「鎌倉殿の13人」頼朝の宿敵、伊東父子の末路は…?第9回放送「決戦前夜」を予習

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挙兵から2か月弱、石橋山の敗戦を乗り越えて念願の鎌倉入りを果たした源頼朝(演:大泉洋)。

一方で追い詰められた宿敵・伊東祐親(演:浅野和之)らは、京都から進軍してくる平家の追討軍に望みをかけます。

にっくき頼朝に娘を渡すくらいなら……祐親は八重姫(演:新垣結衣)を殺すよう、その夫である江間次郎(演:芹澤興人)に命じました。

八重姫の救出に向かう義時(イメージ)

八重姫を救い出すべく伊東の地へ急行する北条義時(演:小栗旬)たち。果たして間に合うのでしょうか。

さて、源平合戦も本格化しつつあるNHK大河ドラマ鎌倉殿の13人」もはや第9回、源平両軍は「決戦前夜」を迎えます。

今回は第1回から頼朝の宿敵であった伊東祐親の末路、そして京都から迫りくる追討軍との対決・富士川の合戦を紹介。

三谷幸喜の脚本では、これらのエピソードをどのようにアレンジするのでしょうか。

伊東父子の末路

石橋山では大庭景親(演:國村隼)の余勢を借って頼朝を撃破した祐親。しかし勢いを盛り返した頼朝らには全く歯が立たず、海路を迂回して平家の追討軍に合流しようとしたところを捕らえられます。

第8回「いざ、鎌倉」では次男の伊東祐清(演:竹財輝之助)が援軍を呼びに行って捕らえられていましたが、史実では父子ともども捕らわれていました。

捕らわれた祐清(イメージ)

頼朝「伊東祐親……絶対に許さん!」

第1回「大いなる小競り合い」で殺された我が子・千鶴丸の復讐を誓っていた頼朝は、当然祐親を殺そうとします。

しかし、祐親を「爺様(じさま)」と呼んでいた娘婿の三浦義澄(演:佐藤B作)がその助命を嘆願しました。

「お気持ちは解りますが、今は御台所(政子)様がご懐妊中。生まれて来る赤子が殺生による罪業を背負っては不憫ですから、どうかここは一つ、ご寛恕たまわりますよう……」

今にも八つ裂きにしてやりたかった頼朝ですが、大事な我が子に障りがあっても困るため、祐親を赦してその身柄を義澄に預けます。

一方、かつて頼朝と八重姫に同情して祐親から守ってくれたことがあった祐清についてはただちに釈放。手厚く恩賞を与えようとしますが、祐清はこれを辞退しました。

かつては頼朝と志を通じた伊東祐清だったが……。菊池容斎『前賢故実』より

「父が罪人として捕らわれているのに、子が恩賞を受けるのは孝道に反します。もしお許し下さるのであれば、父の志を継いで平家の軍勢に加わるため、お暇を頂戴できますでしょうか……」

頼朝はじめ御家人たちは祐清の親孝行ぶりに感動。涙ながらに彼を解き放ったのでした。

その後、祐親は養和2年(1182年)2月15日に自害して果てます。祐清は平家軍の一員として討死したとも、父の死に際して自分も処刑するよう懇願したとも言われています。

富士川の合戦

時は遡って治承4年(1180年)10月20日、京都から進軍してきた平維盛(演:濱正悟。清盛の嫡孫)は武田信義(演:八嶋智人)らの率いる軍勢と駿河国富士川で対峙しました。

現地では頼朝の軍勢も布陣していましたが、武田の軍勢に比べると添え物的存在に留まり、平家方も討伐対象を武田に絞っていたとする説もあります。

武田信義像。Wikipediaより(撮影:C2revenge氏)

信義は維盛に対して「かねてお目にかかりたいと思っていたのですが、参上するにはちょっと遠いので、待ち合わせしましょう≒お前の方が来い」と言う内容の挑戦状を送りつけ、侍大将の伊藤忠清(いとう ただきよ)を激怒させました。

通常、書状のやりとりは本隊同士で行うものですから、平家方も武田を交渉窓口≒本隊と認識していたようです。

数万騎と言われる武田の軍勢に対して、平家方の追討軍は七万騎と謳っていたものの、その実態は寄せ集め。しかも折からの食糧不足で士気に乏しく、現地に到着した頃には数千騎にまで減っていたとか。

「……聞けば坂東の連中は、ろくに名乗りも上げることなく矢を射かけ、なりふり構わず相手を馬から引きずり落として首を掻き切るとか……」

「おぉ、嫌だ嫌だ。そんな野蛮な連中と戦わねばならぬとは……」

「ましてや我らこの辺りの地理には暗く、包囲でもされたら全滅は必至ぞ」

水鳥の羽音に驚いて逃げ出す平家の軍勢。『平家物語絵巻』より

そんな具合で戦う前から戦々恐々としていた平家の軍勢は、有名な「水鳥の羽音」に驚いて敵前逃亡。総大将の維盛はわずか十騎ばかりの供を従えて京の都へ逃げ帰ったということです。

これは永年の権勢に驕った平家政権の軟弱化を象徴するエピソードとして知られ、武士として権力の頂点にのぼり詰めた平清盛(演:松平健)を愕然とさせます。

「おごれる平家、久しからず」

終わりの始まりを痛感しながら清盛は病に倒れ、やがて反撃の使命は平宗盛(演:小泉孝太郎)に託されるのですが……。

終わりに

かくして本格的に幕を開けた源平合戦。この勢いで京都まで一気に攻め上がりたい頼朝ですが、本国の所領を守りたい御家人たちと思いが対立。平家を滅ぼすまでにはまだ長い年月を要します。

富士山をバックに頼朝との再会。左側三名は奥州から連れてきた家来たち。今後のキャスティングに注目!歌川国政筆

そこへ奥州から駆けつけた天才軍略家・源義経(演:菅田将暉)も合流、頼朝と再会する名場面がどう描かれるのかも注目です。

また幕間に描かれるであろう政子(演:小池栄子)と八重姫、そして亀(演:江口のりこ)が繰り広げる女の戦いに、固唾をのむことになるでしょう。

次回放送は3月6日(日)、今から楽しみですね!

 

※参考文献:

『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 前編』NHK出版、2022年1月『NHK2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人 完全読本』産経新聞出版、2022年1月

トップ画像:「鎌倉殿の13人」公式ページより