限られた選択肢のなかでは、上出来のマッチメイクだろう。

 3月の国際Aマッチである。

 森保一監督のもとでリスタートをきる日本代表が、3月24日にウルグアイと、同28日にコロンビアと対戦することになった。

 各国代表チームの活動は、基本的にFIFAが定める国際Aマッチデイに基づいている。W杯予選などが組まれていないタイミングの試合では、各国のマッチメイクの力が問われてきた。

 ところが、ヨーロッパや北中米カリブ海地区がネーションズリーグをスタートさせたことで、テストマッチの様相は激変した。アジア地区の日本がテストマッチの相手に選べるのは、南米勢とアフリカ勢、それに同じアジアの国々に限られることとなった。

 3月の国際Aマッチデイも、ヨーロッパ勢はユーロ予選が行なわれる。ドイツのように公式戦のない国もあるが、23日にペルーと、28日にベルギーと対戦する。ならばドイツとできなかったのか、と考えるのは早計だろう。どちらか1試合を日本のホームで、もう1試合を自国で行なうのは、あまりにもロスが大きい。カタールW杯の再戦を日本で行なうのは、ドイツにとってメリットを見つけにくいものだった。

 日本に与えられた選択肢のなかでは、南米勢との対戦がもっとも望ましい。だが、ハードルは高い。対戦が噂されたアルゼンチンは、首都ブエノスアイレスでの連戦を予定しているようだ。23日にパナマと対戦するとの情報があるが、正式な発表は行なわれていない。

 日本国内でテストマッチを開催する場合、対戦相手が何を望むのか。中3日ないし中4日の連戦のひとつを日本で戦うのなら、もうひとつは移動の負担が少ないところで試合をしたい、と考えるのが普通だろう。昨年6月に来日したブラジルが、その前にソウルで韓国と対戦したように、である。

 今回のマッチメイクも、韓国との“セット”となった。コロンビアは24日に韓国と、ウルグアイは28日に韓国と対戦することになっている。

 その他のアジアの国々はどうか。

 オーストラリアは対戦相手を発表していない(2月16日現在)。カタールW杯の出場国では、サウジアラビアとカタールも3月のテストマッチの情報がない。どの国にとっても、マッチメイクが簡単でないことが分かる。

 UAEは3月28日に、スペインでエクアドルと対戦する。エクアドルは24日に、スペインでウクライナと向き合う。そのまま同国での連戦を求めたエクアドルと、対戦相手は探していたUAEは、思惑を一致させたのだろう。

 アジア地区同士での対戦もある。中国とニュージーランドは、ニュージーランド国内で連戦することになっている。

 各国のマッチメイクと比較すれば、ウルグアイとコロンビアを招へいした日本は、かなり奮闘したと言える。ただ、マッチメイクの大変さは今後も続く。

 6月の国際Aマッチデイも、ヨーロッパはユーロ予選が組まれている。南米が重要な選択肢になるが、アルゼンチンやブラジルを呼べるのか。そもそも南米勢とばかり対戦していて、強化になるのか。

 立場を入れ替えて考えれば、南米勢を招へいするのも簡単ではない。ブラジルに声をかけたところで、「去年(22年6月)対戦しているから」と言われそうだ。アルゼンチンの興味を惹くような材料も、すぐには思い浮かばない。

 国内開催による認知度向上や普及と、多様なタイプとのマッチメイクによる強化を、いかにバランス良く進めて行けるか。難しいかじ取りは今後も続く。