクさせるだけでいい(ケヴィン・ケリーについて紹介した記事も参照)。

このようなファンは最強のマーケティング部隊になってくれる。残りの人は放っておけば何とかなる。100万人、いや10億人が理解してくれなくても関係ない。

理解してくれる人に注目するのだ。

単なるデータだと考えるようにしよう

次に、10%の人は、何でも自分への当てつけだと考える。これを踏まえて、単なる数字上のデータだと見なすことだ。

観客数を増やすときはとくに、この10%という数字が大きな意味を持つ可能性がある。本を出版する前には、精神的な覚悟が必要だ。

「今、1000人の読者がいる。そのうち100人はクソみたいな反応をするだろう。でも、私も彼らも悪くない、データとはこういうものなんだ」

こんな風に考えることができたら、それほどうろたえずに済むだろう。

さらに、私のファンの1%はとんでもなくクレイジーだ(普通の人口比の場合でもそうだ)と仮定しておけば、もっと恐ろしいことにも対応できる。

誰もが笑顔でハイタッチで迎えてくれると(間違って)期待すると、平手打ちを食らい、自分もそれに衝動的に対応するため、ダメージはトリプルパンチになるだろう。

穏当なテーマでも批判されうる

穏当なテーマだけを扱っていても、逃れることはできない。私のブログに実際に投稿されたコメントを次に紹介しよう。

あなたは白馬にまたがった騎士(「ヨハネの黙示録」に出てくる4人の騎士のことで、未来の苦難の予言と解釈されている)の由々しき例を子どもたちに見せようとしている。恥を知れ。あなたは魂を売って世界を手に入れた悪魔だ。

このコメント主は、最後の審判の日に私を引き渡すと言って私を攻撃し始めた。FBIに報告したいほどの脅迫だった。

アザラシの赤ちゃんを殴打した、という私のブログに反応したのではない(もちろんそんな投稿はしていない)。

本や筆記用具などを揃えるのに十分な資金がなく、特別な支援が必要な公立学校のために、救済基金を募るのに協力しようと書いたブログに反応してきたのだ。

常に予測するだけで、決して反応しないというやり方もある。ネット上の非難に対する私の主な対応は次のとおりだ。

・無視する ――90%

・油を注ぐ(あおる) ――8%

・ワインを飲みすぎて「荒らし」に反応してしまう(心底後悔する) ――2%

反応すると逆効果

3つ目の行動についてはここで触れるつもりはないが、最初の2つについては少し説明しておきたい。

無視すると思った理由は、そうしないと、ヘイター(なんでもケチをつけたがる人)にグーグルジュース(グーグル社のソフトウェア技術の1つ)を渡してしまうことになるからだ。


どういうことかというと、公に反応してしまうと、最悪のケースでは、ページランクの高い別のサイトと、批判している人のサイトをつなげてしまうことになる。

すべての行動が批判者に強力なリンクをプレゼントすることになり、批判者のアクセス数を増やし、相手の自己満足感や知名度を高めてしまう。

そのため、グーグルの1ページ目に ―― いや2ページ目でも ―― (見過ごすことができないような腹立たしいでたらめが)表示されなくなるまで、何カ月も口を閉ざさなければならないこともあった。

「君の言うことは分かるよ」と言う効果

次に、批判の8%に油を注ぐとは、どういうことだろうか? なぜそんなことをするのか?

まず、すべての批判が「ヘイター」からのものとは限らない、ということを認識しておく必要がある。

実際にこんなことがあった。

あるクリエイティブ・ディレクターが、私が主催したウェブデザイン・コンテストに対して「ティム・フェリスはムカつくことをしているのか?」というタイトルの投稿をして、大炎上を引き起こした。

彼の主張には賛成しかねるが、よく考え抜かれたポイントをついていた。これが興味深い大炎上のきっかけになったんだと思う。

そこで私は、彼の意見に拍車をかける意見を述べた。

8〜10%の意見に対してこういった行動をとるのには、2つの目的がある。

批判を受け入れるという姿勢を示すことと、そんなに深刻に受け止めていないと示すことだ。

どちらの態度も、ヘイターがどこからともなくぞろぞろ出てくるのを阻止することができる。


次に、対応するときは、ぺこぺこ謝らないことだ。

大失敗をしたり軽はずみなことを口にしたりしたときには謝ることがあるだろう。ただし、たいていの場合は、それを認めるだけでいい。

言い方はいろいろだが、「君の言うことは分かるよ」は、明らかなヘイターかヘイター予備軍の少なくとも8割を鎮めることができる。

彼らが意見を180度変えて、あなたの支持者になることだってあるだろう。

わたしはよく、「意見をくれてありがとう。改善に努めたい。あなたの幸運を祈っているよ」といった文を書く。

事実を示したり、相手の幸運を祈ったりするだけにして、あとは相手に判断を任せるのだ。

(ティム・フェリス : 起業家、作家)