2列目に関しても、左に南野拓実(モナコ)が入れば、より守備の強度は上がるし、右の堂安律(フライブルク)も球際では激しく寄せて相手SBにフタをすることは可能だ。

 トップ下も鎌田と久保を併用できるし、ボランチも遠藤か守田にアクシデントが起きても、田中碧(デュッセルドルフ)や原口元気(ウニオン・ベルリン)のようなアグレッシブな人材が控えている。

 4−3−3だと中盤は遠藤、守田、田中が揃っていないと阿吽の呼吸が生まれない傾向が強かったが、4−2−3−1なら多様性や柔軟性がより高まる。そこは大きなメリットではないだろうか。
 
 こうして布陣が変わっても瞬時に対応できるようになってきたのも、チームの成長の証。そこは遠藤もしみじみと語っていた点だ。

「相手が戦術的にどういうチームか、どう来てるかっていう判断は僕自身、シュツットガルトで学んだところが大きい。他の選手たちもいろんな監督、戦術の中で学んでいて、それを代表に落とし込もうとしていて、最終的に監督が方向性を決める。最終予選から意見を出し合いながらやってきて、今、ようやく整理されつつあるのかなと。その結果がうまくハマりつつあると思います」

 今回、見せた「進化系の4−2−3−1」は、長い模索の末にたどり着いた最適解の1つなのかもしれない。いずれにせよ、W杯本番では日本が長い時間、ボールを持って攻め続けるような戦いには絶対にならない。だからこそ、さらにブラッシュアップし、隙のない守備システムと攻撃の形を確立させることが肝要なのだ。

 ドイツやスペインは、アメリカの上を行く戦いを見せてくるだろうし、今回の勝利で楽観することは決して許されないが、遠藤が言う“個々がクラブで磨いた判断力”を結集して対抗すれば、ひょっとすればひょっとするかもしれない……。そんな期待を抱かせてくれるアメリカ戦の戦いぶりだった。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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