函館で新馬勝ちしたスワーヴリチャード産駒のレガレイラ(撮影:山中博喜)

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 新種牡馬スワーヴリチャードの勢いが止まらない。先週までに26頭の産駒がデビューして、8頭で9勝。JRAのファーストシーズンサイアーランキングはもちろん、2歳リーディングでも堂々の首位。芝やダート、距離を問わずに次々と勝ち上がっているのは凄いの一言だ。

 産駒初の2勝馬、そしてオープン勝ち馬となったのはコラソンビート(牝2、美浦・加藤士津八厩舎)だった。デビュー戦はボンドガール、チェルヴィニアの両クラシック候補に完敗の3着だったが、2戦目の未勝利、続くダリア賞と連勝。逃げて良し、差して良しの2歳馬離れしたレースセンスが最大の武器といえる。ダリア賞の勝ち時計1分21秒2はレース史上最速タイ。コンパクトにまとまった馬体はスケール感に欠けるが、現時点での完成度は高く、少なくとも2歳戦のうちは要注意の存在となる。

 大物感ではレガレイラ(牝2、美浦・木村哲也厩舎)が一番だろう。函館芝1800mのデビュー戦は圧倒的1番人気に応えての楽勝。最後は流していたが、それでいて上がり3Fは函館芝1800mの新馬史上最速となる34.3だった。血統の裏付けもあって、曾祖母はディープインパクト&ブラックタイドを産んだウインドインハーヘア。14年の阪神JF(8着)で1番人気に支持された母ロカは、喉の不安で大成はならなかったものの、無事ならGI級と思われた大器だった。無冠に終わった母の分まで、GI戦線で活躍することを期待したい。

 牡馬では先週の札幌芝1800mを差し切ったアーバンシック(牡2、美浦・武井亮厩舎)に注目だ。横山武史騎手が辛口のコメントを残したように、精神面の幼さを感じさせるレースぶりだったが、逆にいえば伸びシロは計り知れない。そしてデータの後押しもある。昨年までに札幌芝1800mの新馬を自身上がり3F34秒5以内で制した馬は16頭。そのうちソウルスターリングやコディーノなど8頭が重賞勝ちを収めている。レガレイラとは母同士が全姉妹のいとこという関係。いつか大舞台での同父・同一族対決が見られるかもしれない。

 年を重ねて力を付けた現役時代のイメージに反し、2歳夏に好スタートを決めたスワーヴリチャード。もちろん、ハーツクライ系だけに早熟とは考えづらく、古馬になって大成する馬も多く出るだろう。ここで取り上げた馬がどういった成長曲線を描くのか、楽しみにしたい。