ラ・リーガ今季注目の11人/MF&FW編  GK&DF編>>

スペイン最大手スポーツ紙『マルカ』のマリオ・コルテガナ記者に、ラ・リーガで今季見逃せない11人を選んでもらった。こちらはMF&FWの6人。開幕からすばらしいプレーで結果を残し、見る者を熱狂させている。

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バルセロナで開幕から得点力を発揮しているレバンドフスキ photo by Getty Images

チームの象徴的な存在

MF/ナビル・フェキル(ベティス)

 クラブの財政難により売却の噂は絶えないが、ナビル・フェキルはベティスサポーターにとって、チケット代を払ってでもスタジアムで見たい選手であり、自宅ではテレビ前に釘付けにさせられる選手であり続けている。

 プレーの流れを作るだけでなく、最後の局面で決定的な役割を果たす仕事を担っており、すでに1得点1アシストを記録。ベティスがレアル・マドリードと並び、リーガ開幕から全勝ち点を獲得しているチームとなっていることに、とくに貢献している選手のひとりと言える。

 今季すでに2試合でキャプテンマークを巻いており、チームの象徴的な存在へと成長している。

 一方、気性の激しさが仇となり、3試合ですでに2枚のイエローカードをもらっている。そのため、ファール数がリーガ6位(5回)というのは意外に少なくも感じられる。また被ファール数はリーガ4位(8回)だが、ドリブルを8回成功させていることを考慮すると、それだけのファールを受けていてもおかしくはない。

MF/ルカ・モドリッチ (レアル・マドリード)

 ルカ・モドリッチは先日レアル・マドリードでのデビュー10周年を迎え、9月9日で37歳になるところだが、決して闘うことをやめないその肉体は、生物学的な研究結果さえも打ち負かし続けている。

 リーガとチャンピオンズリーグのチャンピオンチームにおいて、その役割は加入当初から何ひとつ変わっていない。今も昔も中盤で必要不可欠な選手であり、彼が「最高のボディガード」と称したカゼミーロが退団した今、その重要度はさらに増すことになるだろう。

 リーガ開幕のアルメリア戦で後半頭に投入されると、0−1で負けている状況のチームに火をつけ、2−1での逆転勝利に成功した。続くアウェーのセルタ戦ではゴラッソを記録し、ヴィニシウスのゴールをお膳立て。その際ヴィニシウスはモドリッチに対しお辞儀で感謝を伝え、途中交代する時にセルタサポーターからスタンディングオベーションが送られていた。

 モドリッチのように、針の穴を通すようなプレーを体現できる選手はほぼ存在しないだろう。それはここまでのパス成功率平均が95.18%、敵陣でのパス成功率平均が91.74%というふたつの数字が物語っている。これほどのレベルのプレーを披露しているため、2024年まで契約延長する可能性は非常に高いと言える。

リーガ屈指の選手

MF/ウィリアム・カルバーリョ(ベティス)

 今回、ウィリアム・カルバーリョを選んだことは不思議に思われるかもしれない。これまでホームのベニート・ビジャマリンでは、常に批判の的にされてきたが、昨季、中盤の核としてサポーターの信頼と愛情をようやく勝ちとり、今季を華々しい形でスタートしている。

 クラブは今夏、選手全員をリーガ登録するのにサラリーキャップ問題を解決しなければならなかったため、カルバーリョを売却しようとしていた。30歳という年齢なので、その判断は当然だと言えるだろう。しかし純粋にチームのことを考えると、それは間違いだった。そしてこの度、契約延長の発表があった。

 カルバーリョの今季ここまでのデータを見ると、パス成功数(206本)、プレーへの関与数(282回)、ドリブル成功数(11回)がリーガトップ。さらにデュエル勝利数(26回)、敵陣でのパス成功数(110回)が2位とあらゆるものが優れている。リーガ屈指のMFだと言えるだろう。

FW/ヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)

 ヴィニシウス・ジュニオールはもはや、単なる優秀な選手ではなく、彼自身がひとつのシステムであるかのようなレベルにまで到達している。チームの調子に関係なく、彼のプレーはいつでもほぼ正常に機能している。それはボールをキープして相手を引きつけ、スペースを作り出し、ペナルティーエリアまでドリブルを仕掛ける、というものだ。

 以前はパフォーマンスにムラがあったが、今は精度が非常に高くなっている。昨季、17ゴールを決めてリーガ得点ランキングで3位となり、さらに10アシストを記録。今季もすでに2得点1アシストと、シーズン初めから好調を維持している。

 今季の3試合で1対1を仕掛けた回数はリーガ3位(40回)、被ファウル数(11回)、CK獲得数(8回)はともにリーガトップと、さまざまな統計からも彼が決して立ち止まることなくトライし続けている選手であるのがわかる。今もっとも試合の均衡を破ることができる選手に限界はない。

目下得点王の2人

FW/ボルハ・イグレシアス(ベティス)

 サポーターからその決定力を疑問視されていたボルハ・イグレシアスが、現在の状態になることを誰が想像しただろうか。

 批判の大半は「彼ならもっとできるはず、もっとやるべきだ」というものだった。そして今、彼に期待していた人々の批判が正しかったと時間が証明してくれた。今季開幕からの3試合で4得点を記録し、ロベルト・レバンドフスキ(バルセロナ)と並び、リーガ得点ランキングでトップに立っている。一方、昨季は4点に到達するのに後半戦までかかっていた。

 ボルハ・イグレシアスが今季決めたゴールはすべて、ペナルティーエリア内での右足という形である。そのうち2ゴールはPKからだが、それは彼が得点ランキングトップである功績を損なうものでは全くない。

 また4ゴールを決めるのに費やした枠内シュート数はわずか5本(総シュート数6本)。それは彼が高い決定力を備え、相手DFに致命傷を与える存在になったことを示している。

 ドリブルをせず、ペナルティーエリア内でのみ仕事をする彼のプレースタイルは、絶滅寸前のストライカーと言える。しかし、ゴールを決めるためそこに居続けることが、彼の大きな価値である。

FW/ロベルト・レバンドフスキ (バルセロナ)

 ロベルト・レバンドフスキはブンデスリーガ253試合238ゴール、1試合平均0.94ゴールという偉大な記録を残してバイエルンからスペインへとやって来た。

 その類まれな得点力は、リーガ優勝を目指すバルセロナにとって今季最も強力な武器となるだろう。彼の存在によってチームは毎回、1−0のリードで試合を始められることをほぼ保証されているようなものであり、すでにそれが示され始めている。

 レバンドフスキはリーガ開幕からの全3試合に先発出場し、レアル・ソシエダとバジャドリード相手にドブレテ(1試合2得点)を達成。しかし彼はゴールを決めることのみに秀でた選手ではなく、味方をサポートする能力にも長けている。すでに2つのゴールをお膳立てしており、バルセロナがここまでに決めた8得点のうち6得点に絡んでいるのである。

 ゴールチャンスを生む能力が圧倒的に優れ、今季のリーガで彼よりシュート数が多いのはカリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)のみ。今季のクラシコは昨季のゴールデンシューを獲得したポーランド代表FWと、バロンドールを受賞する可能性の高いフランス代表FWとの見応えある一戦となりそうだ。

 レバンドフスキは、今季のリーガに花を添える非常に魅力的な選手である。