苦境の「JR関西本線」三重県が活性化事業実施へ 沿線企業にICカード配布で需要分析
2023年度からの新規事業として進められます。
輸送密度が低い山岳区間
非電化区間であるJR関西本線の加茂〜亀山間(画像:写真AC)。
三重県は2023年度の予算案を発表。そのなかで、JR関西本線の県内閑散区間である島ヶ原〜亀山について、通勤利用促進のための実証事業を行っていくとしています。予定事業費は500万円です。
当該区間の輸送密度は平成初期のわずか18%の766人となっており(2021年)、経営が厳しくなっています。廃線の危機を免れるため、県は2022年6月に、亀山市・伊賀市・JR西日本とともに「関西本線活性化利用促進三重県会議」を設置し、対策を議論してきました。
そこで次年度から、具体的な取り組みが進められる計画です。実証事業の内容について交通政策課は「沿線の通勤需要の分析を行うため、沿線企業等にICカードを配布し従業員に利用してもらうことで、需要喚起を図るほか、利用データから需要分析を行い今後の活性化促進策へつなげていきたいと考えています」としています。
笠置・木津方面では京都府と沿線自治体がすでに「沿線地域公共交通網形成計画」を策定し、駅への足となるデマンドタクシー運行など取り組みの方針を明らかにしています。三重県もそれに続いて、関西本線をめぐる課題解決へ本格的に動いていくこととなります。