頭のいい人がやっていることを解説します(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力や抽象的な思考能力など、「頭がよい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当で、MBS/TBS系『100%!アピールちゃん』でタレントの小倉優子さんに大学受験の指導もする西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時には東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う会社「カルペ・ディエム」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載。第5回は疑問を持つことの重要性について西岡氏が解説します。

身の回りのことからさまざまな意味が読み取れる

頭がいい人とそうでない人の間には、いったいどんな違いが横たわっているのか、みなさんは考えたことがあるでしょうか。偏差値がもともと35しかなくて、高校生になっても「制服」という漢字が書けず「生服」って書いていた自分は、頭がいい人とそうでない人の決定的な差がどういうものなのか考えたときに、「これだ」と胸を張って思う結論が1つあります。

それは、「なぜ?」と考えることです。『ドラゴン桜』の中にも「だからあなたはバカなのだ!」と生徒を先生が一喝するシーンがあります。



(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)

いかがでしょうか。このシーンはとても印象的で、かつ重要なワンシーンだと思います。

僕が「制服」という漢字が書けなかったという話をしましたが、「制服」って制度の制ですよね。その服を着ることが決められているものだから「制服」だったというわけですね。これがわかっていれば僕は「生服」なんて考えなかったわけです。

情報に対して「なぜ?」という目を向ける

ただ覚えているだけでは意味がなく、それに対してしっかりと「どうしてこうなっているんだろう?」と考えること。何か与えられた情報に対してただそのまま鵜呑みにするのではなく、「どうしてだろう?」と考える。

桜木先生もドラゴン桜の中で「お前らバカなままだったら一生だまされるぞ」と言っています。


(漫画:©︎三田紀房/コルク)

これはつまり、情報に対してきちんと「なぜ?」を向ける姿勢がないと、人から簡単にだまされてしまうということを言っているのだと思います。

目の前のことを、ただ漫然と目に入れて鵜呑みにしない。「なぜだろう」ということを考えて、より深く理解しようとする。そういうアプローチこそが、頭がいい人がやっていることなのではないでしょうか。

これを言い換えたら「好奇心」とか「批判的思考力」というのかもしれません。どんな言葉であれ、やはり頭のよい人は「考える」ということから目を逸らさないから頭がいい人であり続けるわけなんですよね。どんな物事でも、「どうでもいい」と流さないでいることが必要なのです。

それを証明するかのように、東大の入試問題は実は、ある程度の基礎を前提としつつ、「覚えているかどうか」を問う問題をほとんど出しません。

出題されるのは、「なぜ?」という問いです。

・なぜシャッター通り商店街が増えているのか?
・なぜ世界大戦は他の戦争と比べて甚大な被害が発生したのか?
・なぜ長野県と茨城県はレタスが多く収穫できるのか?

これはすべて東大の入試問題です。日常生活をただただ「どうでもいい」と思って生きて、机の前に座って暗記しているだけでは解けません。日常生活やニュース・教科書に書いてあることに対して、「なぜ?」「どうして?」という疑問を向けないと答えられない問題なわけです。

だから好奇心がないと突破不可能な試験が東大入試だといえます。「なぜ」と問い、その問題の答えをいかに出すのかという、「自ら問いを作り答えを探す能力」を東大は求めているのです。

疑問の答えをそのままにしない

そしてこの「なぜ?」を問う能力を身につけるために必要なのは、いつでも問いを探し、答えを探すという姿勢です。「なぜ?」と考えた時に、スマホで調べたり、人に聞いたり話したりして、答えを出そうと考える習慣を持っておくのです。

・どうして空は青いのか?
・日常生活で何気なく使うこの英単語の意味はなんなのか?
・なぜファストフード店は多店舗展開しているのか?

そういった、普段の生活でぶつかる疑問の答えを、そのままにしない。そのままにしないで、調べて、考える習慣を持つわけです。

いかがでしたか。頭がいい人とそうでない人の差って、生まれつきのものであるかのように語られることが多いですが、でも実はこんなふうにちょっとした習慣で差が生まれているのです。みなさん、ぜひ好奇心を持って毎日を生きてもらえればと思います!

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)