「サントリー天然水」、飲み口が大きいのはなぜ? 国内最軽量&折り畳み可能なペットボトル採用も 同社に聞く
サントリー食品インターナショナル(東京都港区)が販売する「サントリー天然水」は、一般的なペットボトル飲料よりも飲み口が大きいという特徴があります。実際にキャップのサイズを比べてみると、一般的なペットボトル飲料は2.8センチ、サントリー天然水は3センチで、飲み口が大きく設計されているのが分かります。また、4月から2リットルサイズの容器がリニューアルされ、6分の1のサイズに折り畳むことが可能となりました。
なぜ飲み口を大きくしているのでしょうか。また、ペットボトルを折り畳むために、どのような設計をしたのでしょうか。同社の担当者に聞きました。
内容液の飛び跳ねを抑える
Q.「サントリー天然水」は、一般的なペットボトル飲料よりも飲み口が大きくなっていますが、なぜなのでしょうか。発売当時から飲み口を大きくしていたのでしょうか。
担当者「容器の飲み口を現在のサイズに変更したのは2008年で、環境負荷を軽減するために、ペットボトルの軽量化に取り組んだことがきっかけです。その際、飲み口を大きくするなど、ペットボトルの設計を工夫することで軽量化を実現しました。また、飲み口を大きくすることで、注ぐ際に内容液の飛び跳ねを抑えることができるというメリットもあります。
製造工場や容器の都合上、自動販売機用の550ミリリットルサイズの一部商品は、飲み口のサイズが異なる場合もありますが、2リットルサイズや550ミリリットルサイズの大半の商品は、一般的なペットボトル飲料よりもやや大きめの飲み口となっています」
Q.飲み口が大きい点について、消費者からはどのような意見が寄せられていますか。
担当者「ミネラルウオーターは、運動時や日常生活で喉の渇きを潤すために飲まれるケースが多いです。飲み口が大きいことで、『ゴクゴクと飲みやすい』といった声をよくいただいております」
Q.飲み口以外に、ペットボトルにどのような工夫を凝らしているのでしょうか。
担当者「当社のサントリー天然水ブランドは、容器、包装において環境負荷低減やユーザビリティ向上のための容器開発、改良を行っています。
例えば、550ミリリットルのペットボトルは、氷や水の揺らぎをイメージしたボトルデザインでありながら、持ちやすさとつぶしやすさを両立したのが特徴です。重量は、国産の500〜600ミリリットルのペットボトルでは最軽量となる11.9グラムです(2022年2月時点)。
2リットルのペットボトルも段階的に軽量化を進めており、2013年には、国産の2リットルサイズのペットボトルでは最軽量となる29.8グラムのペットボトルを開発しました。重さを感じるサイズなので、注ぐ際に持ち手を安定させるための『ゆびスポット』をボトル中央に設置するなど、ユーザビリティ向上にも努めています。お客さまからは『持ちやすい』という評価をいただいています。
さらに4月からは、2リットルサイズを対象に、飲み終わった後に6分の1の大きさに畳むことができる新容器を導入しました」
Q.2リットルサイズの容器をリニューアルした理由を教えてください。
担当者「サントリー天然水は、お客さまにより手に取っていただくブランドでありたいと考え、飲み終わった後のペットボトルに着目しました。ペットボトルについて、これまでにお客さまから『つぶしたのに、元の形状に戻ってしまう』『ペットボトルの回収日まで、家庭内でかさばるので困る』といった声が寄せられており、こうした不満を解消できるような新容器の開発を目指しました。
そこで、畳みやすいのはもちろん、小さく畳んだ状態を維持できるボトルの開発にこだわりました。具体的には、ボトルの中央部分のみ、平行四辺形に設計することでつぶしやすくしたほか、ボトル上部に山折り線を入れることで、折り畳み後にロックされ、小さく畳んだ状態を維持できるようになっています。それにより、容器を6分の1の大きさに畳むことが可能です。
2リットルサイズは、先述のように『持ちやすさ』を評価されているため、そのメリットを崩さないように、2年間で70形状以上の施策を重ね、ユーザビリティと容器としての基準の両方を満たしました。その結果、『持ちやすさ』『注ぎやすさ』もキープしながら、畳みやすいボトルの開発に成功しました」
2リットルサイズのペットボトルはかさばりやすいのが難点ですが、簡単に折り畳めるようになったことで、分別がはかどりそうです。