長城汽車は東南アジアでの事業拡大に注力している。写真はインドネシア「ガイキンド国際モーターショー」の展示ブース(同社ウェブサイトより)

中国の自動車メーカーの海外市場進出が加速している。中堅自動車メーカーの長城汽車(グレートウォール)と新興EV(電気自動車)メーカーの哪吒汽車(NETA、会社名は合衆新能源汽車)は、8月10日にインドネシアのジャカルタで開幕した「ガイキンド国際モーターショー」に出展。同国市場への参入を宣言した。

長城汽車は近年、東南アジア諸国での事業拡大に注力してきた。すでにタイ、マレーシア、ラオス、ブルネイ、フィリピン、カンボジアなどでクルマを販売しており、ベトナムにEVの組み立て工場を建設する計画も進めている。

長城汽車の海外販売94%増

2023年1月から7月までの長城汽車の販売実績は、中国国内市場と海外市場の合計で62万8000台。前年同期比の増加率は1%と、ほぼ横ばいだった。だが海外市場に限って見ると、同期間の販売台数は15万1000台と前年同期比94%増加した。

もう1社の哪吒汽車も、すでにタイ、マレーシア、ブルネイに進出済みであり、インドネシアでは2023年10〜12月期から販売を開始する。同社はタイとインドネシアでEVの現地生産も計画している。

東南アジアにおける自動車の3大市場は、インドネシア、タイ、マレーシアだ。調査会社のマークラインズのデータによれば、インドネシア市場の2022年の自動車販売台数は104万8000台。前年より18.1%増加して100万台の大台を突破した。


哪吒汽車はEVの普及が始まったばかりのインドネシア市場で先行者利益の獲得をもくろむ(写真は同社の報道発表資料より)

現在のインドネシア市場では、日本の自動車メーカーが圧倒的シェアを握っている。だが、EVの普及はまだ始まったばかりで、2022年の販売台数はわずか2万台足らずだった。

1〜7月の中国国内市場は縮小

インドネシア政府は国内でのEV関連産業の振興を目指しており、中国メーカーの進出を歓迎している。中国メーカー側も、EVシフトで先行する自国のサプライチェーンやノウハウを生かすことで、インドネシア市場の席巻をもくろんでいる。


本記事は「財新」の提供記事です

中国の自動車市場の成長が鈍化するなか、中国メーカーにとって海外市場の重要性は高まる一方だ。中国汽車工業協会のデータによれば、2023年1月から7月までの中国国内の乗用車販売台数は1126万3000台にとどまり、前年同期比0.7%減少した。一方、同じ期間の乗用車の輸出台数は210万5000台と、前年同期比77.5%の急増を見せた。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は8月11日

(財新 Biz&Tech)