「潜在的な能力を解き放ちたい」株式会社カミナシ 代表取締役CEO・諸岡裕人“ノンデスクワーカー”の可能性に挑戦
笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00〜20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。5月13日(土)の放送は、株式会社カミナシ 代表取締役CEOの諸岡裕人(もろおか・ひろと)さんをゲストに迎え、お届けしました。
諸岡さんは、慶應大学経済学部卒業後、リクルートスタッフィングに入社。2012年に家業であるワールドエンタープライズ株式会社に入社し、LCCの予約センターの立ち上げやJALの羽田機内食工場の立ち上げなどに携わる。その後、2016年に株式会社カミナシを創業し、ノンデスクワーカーの業務を効率化する現場DXプラットフォーム「カミナシ」を開発しました。
◆デジタルが“ノンデスクワーカー”の一助に
「僕らのノンデスクワーカーの定義としては“デジタルの世界から完全に断絶された人たち”を指します」と諸岡さん。つまり、工場や物流など、デジタルのツールを使っていない仕事をしている人のことを指します。
ノンデスクワーカーの現場の特徴の1つは、作業が紙ベースであること。「作業のチェックを紙でおこなったり、責任者がハンコを押したり、それらをデータ化して本社に送ることもあるので、(業務の)入口が紙にインクで書くことによって、その後の工程が非効率化していくんです。なので、その最初の接点を手書きではなくてデジタルに替えることで、いろいろな業務フローを効率化していくのが、僕たちが提供しているサービスです」と説明。
ワールドエンタープライズでは、チェックインカウンターでの業務請負や貨物の積み下ろし、機内食工場のオペレーションやホテルの客室清掃など、航空業界のアウトソーシング業に携わっていますが、紙ベースや目視によるチェックなど、非効率的な業務が多く、それに比例してミスも多発。
そうした現場での経験から、デジタルによる業務効率化の必要性を実感していたことが起業につながっていったと振り返ります。
◆サービス導入による好事例が蓄積
カミナシが提供するサービスは、現在さまざまな業界、企業で導入されており、「(デジタルによる)業務効率化と作業品質の向上、この2つに価値を感じて導入いただいている企業様が多いです」と胸を張ります。
今でこそ、さまざまな業界に広がりを見せていますが、立ち上げ当初は問い合わせを受けて伺った商談先では「クラウドなんて危ない」「うちでは、そもそもスマートフォンを現場に持ち込むのは禁止です」などと言われ、導入までのハードルはとても高かったそうですが、現在は解消されつつあると言います。
その大きな要因として、シンプルに導入事例が増えてきたこと。そして、事務所側のデスクワーカーやホワイトカラー(事務系や販売系の業務従事者)の人たちのIT活用が先行していることを挙げます。
「例えば、今まで紙でおこなっていた勤怠管理がスマートフォンからできるようになり、お給料もそこから見ることができます。といった感じで、現場ではなく事務所側の活用によって“ITは便利”という感覚を少しずつ感じてくれています。今後も導入率は間違いなく上がっていくと思います」と自信をのぞかせます。
◆仕事のやり方を根本から変えるしかない
カミナシでは“すべては「ノンデスクワーカーの才能を解き放つ」ために。”というミッションを掲げていますが、そこに込めた思いについては「僕が家業を見ていたときの思いが強いです」と諸岡さん。
というのも、ワールドエンタープライズでは、新人社員が毎年入ってくるものの、3年ぐらい経つと半数以上が辞職してしまう状況を目の当たりにしてきたと言います。
「当時のことを振り返ると、僕も仕事をやっていても(非効率かつ無駄の多い作業ばかりで)面白くなくて“逃げたい”と思ったこともあったので、彼らの気持ちもよく分かる。そうした状況を変えるには、仕事のやり方を根本から変えるしかない。そうしてあげれば、もっと大きなことができて、成果が出せるんじゃないかと思ったんです」と振り返ります。
そして、IT業界に身を置くと、家業とは真逆の世界に驚かされたそうで、「(IT業界は)優秀な人がすごく多いんですよ。その優秀さって、これだけ(デジタルの)道具が揃っていてやりたいことが何でもできるから、みんな自分の能力を道具で拡張しているんです。なので、ノンデスクワーカーにもそうした武器を配ってあげることで、彼らの(潜在的な)能力が拡張されて、才能が解き放たれるんじゃないかと思っています」と力を込めます。
また今後は、サービスをより良いものへと進化させていくことに加え、「今後は、ひとつ大きなところとして、現場で働いている人たちのための『HR Tech』(Human Resources Technology:テクノロジーを活用し、人事領域の課題を解決に導き変革をもたらす技術のこと)をやっていきたい」とも。
これまでのHR領域では、正社員向けのサービスは見られるものの、「時給で働く労働者の方たちのサービスがあまりないんです。実際、正社員よりも入れ替わりが激しかったり、雇用契約が半年に1回更新があったりと、いろいろなところで(雇用条件や待遇などが)正社員と違っている部分が多い。なので、そこに対して現場の人たちがもっと戦力となれるように、輝けるようなものをつくっていきたい」と展望を語りました。
次回5月20日(土)の放送は、シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長の中川いち朗さんをゲストに迎えてお届けします。SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)に関する取り組みなど、貴重なお話が聴けるかも!?
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聴取期限 2023年5月21日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/
(左から)諸岡裕人さん、笹川友里
諸岡さんは、慶應大学経済学部卒業後、リクルートスタッフィングに入社。2012年に家業であるワールドエンタープライズ株式会社に入社し、LCCの予約センターの立ち上げやJALの羽田機内食工場の立ち上げなどに携わる。その後、2016年に株式会社カミナシを創業し、ノンデスクワーカーの業務を効率化する現場DXプラットフォーム「カミナシ」を開発しました。
◆デジタルが“ノンデスクワーカー”の一助に
「僕らのノンデスクワーカーの定義としては“デジタルの世界から完全に断絶された人たち”を指します」と諸岡さん。つまり、工場や物流など、デジタルのツールを使っていない仕事をしている人のことを指します。
ノンデスクワーカーの現場の特徴の1つは、作業が紙ベースであること。「作業のチェックを紙でおこなったり、責任者がハンコを押したり、それらをデータ化して本社に送ることもあるので、(業務の)入口が紙にインクで書くことによって、その後の工程が非効率化していくんです。なので、その最初の接点を手書きではなくてデジタルに替えることで、いろいろな業務フローを効率化していくのが、僕たちが提供しているサービスです」と説明。
ワールドエンタープライズでは、チェックインカウンターでの業務請負や貨物の積み下ろし、機内食工場のオペレーションやホテルの客室清掃など、航空業界のアウトソーシング業に携わっていますが、紙ベースや目視によるチェックなど、非効率的な業務が多く、それに比例してミスも多発。
そうした現場での経験から、デジタルによる業務効率化の必要性を実感していたことが起業につながっていったと振り返ります。
◆サービス導入による好事例が蓄積
カミナシが提供するサービスは、現在さまざまな業界、企業で導入されており、「(デジタルによる)業務効率化と作業品質の向上、この2つに価値を感じて導入いただいている企業様が多いです」と胸を張ります。
今でこそ、さまざまな業界に広がりを見せていますが、立ち上げ当初は問い合わせを受けて伺った商談先では「クラウドなんて危ない」「うちでは、そもそもスマートフォンを現場に持ち込むのは禁止です」などと言われ、導入までのハードルはとても高かったそうですが、現在は解消されつつあると言います。
その大きな要因として、シンプルに導入事例が増えてきたこと。そして、事務所側のデスクワーカーやホワイトカラー(事務系や販売系の業務従事者)の人たちのIT活用が先行していることを挙げます。
「例えば、今まで紙でおこなっていた勤怠管理がスマートフォンからできるようになり、お給料もそこから見ることができます。といった感じで、現場ではなく事務所側の活用によって“ITは便利”という感覚を少しずつ感じてくれています。今後も導入率は間違いなく上がっていくと思います」と自信をのぞかせます。
◆仕事のやり方を根本から変えるしかない
カミナシでは“すべては「ノンデスクワーカーの才能を解き放つ」ために。”というミッションを掲げていますが、そこに込めた思いについては「僕が家業を見ていたときの思いが強いです」と諸岡さん。
というのも、ワールドエンタープライズでは、新人社員が毎年入ってくるものの、3年ぐらい経つと半数以上が辞職してしまう状況を目の当たりにしてきたと言います。
「当時のことを振り返ると、僕も仕事をやっていても(非効率かつ無駄の多い作業ばかりで)面白くなくて“逃げたい”と思ったこともあったので、彼らの気持ちもよく分かる。そうした状況を変えるには、仕事のやり方を根本から変えるしかない。そうしてあげれば、もっと大きなことができて、成果が出せるんじゃないかと思ったんです」と振り返ります。
そして、IT業界に身を置くと、家業とは真逆の世界に驚かされたそうで、「(IT業界は)優秀な人がすごく多いんですよ。その優秀さって、これだけ(デジタルの)道具が揃っていてやりたいことが何でもできるから、みんな自分の能力を道具で拡張しているんです。なので、ノンデスクワーカーにもそうした武器を配ってあげることで、彼らの(潜在的な)能力が拡張されて、才能が解き放たれるんじゃないかと思っています」と力を込めます。
また今後は、サービスをより良いものへと進化させていくことに加え、「今後は、ひとつ大きなところとして、現場で働いている人たちのための『HR Tech』(Human Resources Technology:テクノロジーを活用し、人事領域の課題を解決に導き変革をもたらす技術のこと)をやっていきたい」とも。
これまでのHR領域では、正社員向けのサービスは見られるものの、「時給で働く労働者の方たちのサービスがあまりないんです。実際、正社員よりも入れ替わりが激しかったり、雇用契約が半年に1回更新があったりと、いろいろなところで(雇用条件や待遇などが)正社員と違っている部分が多い。なので、そこに対して現場の人たちがもっと戦力となれるように、輝けるようなものをつくっていきたい」と展望を語りました。
次回5月20日(土)の放送は、シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長の中川いち朗さんをゲストに迎えてお届けします。SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)に関する取り組みなど、貴重なお話が聴けるかも!?
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聴取期限 2023年5月21日(日) AM 4:59 まで
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番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/