高松空港の「蛇口からでるうどん出汁」は、うどんにかけてもOKなのか? 「正しい使い方」を聞いてみた
香川県の玄関口である高松空港。その中に「さすがうどん県」としか言いようがない「うどん出汁サーバー」が存在することは有名だが、ツイッターではそれにまつわる「ある疑問」が注目を集めている。
話題のきっかけとなったのは、2022年4月23日にとあるツイッターユーザーがこの写真と共に投稿したつぶやきだ。
「香川の高松空港には本物の出汁サーバーがあって誰でも飲めるんだけど、本当に出汁サーバーしかないから、うどんは自分で持っていかないといけない...香川県民ならうどんくらい常に持ち歩いてるだろという謎の圧力」
写真に映っているのは、小さな屋台のようなもの。蛇口が1つ付いており、「冷た〜いうどんだし」と張り紙がされている。これが「出汁サーバー」である。
しかし、確かに周りのどこにも「麺」が存在しない。うどんだし単体を楽しめる、という場所なのだろうか。それとも、うどんは持参することが前提?
この投稿に対し、ツイッターでは
「なにこれ。最高やん」
「香川にとって麺つゆは飲み物」
「流石はうどんの聖地香川県ですわ」
といった反応や、「お酒に混ぜるのはいいのかな」「出汁だけ入れていいのなら、麺も、うどん以外のものを入れて持ってくる人もいるかもね」とその活用方法を気にする声が寄せられている。
実際、このサーバーはどうやって使うのが正しいのだろう?
Jタウンネット記者は投稿者と高松空港に話を聞いた。
「機内ドリンクに採用してほしい」
4月25日、取材に応じた香川県出身の投稿者によれば、写真は2019年10月に帰省した際、撮影したものだという。
撮影時は準備中のため利用できなかったが、このサーバーとは別の場所にある「温かい出汁サーバー」を利用したことがある、と投稿者。
「関東のうどん出汁とは異なり、香川のうどん出汁はいりこの優しい風味となっているので、何杯でも飲める美味しさです。飛行機の機内ドリンクに採用して欲しいほどです」
と教えてくれた。サーバーの横には紙コップが設置されており、その場で飲むことができるそうだ。
28日、記者は高松空港にも取材した。
高松空港には、投稿者も言っていた通り「温かいうどん出汁の出る蛇口」と 「冷たいうどん出汁の出る蛇口」 の2種類がある。いずれも無料だ。先に出来たのは「温かい」方で、2010年、観光特産品の展示コーナー「空の駅かがわ」内に作られた。空港はその設置理由を
「この頃、空港に新しい香川 PR ブースとして『空の駅』を作ろう!という話になっていましたが、もっと話題性がほしいという話になり、香川といったらうどんですから、『だったら出汁でしょ!』ということでうどん出汁の出る蛇口を作りました」
と明かす。
なるべく多くの利用者に飲んでもらいたいから...
もうひとつの「冷たい出汁の蛇口」というのが、今回話題となった屋台風の蛇口。
2 階出発ロビーにある直営売店 「四国空市場」前にあり、売店のオープンと同時の19年 に作られた。
「新規オープン店舗の話題作りになればとの思いと、温かい出汁は1日200杯程度の提供だったため、午後からは品切れとなっていることも多かったので、この蛇口は人数制限がかからないように工夫し、売店オープンの時間帯はいつでも飲んでいただけるようにしました」(高松空港)
気になるその利用の仕方だが、高松空港によれば
「どちらの蛇口とも、小ぶりな紙コップでの試飲に限定させていただいています」
とのこと。「なるべく多くの利用者に飲んでもらいたい」という理由から、それ以外の用途はNG。
つまりうどんにかけたり、持ち帰ったりというのはルール違反となる。
蛇口からはそれぞれ、温かい方は空港にテナントとして入っている地元のうどん屋「さぬき麺業」の出汁を、冷たい方は不定期で変更しているそうで、「どこの出汁にあたるかは空港にお越しいただいたときのお楽しみ」になっている。
だが残念ながら、この蛇口はどちらも、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、2020 年3月初旬から、現在も利用を休止している。再開時期も未定だ。
いつかまた蛇口が再開した際には、「うどん県」の美味しい出汁を味わいに、ぜひ高松空港へ足を運んでほしい。