小倉記念に出走したマリアエレーナ(写真は昨年の小倉記念時、(c)netkeiba.com

写真拡大

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る関屋記念

【Pick Up】アヴェラーレ:1着

 中団から馬群を縫って進出し、ディヴィーナに競り勝って初の重賞タイトルを獲得しました。

 ドゥラメンテ産駒は今年JRA重賞9勝目。種牡馬ランキングはロードカナロアに次いで第2位ですが、重賞勝利数ではロードカナロアの5勝を引き離してトップを独走しています。

 母アルビアーノは現役時代、スワンSとフラワーCを勝ち、NHKマイルCで2着、高松宮記念で3着となった活躍馬。母の4分の3妹に米最優秀3歳牝馬コヴフェフェ、母の伯父に名種牡馬アーチ(ブレイムの父、アンクルモーの母の父)がいるなど、世界的な良血といえる血筋です。

 現役で走っているころからその良血ぶりに魅了され、スワンSを勝ったあと、ブログに「繁殖牝馬として高確率で成功するはず」と記しました。初仔から重賞勝ち馬を産んだのはさすがの一語です。

 今回は直線で進路を探すシーンもあり、決してスムーズなレースではなかったのですが、それでも勝つのですから本格化の気配が漂います。着差以上に強かったので、秋が楽しみです。

◆血統で振り返る小倉記念

【Pick Up】マリアエレーナ:4着

 昨年、5馬身差で圧勝したレースですが、今年は直線で伸びきれず4着と敗れました。

 昨年と違うのはハンデが2.5kg重くなったこと。今年は56.5kgを背負いました。牡馬と牝馬の間には2kgのセックスアローワンス(性別による負担重量差)があるので、牡馬に換算すると58.5kg。実質的なトップハンデでした。

「クロフネ×ディープインパクト」はJRAで29頭出走し、その平均馬体重は456kgと小さめです。マリアエレーナは今回、428kgでした。母の父ディープインパクトは産駒のサイズが小さめなので、その影響でしょう。

 1986年以降、JRAで56.5kg以上を背負って平地重賞を勝った牝馬はのべ34頭を数えますが、そのなかで馬体重が430kg未満だったのは、2004年の福島牝馬Sを57kgで勝ったオースミコスモ(422kg)しかいません。428kgのマリアエレーナにとってこの斤量は厳しかったといえるでしょう。