※この記事は2015年11月02日にBLOGOSで公開されたものです

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イングランドで開催されたワールドカップにおいて、強豪南アフリカを撃破するというジャイアントキリングを起こしたラグビー日本代表。グループリーグで敗退したものの史上初となる３勝挙げた同チームを率いたヘッドコーチ、エディ・ジョーンズ氏が２日、日本外国特派員協会で会見を行った。

南ア戦では「ドローを取るべき」だといった


エディ・ジョーンズ氏は、劇的な勝利を挙げた南アフリカ戦の終盤、残り時間わずかでペナルティのチャンスを得た時の心境について問われると「自分は、『ドローを取るべきだ！３点を取るんだ』と怒鳴り散らしていた。『ここまで来ただけで十分だ』と。しかし、リーチ・マイケルがスクラムを選択した時には、『もういいよ！じゃあどうなるか見てやろう！』という気持ちだった」と笑顔で振り返った。そして、この選択の結果、逆転のトライが生まれたことについては、「本当に素晴らしいと思った。彼は素晴らしい意思決定をした」と主将の決断を称えた。

また、ラグビーの国際統括団体であるワールドラグビーがファン投票で選出する「ワールドカップ最高の瞬間」に南アフリカ戦の勝利が選出されたことについては、「いま質問されて初めて知った。あの試合は本当に素晴らしかった。夢物語、おとぎ話ですよ。『おとぎ話は現実とは違うよ』というけれど、現実になったわけですから」と話した。

今回の代表チームの躍進により、日本における“ラグビー熱”が高まっていることから、地元開催となる2019年に向け、今後の4年間の取り組みが重要であるとも指摘した。

成功には“計画”が必要


昨日限りで日本代表チームを退任した同氏に対して、記者からは、「今後の日本ラグビー界の課題」「日本の選手に足りないもの」といった質問が相次いだ。

日本ラグビーの課題については、「体格的には世界一は無理かもしれないが、戦術的な部分で世界一を目指すことが出来る可能性はある。これは女子バレーボールなど他のスポーツにも言えることだ」と選手たちの奮闘をたたえる一方で、「成功は偶然やってこない。 世界のトップは若い世代から計画を立てて選手の強化を行っている。これが日本ではできてない」と育成の問題点も指摘した。

さらに、メディアの問題点も指摘。「日本のジャーナリストに『どのチームが素晴らしいか』と聞いたが、答えが返ってこなかった。ニュージーランド、オーストラリアの記者たちには、何らかの意見あるものです」と述べ、このエピソードを基に、「これはチャンスだよ！彼らは確固たる素晴らしいチームのイメージがないようだから、今後は同じ質問をした時に君たちの名前が返ってくるようにしよう」と選手たちを激励したという。

新たに海外プレーヤーが誕生？


会見中、日本人プレーヤーが海外でプレーすることについて問われると、「『次の香川になりたい』『次のダルビッシュ』になりたいといったように、次の世代がより大きな夢を持てるような環境をつくることは重要だ。日本のキープレーヤーも海外でプレーするようになるだろう。誰なのかは、まだ言えない」と話し、新たに日本人プレーヤーが海外進出を果たす可能性を示唆した。

また、2019年に再び日本代表のコーチに就任する可能性について問われると、「『絶対にない』なんてことは言いません」と語り、笑顔を見せた。