最大級の被爆建物旧陸軍被服支廠4棟すべてが保存される見通しとなりました。

被爆者からは喜びの声があがっています。

軍服などを製造していた被爆建物旧陸軍被服支廠は4棟が現存しています。

3棟を所有する県はこれまで建物の耐震化を打ち出していましたが19日、国は残る1棟の耐震化工事をすることを明らかにしました。

4号棟を調査した中国財務局によると、柱や梁など建物全体の強度は十分ですが、部分的に補強が必要な場所もあるということです。

財務省中国財務局 永井典夫管財部長「被爆建物としての価値がある。重要文化財的な価値もある。我々も県、市、関係省庁と連携して対応していく」

一方、被爆者からは喜びの声が上がっています。

切明千枝子さん「全部残してほしいと思っていたので、今ホッとしているところです」

15歳で被爆した切明千枝子さん(92)は、幼い頃被服支廠の中にあった保育所に通い、学徒動員のためここで働いたこともありました。

切明千枝子さん「日本がおぞましい戦争をしてきたことの証でもあるし、大変な被害を受けたことの証でもあるし、戦後の復興を、ものは言いませんけど見てきた倉庫でもあるしいろんな意味であの建物は貴重な存在だと思う」

「もの言わぬ証人」である旧陸軍被服支廠。今後、国は県や広島市と連携し活用策について検討するということです。