ダイソンの空気清浄機は羽根のないスタイリッシュなデザインで人気。最新モデルは10月12日に発売した「Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehyde 空気清浄ファンヒーター」(以下、Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehyde)です。

名前の通り、空気清浄機能だけでなく扇風機や電気ファンヒーターとしても使える1台3役の製品。また、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの検知と分解機能も搭載している点も特徴です。今回、ダイソンは「ウイルス対策セミナー」を開催。環境教育に強い電気通信大学 石垣陽特任准教授を招いてウイルスに有効な空気清浄機について解説。合わせて、妊娠8カ月目というモデルの福田萌子さんとのトークセッションも行われました。

Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehyde 空気清浄ファンヒーター(左)と、モデルの福田萌子さん

Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehyde。本体サイズは幅248×奥行き248×高さ764、重さは5.75kg

○新製品はシックハウス症候群の元となるホルムアルデヒドを検知・分解

ダイソンの空気清浄機は0.1μmレベルの微細な粒子を99.95%キャッチする「HEPAフィルター」と、有害なガスを除去する「活性炭フィルター」による高い空気清浄能力に定評があります。新製品のDyson Purifier Hot+Cool Formaldehydeも、この2種類のフィルターを継承しています。

Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehyde 空気清浄ファンヒーター。公式オンラインストアでの価格は92,400円。身長165cmのマイナビニュース・デジタルの林編集長と並ぶとこれくらいのサイズ感です

従来モデルから継続している専用フィルター。本体を囲むようなデザインの密閉フィルターとなっており、部屋の空気を360°から取り込んで清浄化します。外側に面した白いフィルターがPM0.1レベルの微細な粒子を99.95%除去する「グラスHEPAフィルター」、そして内側に見えるグレーのフィルターがニオイやVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)を除去する「活性炭フィルター」

ダイソンは、この高い空気清浄技術にシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの検知・分解機能を追加した「Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehyde 加湿空気清浄機」を2021年10月に発売。今回の新製品「Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehyde 空気清浄ファンヒーター」は、この加湿空気清浄機から加湿機能を除き、ヒーター機能を追加した製品となります。

右が2021年発売「Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehyde 加湿空気清浄機」、左が今回の新製品「Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehyde 空気清浄ファンヒーター」。加湿空気清浄機は本体サイズが二回りほど大きいですね。加湿空気清浄機は大きすぎるけれど、新製品のDyson Purifier Humidify+Cool Formaldehydeなら置けるという家庭も多いのではないでしょうか

ホルムアルデヒドは人体に有害であることが知られていますが、その大きさは0.1μm粒子の500分の1。一般的なHEPAフィルターでは捕集できないレベルの微小サイズです。

そこで、Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehydeは「クリプトメレーン鉱」という素材を使った酸化分解触媒フィルターを搭載。このフィルターでホルムアルデヒドを捕集し、さらに二酸化マンガンと反応させることで最終的に水と微量の二酸化炭素に分解します。

製品名に「Formaldehyde」と付いたモデルは、ホルムアルデヒドを検知する専用センサーも搭載。ホルムアルデヒドを検知するセンサーはジェルタイプのものがありますが、ダイソンの空気清浄機には長く使っても検知精度が落ちにくい固形ホルムアルデヒドセンサーを採用しています。



Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehyde 加湿空気清浄機から追加された酸化分解触媒フィルター。有害成分を分解する仕組みのため、半永久的に使えて交換の必要はありません

検知が難しいというホルムアルデヒドを正確に識別する固体ホルムアルデヒドセンサー

○アルコール除菌によって性能が半分以下になる空気清浄機も

セミナーでは、環境教育に力をいれている国立大学法人 電気通信大学 石垣陽特任准教授が登壇。空気清浄機とウイルスの関係について説明しました。

電気通信大学 石垣陽特任准教授

人間に対してウイルスが近づいてくる経路は複数ありますが、今回注目されたのは空気中に浮遊する「エアロゾル」。ウイルスは咳やくしゃみ、会話でも飛散します。ただし、口から飛び出た瞬間は唾液につつまれた大きな飛沫です。

大きな飛沫は比較的素早く床に落ち、人に悪影響を及ぼしにくくなります。しかし、水分が蒸発することで飛沫粒子は小さくなり、小さくなった粒子によっては数時間も空中を漂い続けてエアロゾルとなります。とくに冬は空気が乾燥しているので飛沫の水分が早く蒸発し、エアロゾル化したウイルスの量も増えやすいといいます。



エアロゾルに有効な対策のひとつが空気清浄機。とくにHEPAフィルターを使用した製品とのことです。HEPAフィルターとは、日本のJIS規格において「粒径0.3μmの粒子に対して捕集効率99.97%以上」あるフィルターを指します。石垣氏によると、この規格を満たしたフィルターなら、空気清浄機の内部で完全といっていいレベルまでウイルスを除去できるそうです。

ただし、HEPAフィルターにはいくつかの注意事項があります。とても重要なのは「静電HEPAフィルターにアルコールは厳禁」というもの。

HEPAフィルターには大きく2種類、「物理的に粒子を捕集する」ものと「静電気でゴミを吸着する」ものがあります。そして、静電気でゴミを吸着する「静電HEPAフィルター」は、アルコールによって放電が発生して捕集性能が半分以下になるのです。しかも、一度放電したフィルターは、ふたたび帯電することはないといいます。



石垣氏の説明では、静電HEPAフィルターを採用した空気清浄機の近くで除菌アルコールスプレーを利用すると、空気清浄機の性能が著しく落ちる可能性があるとのこと。一方、ヨーロッパの規格(EN 1822 1)においては、HEPAフィルターは「粒径0.15μm前後に対して放電後の捕集効率99.95%以上」という要件です。

ここで注目するのは「放電後」という文言。つまり、ヨーロッパ規格で基本的に物理タイプのHEPAフィルターを想定しており、アルコールによって「知らないうちに捕集効率が大きく落ちていた」という問題が生まれないのです。石垣氏は「静電HEPAフィルターにもさまざまなメリットはある」としつつ、安全性を考えるなら物理HEPAフィルターをすすめます。ちなみに「グラスファイバーHEPAフィルター」はアルコールの影響を受けることがなく、ヨーロッパのメーカーであるダイソンの空気清浄機もアルコールの影響を受けません。

○モデルの福田萌子さんを交えたトークセッション

空気清浄機はもともとダイソン製品を使っていたけれど、これから生まれる子どものために新しく1台追加したと語るモデルの福田萌子さん

セミナー後半はモデルの福田萌子さんと石垣氏のトークセッション。現在、妊娠8カ月目の福田さんは「妊娠後期はお腹が圧迫されて呼吸が浅くなりがちなので、意識して深く呼吸するようにしている」とコメント。普段はあまり意識しない「呼吸」という行為にフォーカスすることで、空気の質も気になるようになったそうです。

また、最近はホコリで鼻がムズムズしたりくしゃみがとまらなくなったりすることも増えたとのこと。これに対し石垣氏は、妊娠などのさまざまなタイミングで感受性が高くなるステージがあると回答しました。そういったタイミングで引っ越しをしたり、家具を買い替えたりする人も多いのですが、新しい家の壁紙やカーペット、あるいは新しい家具にはホルムアルデヒドを揮発させる接着剤が使われていることも多いと語りました。



ダイソン以外の空気清浄機でも、活性炭フィルターでホルムアルデヒドを捕集できるといわれている製品はありますが、専用フィルターと専用センサーも搭載してホルムアルデヒドに対応したのは「Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehyde 空気清浄ファンヒーター」と「Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehyde 加湿空気清浄機」の大きな特徴です。花粉やウイルスの除去性能に加えて、シックハウス症候群で悩んでいる人やこれから新築物件に引っ越すという人は注目してみてください。

倉本春 くらもとはる 生活家電や美容家電、IoTガジェットなど、生活を便利にする製品が大好きな家電ライター。家電などを活用して、いかに生活の質をあげつつ、家事の手間をなくすかを研究するのが現在最大のテーマ。 この著者の記事一覧はこちら