少し叱っただけですぐ泣く…子どもの「泣き虫」、治した方がいいの? 子育てアドバイザーに聞く
「子どもが泣き虫で困っている」という親は少なくないのではないでしょうか。ちょっと叱っただけですぐに泣く、思い通りにならないと泣く…など、親としては対応に手を焼くとともに、心配になることもあるようで、「どうして泣き虫になるの?」「何歳までなら問題ない?」「治した方がいい?」といった疑問の声も聞かれます。
子どもが「泣き虫」になる要因や、望ましい親の接し方について、子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。
「強く叱って泣きやませようとする」のはNG
Q.なぜ、子どもが「泣き虫」になってしまうのだと思われますか。
佐藤さん「子どもが泣き虫になってしまう理由や、その度合い・傾向について考えられることは次の通りです」
【泣き虫になる要因】
泣き虫になってしまう要因はいくつもあり、もともとの気質の影響による子もいれば、置かれた環境で泣くことが癖になってしまっている子もいます。ただ、どちらか一方というよりも、どちらもが合わさっていることが多い印象を受けます。
例えば、気質的に粘る子、感情の表し方が激しい子は、親が『大変だな』と思うことが多いため根負けしてしまうことがよくあり、結果的に“泣き落とし”がパターン化されてしまうケースなどは典型例でしょう。
【泣き虫の度合い】
度合いに関しては、会うたびにいつも泣いているなど、誰が見ても『泣き虫だ』と思う子も中にはいますが、親の主観でも捉え方が変わってくるものです。例えば、『子どもは泣くものだ』と思っている人と、『子どもだからといって何でも思い通りになるわけではない』と思っている人であれば、同じ『1日に3回泣く』という状況も受け止め方は変わってきます。『3回しか泣かない』のか、『3回も泣く』のかということです。
【泣き虫になる子の傾向】
よく泣く年齢としては、当然ながら『泣く』以外の手段がない赤ちゃん時代が多く、その後、言葉が出始めるとだんだんと減ってきます。しかし、中には泣き落としをする子、泣いて注意を引こうとする子もいるので、そのあたりから個人差が大きくなってくるともいえます。
幼稚園の時期あたりになると全体的に落ち着いてくるので、逆によく泣く子の親御さんは「うちの子だけ泣いてばかり」と、より敏感になってしまうようです。
【泣き虫になる子にみられやすい性格】
性格的には、消極的な子(嫌だなと感じる場面が多いため)や、気が強い子(自分を押し通そうとするため)に多いといえるのではないでしょうか。タイプも理由も違いますが、自分の気持ちを泣いて表現するという点は共通しています。
Q.子どもの泣き虫は、治した方がいいのでしょうか。それとも、治す必要はないでしょうか。
佐藤さん「泣くという行為はその子も疲れるものですし、周囲の人たちも戸惑います。そのため、少ない方がお互いのためにも望ましいと思いますが、単純に泣かないのがいいのかといったらそうとも限りません。
もし仮に、親が非常に強い力で威圧し、『泣くと怒られるから』といった理由から子どもが泣けない状態であれば問題です。健全な対策の結果として泣くことが減ったのであれば、それが理想だと思います。
ただ、赤ちゃん時代はあらゆる対策を取ったのに、どうにも泣き止まないということもあるものです。こういう場面では、泣き止ませることを自分に課すと疲弊してしまうので、成長に伴う一過性のものと受け止めることも大事だと思います」
Q.泣き虫なわが子に対して、親はどのように接するとよいですか。
佐藤さん「泣いてしまう理由によって対応は変わるものなので、まずはそこから検討していくことが大事だと思います。なかなか接する時間がなくて、さみしさから泣いてしまう子もいれば、自分の主張を通すために泣き落とす子もいます。
前者であれば、一緒に過ごす時間の質を上げ、スキンシップや遊びを通して密な時間をつくることで改善されやすいですし、後者であれば『泣いても通用しない場面もある』と学べると、泣くことが減っていきます。いずれにしても、泣いている場面だけで対処しようとしないことはとても重要だと思います。もっと全体像を見て、バランスを取るということですね。
親がやってはいけないNG行為を挙げるとしたら、(1)強く叱って泣きやませようとすること(2)泣き落としに屈して受け入れてしまうこと、の2点でしょうか。この2つもその場だけに目線がいってしまっていますが、それだけだと厳しくなり過ぎたり、甘くなり過ぎたりしがちになります。
泣くのをその場でピタッと止める万能な方法は、残念ながらありません。少し遠回りに感じるかもしれませんが、泣いていない時間に目を向けた対策をする方が効果的であることは多いものです。『もっと普段からスキンシップを心掛けよう』『家庭の決まり事をしっかり学んでもらおう』『生活リズムを整えてみよう』というような、間接的な働きかけです。現状の泣きに関連していると思う要因を探り、そこからアプローチしてみてください」