膨張したバッテリーはどうやって処分する?

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 スマホやパソコンなどの電子機器を使っていると、バッテリーが膨張することがあります。そのまま使い続けると事故が起きる可能性があるため、修理事業者にバッテリーの交換を依頼するか、製品ごと処分する必要があります。ただ、ネット上では「捨て方が分からない」「店によっては、製品を引き取ってくれない」といった内容の声が上がっています。

 膨張したバッテリーは、どのように取り扱ったらよいのでしょうか。処分を依頼するために、家電量販店などに持ち込んでも問題ないのでしょうか。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全広報課の担当者に聞きました。

金属製の容器に入れること

Q.そもそも、バッテリーが膨張するのはなぜでしょうか。考えられる原因について、教えてください。

担当者「スマホやパソコンに使用されているリチウムイオン電池は、劣化すると内部の電解液が分解して、ガスが発生することがあります。このガスの発生量が増えることで、バッテリーが膨張していきます」

Q.バッテリーが膨張した機器をそのまま使い続けた場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

担当者「膨張したバッテリーを使い続けていると、膨張の力で内部構造や機器本体が破壊され、電池のプラス極とマイナス極が直接つながってショートする『短絡』を起こすことがあります。すると、その火花が内部にたまったガスや可燃性の電解液に引火して発火、破裂する恐れがあります。

実際に、ノートパソコンの膨張したバッテリーパックに圧力が加えられたため、内部のリチウムイオン電池が短絡し、出火に至った事例があります」

Q.では、電子機器のバッテリーが膨張した場合、どうすればよいのでしょうか。家電量販店が引き取ってくれるケースもあるようですが、その場合、店舗まで持ち運んでも問題ないのでしょうか。

担当者「バッテリーが膨張、変形した場合は、すぐに使用をやめてください。その上で、メーカーや購入先の家電量販店にバッテリーの交換や回収が可能かどうかを事前に問い合わせ、適切に処分していただきたいと思います。

処分までバッテリーを一時的に保管する場合や、バッテリーを家電量販店まで持ち運ぶ場合は、金属製の容器に入れてふたをし、テープなどで密封することが望ましいです。万が一発火した場合に、周囲への延焼被害を低減することができます。交換の場合は、メーカーなどが専用の容器で回収してくれる場合があります。

なお、バッテリーを一般ごみとして捨ててしまうと、ごみ収集車やごみ処理場で火災が発生する原因となるので、絶対にやめてください」

Q.スマホやパソコンのバッテリーの膨張をできるだけ防ぐには、製品をどのように取り扱ったらよいのでしょうか。

担当者「次の4点を心掛けてください」

(1)車のダッシュボードの上など、高温の場所に長時間設置しない
(2)湿気の多い場所での使用を避ける
(3)機器を水没させない
(4)機器に大きな衝撃を与えない。ペットを飼っている場合は、機器をかまれないように注意

 バッテリーによる発火事故は、頻繁に発生しています。バッテリーが膨張した段階ですぐに使用をやめ、速やかに交換や処分をしてください。