上司や同僚への「退職祝い」、相場はいくら? のしはつける? お返しは必要? マナーコンサルタントが解説
年度末の3月は、退職する先輩、後輩、同僚との別れを迎える時期でもあります。これまでお世話になった人たちへ「退職祝い」を贈り、感謝や応援の気持ちを伝えたいと考えている人も多くいることでしょう。一方で、「どんなのしや水引を選べばいいの?」「いつ渡すのがベスト?」「お返しは必要?」といった疑問の声もあります。
そこで、迷いがちな「退職祝い」の疑問について、一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」(東京都港区)代表理事でマナーコンサルタントの西出ひろ子さんに聞きました。
のしの「表書き」は退職理由で変わる
Q.まず、「退職祝い」の意味合いについて教えてください。
西出さん「退職祝いは、会社を退職する人に対する労いや感謝の気持ちを伝えるために渡すものです。退職には、定年退職もあれば、結婚やキャリアアップなどでの退職もあります。
渡す時期は、最終出勤日や、送別会を行う場合はそのときにお渡しするのが一般的です。お祝いの品を持ち帰るのに、負担にならない配慮が大切です」
Q.退職祝いの相場はどのくらいでしょうか。
西出さん「相場は、その相手との関係性や、個人的に贈るのか、同僚とお金を出し合って贈るのか、その人数などによっても変わってきます。次に紹介するのは、あくまでも一般的な相場です。状況などに応じて変わっても問題はありません」
【個人的に贈る場合】
・上司・先輩…5000〜1万円程度
・同僚・後輩…3000〜5000円程度
・友人…3000〜1万円程度
・親(パートナーの親)…1万〜3万円程度
【友人や同僚と一緒に贈る場合】※一緒に贈る人数にもよる
・上司・先輩…1万〜3万円程度
(1人当たり1000〜5000円くらいまでと考えて、その人数分)
・同僚・後輩…5000〜2万円程度
(1人当たり1000〜3000円くらいまでと考えて、その人数分)
・友人…5000〜1万円程度
(1人当たり1000〜3000円くらいまでと考えて、その人数分)
Q.退職祝いを贈る場合、のしや水引、表書きはどのように選べばよいですか。
西出さん「のしをつけて、水引は紅白の蝶結びが基本です。表書きは、『御退職御祝』『御祝』『御礼』とします。定年退職の場合は、『定年御退職御祝』『祝定年御退職』と書いてもよいですね。
結婚や出産を理由に退職する場合は、『祝ご結婚退職』『出産退職御祝』などと書いても間違いではありません。ただし、それが確実になったときにお祝いをする方が無難です。従って、この場合は、『御退職御祝』でよいでしょう。
また、『お餞別』(おせんべつ)と書いてもよいです。餞別とは、お世話になった人が旅立つ際に、感謝の気持ちと前途を祈る気持ちで贈る金品のことです。ただし、目上の人には『お餞別』ではなく『おはなむけ』とします。はなむけとは、旅立ちや門出に贈る金品をいいます」
Q.退職祝いを受け取ったら、お返しは必要ですか。それとも不要ですか。
西出さん「原則、不要といわれています。理由は、それまでお世話になったことに対する気持ちで贈るものだからです。それをありがたく受け取ることで、贈る側は喜びます。
とはいえ退職する人も、『今までのお礼としてお返しをしたい』と考える人もいるでしょう。どうしてもお礼を伝えたいときには、『御礼』として、頂いた金額の3分の1から半額を目安に、感謝の気持ちを込めてお贈りしましょう」