【退去時の賃貸住宅ビフォーアフター】賃貸管理会社がしていることDAY3:クリーニング
最も長い1日だった
立会い(DAY1)、壁紙の張り替え(DAY2)が終わり、最後の工程、クリーニングの日がやってきました。清掃業界を知らず「クリーニング」の中身がまったくわかっていなかったので、まさかこんなに細かく膨大な作業の連続で時間が流れていくとは……と、驚きの1日でした!
部屋の隅々までキレイにする
この日見学させていただいたのは、部屋(専有部分)が全部ピカピカになっていく様子です。
一番すごいと思ったのは、すべて手を使った作業だったことです。水と洗剤と雑巾と細かいところに入り込むドライバーのような小道具などを使って、ただひたすらに丁寧に綺麗にしていくという工程でした。
見学スタート!
この日も朝9時に伺いました。
見学したいシーンを職人さんに伝えると、そのなかの一つ、ワックスがけは最後の工程とのこと。17時ごろには終わるかな……と大体の目安を聞きました。
ベランダを作業場にして掃除→窓掃除
スタート地点は見逃しましたが、空気孔やエアコンのフィルターなどを掃除しているところから観察スタート。
しばらくすると窓の掃除が始まります。
オフィスビルの中から見る窓ガラス掃除をしている方たちに対して、長年「ちょっとやってみたい」と憧れていることもあり、直近でこの光景を目撃できてひそかにテンションが上がりました。
スキージーで水滴を取る動きまで、オフィスでチラ見していた姿と同じ! 最後の水滴を処理する際の動きが独特ですね。パッと見てすぐには真似できない動作でした。
洗い終わった網戸やフィルター類は、そのまま自然乾燥させます。ガラスのほかサッシも水で洗い流していきます。
拭き掃除の際、サッシの間に差し込まれた小道具にくぎ付けになりました。タオルと、その手前に細い棒状の小道具を使って、細かな部分も綺麗にしていくのだとわかります。
水や洗剤で汚れを落とし、2枚の雑巾で拭きあげていくのですが、同じところを規則的に何度か拭くというとても丁寧な仕事でした。
自分の生活の中でも掃除はします。ですが、「え、掃除ってここまでするの」と驚くほどの徹底ぶりです。「今日は台所」などと局所的に掃除をすることはあっても、部屋全部を徹底的にピカピカにしていくという動きの連続を目にして、ただただすごいと思いました。
サッシ以外も、小さな隙間をすべて掃除
窓掃除のあと、照明器具、棚の掃除、玄関のシューズクローゼットなどへと移行し、巾木(壁の下、床と接触する部分についているもの)の掃除も行われます。
エアコンクリーニング
11時すぎ。エアコン内部の洗浄に動きがありました!
汚れを浮かせるためか、少し時間を置きます。
エアコンはそれほど汚れていなかったようで、バケツの底が見える程度の汚れでした。
最大の難関、お風呂
この日、小さな工事や部品交換を除き、クリーニングで一番時間と手間がかかったのはお風呂場です。プロに「汚れが取れるかわからない」と言わしめた状態の鏡の曇り。「掃除してなかったかもですね」とプロに言わしめた排水溝まわりです。
お風呂BEFORE
閉め切って掃除!
カビ取り剤と水垢汚れを取る洗剤をどちらも使って、とにかくここでもゴシゴシと手が使われていきます……!
見学した中で唯一、電力が使われたシーンがこちら!
研磨後、ガラスはピカピカに見えました。しかし「白いのは乾かしてみないと本当に取れたかどうかはわからないです」とのこと! 「どこまで落ちているかはあとで確認します」と。確認まで含めると、時間がかかりますね……。
このあとお風呂の扉を閉め切って作業が続きました。おそらく熱いお湯と水圧とできれいにしていったのだろうと想像されます。作業のあとは、お風呂場の室温がかなり上がっていました。
お風呂をキレイに保つためのプロからのアドバイス
ありがたいことに、お風呂掃除のポイントも教えてもらいました!
お風呂から出る前に、
50度くらいの熱めのお湯を全体にかける。そうすると石鹸カスが流れる そのあと100均で売っている水切り(ワイパー)で、全部の水分を取る! 電気代を気にしないならすぐ換気モードにして乾かすお風呂を使うたびにここまですれば、石鹸カスも残らずカビも生えないそうです。
キッチン
最大の難関のあとは新しいTシャツに着替えて、キッチンまわりの掃除です。入居期間が1年少々と短めなので、油が付着してからの期間も短くこびりついて剥がれない汚れはなかったようです。
今回の見学で、汚れた部分に薬剤をかけてしばらく放置するんだ! ということに気づきました。自分でも取り入れたいと思います……。
キッチン扉は、汚れ度合いによっては掃除しても後日汚れが浮き上がってくることもあるそうです……!!! 部屋を借りる住人としては、汚れたらすぐ掃除をすることが大事なようです。
ワックス剥がしとワックスがけ
小さな工事が想定よりも難航するなどして、床のワックス工程は17時すぎに始まりました。
ワックスを剥がす
専用の液体で、古いワックスを剥がしていきます。
床に薬剤をまいて、古いワックスを取り除いていきます。モップで薬剤を床全面に伸ばしています。
この日初めて見る手袋! よほど強い薬剤なのだろうと想像されます。ワックスが分厚く塗られていてモップでは取れない部分があるようで、そんなときは手(人力)が登場します。
浮いた古いワックスは部屋の1カ所に集められ、まとめてちりとりでバケツへと移動。フローリングをガードしていたワックスがなくなると、キレイな状態の木が現れました。
ワックス剥がしの工程段階で、飯島さんからまだまだ時間がかかると告げられ、ここでタイムアップとなりました。翌日ピカピカになった様子を拝見することにして、ここで現場をあとにしました。
ピカピカになった! ビフォーアフター
翌朝現場を訪れると、窓全開で街の音とともに作業が続く前日のざわつきの気配は消え、落ち着いた空間が広がっていました!
まだ紹介していなかった退去直後の様子と、原状回復工事終了後の様子がこちらです。
BEFORE
AFTER
取材班が立ち去った前日の見学後も、丁寧な仕事が続いたんだろうとわかる、うっすらとかけられた新しいワックス!
ずっと集中がとぎれない濃い1日で、一言で「クリーニング」といっても膨大な作業内容なんだと理解することができました。
内覧できる状態まで整いました!
原状回復工事が終わったあとは、関係者で状況を確認する完了検査を実施します。追加工事などが発生しなければ、内覧者を迎える準備が完全に整ったことになります。あとはこの部屋を気に入ってくださる次の入居者さんを待つばかりです。
3日にわたる見学はここで終了です。
多くの方が関わっていることがわかり、今まで見えていなかった期間に何が起こっているのか、今後想像できるようになりました。
現場の見学にご協力いただいた関係者のみなさま、ありがとうございました!
【賃貸住宅の退去ビフォーアフター】賃貸管理会社がしていること DAY1:立会いから計測まで
【退去時の賃貸住宅ビフォーアフター】賃貸管理会社がしていること DAY2:壁紙の張り替え
撮影:森 真梨(*マークは筆者撮影)