年齢を重ねてくると、自分のこれまでを振り返り、人生について考えるようになるもの。そして辿り着くのが、幸せに生きたいという願いではないでしょうか。幸せに生きるために、自分ができることは…?

音声配信アプリstand.fmの人気番組『高尾美穂からのリアルボイス』でリスナーのさまざまな悩みに寄り添う産婦人科医、高尾美穂先生に、幸せに生きるためのヒントをお聞きしました。

幸せに生きるために、ネガティブな思考から自分を解き放つコツ

「幸せってなんだろう?」これは非常に大きなテーマです。幸せとは、本来自分の心が決めるもの。「こういうことが起きたら幸せを感じる」という決まりはありません。一人ひとりにとって違うでしょう。もし、幸せを感じられていないなと思ったときは、幸せを感じられない理由を考えると、幸せに生きるためのヒントになると思います。私は、幸せを感じられない理由は、4つあると思います。

 

●思い込み

1つ目は、「思い込み」です。「こうあるべき」という、自分で自分を枠にはめ込んでしまうような、思い込みがあるのではないでしょうか。たとえば、自分の潜在的な力や可能性を自分で閉じ込めてしまっていませんか。

自分はこれ以上できない、自分は変わることができないと思っているのだとしたら、それは思い込みです。無理だと思ってしまえば、変わることはありませんが、自分のことは自分で決められるもの。変われる可能性なんていくらでもあるんです。この思い込みを外すことが、まずは大事なのではないかと思います。

●恐れと不安

2つ目は、「恐れと不安」です。私たちは、まだ実際には起こっていないけれど、そのことを想像して恐れたり、不安を感じたりすることがあります。これは未来について考える「想像力」のせい。ほかの動物にはない、人間だけが持つ能力です。

しかし、この状況は、自分自身で恐れや不安を生んでいるとも言えますので、できるだけ避けたいものです。

●だれかと比べるくせ

3つ目は、「だれかと比べるくせ」です。だれかと比べてうらやむのは、「隣の芝生は青い」という状態。これでは幸せは感じられません。人をうらやむよりも、「今の自分が置かれた状況で、どう楽しむか」と考える方が前向きです。

もし比べるなら、人と比べるより、過去の自分と比べて自分の成長を感じた方がよいでしょう。

●劣等感

最大のポイントと言えるのが、4つ目の「劣等感」です。劣等感を手放すには、自分ができないことよりも、できることに目を向けること。自分がもっていないものを探すのではなく、もっているものを生かし、自分なりに楽しく過ごすほうが、きっと幸せに生きられるでしょう。

私たちに起こる出来事というものは、自分の思いとは無関係に起こるものです。その起こった出来事をどう捉えるかで、その先は変わってきます。「足るを知る」という言葉があります。今の状態をよしとし、自分ができることを生かすことが、どれだけ大事かを考えてみましょう。

これらの4つのことが、私たちに幸せと思える感覚を感じにくくさせてしまっている原因だと気づくことで、物事の捉え方が変わるはずです。

いずれにしても、「自分の幸せは自分が決める」ということは、間違いないと私は思っています。私自身も、毎日が百点満点の幸せだと思って生きているわけではありません。私自身がよく使う言葉に、「まあまあ幸せ」「割と幸せ」というものがあります。1〜2割は思い通りにいかないことがありますが、だいたいよければOK。このような考え方で、幸せを感じながら過ごしていける方がひとりでも増えればいいなと思っております。

悩んだとき、迷ったときは、高尾先生の言葉が効く! 心にかかったもやが晴れ、いつのまにか、ご機嫌な自分を取り戻しています。新刊本『人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78の言葉』では、今回ご紹介したような言葉を78収録。いつもお守りのように手元に置いて、悩んだときや迷ったときに開いてみてください。きっと目の前がぱっと開けてくるはずです。