野田聖子議員の夫「警察庁幹部に虚偽情報を漏えいされた」元暴力団報道めぐり国賠提訴
警察庁の幹部に「元暴力団員だった」という虚偽の情報を漏えいされて、名誉権やプライバシー権を侵害されたとして、自民党の野田聖子衆院議員の夫が1月12日、国を相手取り、計1100万円の損害賠償をもとめる訴訟を東京地裁に起こした。
●野田議員の夫は文春と裁判していた
野田議員の夫をめぐっては、週刊文春が2017年9月と2018年7月、「元暴力団員」などと報じる記事を掲載。夫側は2018年8月、「暴力団に所属していた事実はない」などとして、版元の文藝春秋を名誉毀損で提訴した。
1審・東京地裁は2021年3月、大筋で名誉毀損を認めて110万円の支払いを命じたが、2審・東京高裁は、「夫が元暴力団員」ということなどについては「真実と信じる相当の理由がある」として、55万円に減額。最高裁が今年8月、上告を棄却し、判決が確定していた。
●「警察庁幹部から情報漏えいがあった」
提訴後、野田議員の夫とその代理人は、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。代理人によると、上記裁判の2審のあと、関係者に事情聴取したところ、「夫が過去に暴力団に所属していなかった」という事実が明らかになったという。
今回の訴状によると、上記の裁判の中で、「元暴力団員」という情報が、当時の週刊文春編集長により「警察庁の幹部からの漏えいだったこと」が語られたほか、さらに「暴力団個人ファイル」という同庁の内部資料が証拠として提出されたという。
夫側は、「虚偽の情報」が管理・放置されていたうえ、警察庁の幹部によって、正当な理由なく、「元暴力団員」という情報が漏えいされたことで、名誉を傷つけられたうえ、プライバシー権も侵害されたと主張している。
●夫「自分の名誉を挽回する思い」
今回の提訴について、野田議員の夫は会見で「自分はそういう組織に所属していなかった。自分の名誉を挽回するという思いです」と述べた。夫側は同日、「暴力団個人ファイル」を不開示とした警察庁の処分を取り消すようもとめる訴訟も起こしている。