夏競馬もいよいよ最終週。小倉競馬場の夏開催のフィナーレを飾るのは、GIII小倉2歳S(9月4日/小倉・芝1200m)だ。

 このレースの過去の結果を振り返ってみると、1番人気が苦戦している傾向がある。直近10年でわずか2勝しかしておらず、現在5連敗中だ。

 その要因のひとつとして考えられるのは、馬場状態。夏の早い時期に勝ち上がった有力馬は、連続開催で使い込まれた馬場への対応に苦慮している印象がある。

 とはいえ、過去2年と同様にこの夏の小倉開催は暑熱対策のため、"中休み"がとられている。馬場に関しては、以前に比べるといい状態が保たれていると考えていい。実際、デイリー馬三郎の吉田順一記者はこう語る。

「小倉のオール野芝は、とにかく元気いっぱい。根つきのいい『エクイターフ』の威力は前の開催から示されていましたが、今開催でも雨中の競馬となった6週目こそ、芝の塊が飛ぶシーンが見られたものの、先週には回復し、多少の凸凹があっても馬場が掘れるようなことはありませんでした」

 ただし、この週末は台風の影響がありそう。その点を踏まえて、吉田記者はこんな見解を示す。

「確かに今週の九州地方は、週中からずっと雨予報。土日のレース中に雨が降るか、降らないかでかなり変わってきますが、それでも6週目に近い状態で馬場は荒れそうな気がします。凸凹がさらに目立つようになって、3〜4角にかけては内から2頭分、直線では内から3頭分は、ジョッキーも避けていくかもしれません」

 そうした馬場状態を鑑みて、吉田記者は有力馬の取捨についてこう言及する。

「先週までの時計が速く、スピードやキレ味が求められるような馬場なら、プロトポロス(牡2歳)が素材的に断然かと思っていました。もちろん、そこまで雨が降らず、時計が出る馬場が保たれていれば、圧勝のシーンも考えておきたい馬です。

 しかし、つなぎが長く、飛びのきれいな走法からして、渋化馬場になったらかなりの影響を強いられそう。その可能性が高い今、そこまでの信頼は置けません。

 一方で、GIII函館2歳S(7月16日/函館・芝1200m)2着から参戦するクリダーム(牡2歳)は、馬体のボリュームや脚元から、力の要る馬場になればパフォーマンスが高まりそうな気がします。ただそうは言っても、今までにないローテーションでの参戦。絶対視するまでには至りません」

 そこで、吉田記者は波乱の目もあると見て、2頭の穴馬を推奨する。1頭目は今年の2歳馬が初年度産駒ながら、すでに6頭が勝ち上がっているサトノクラウン産駒だ。


小倉2歳Sの大駆けが期待されるメイショウコギク

「メイショウコギク(牝2歳)です。小柄なサトノクラウン産駒ですが、回転の速いピッチ走法で、グリップの利いた走りが特長。相当力が要る極悪馬場にならない限り、この馬のパフォーマンスが落ちることはないでしょう。

 気のいいタイプで、今週の追い切りでもキビキビしたフットワークを見せて好気配。馬体面での上積みは感じられませんが、中2週でしっかりと2本の攻めを施して、気性面はピリッとしてきました。

 前走の新馬戦(8月13日/小倉・芝1200m)では逃げて勝ちましたが、自分でペースを落として、上がり最速をマーク。後続に1秒差をつける圧勝劇を演じました。逃げにはこだわらず、どんな競馬でもできそうなイメージもあるので、ここは絶好の狙い目です」

 吉田記者が注目するもう1頭は、連闘で挑むバレリーナ(牝2歳)だ。

「先週のGIII新潟2歳Sでも、連闘策をとったウインオーディンが2着と好走。レースを詰めて使うことで、精神面が安定することもあり、バレリーナにもその効果があると見ています。現に滞在しての連闘策でも、馬は元気いっぱいです。

 初戦となる先週の新馬戦(8月28日/小倉・芝1200m)のパドックでは、初めは物見をして慎重な周回でしたが、慣れてくるとテンポのいい周回になっていました。レースでも好枠(1枠1番)発走からハナを奪うと、直線でもメンバー最速の上がりを記録し、後続を引き離して完勝しました。

 短めのつなぎで、回転のいいピッチ走法。脚元や走法から、多少の渋化馬場はこなせる算段です。

 また、馬体重以上に馬格があり、前向きな気性で追ってからもしっかりしています。逃げずとも競馬ができそうな点も心強い限り。こちらも、積極的に狙っていきたい1頭です」

 夏の小倉開催の最後を飾るのは、どの馬か。馬場次第では、ここに挙げた2頭の大駆けがあっても不思議ではない。