人から嫌われるのが怖い「見捨てられ不安」。心が軽くなる3つの考え方
人間関係における不安はだれしももつもの。「嫌われたらどうしよう」「人が自分から離れてしまう」といった不安をもつ人も多いのではないでしょうか?「見捨てられ不安」を解消する考え方を、うつ専門メンタルコーチで、公認心理師の川本義巳さんに教えてもらいました。
人が自分から離れてしまう…「見捨てられ不安」を解消する方法
「人が離れていくのが怖い」そう思ったことはありませんか?
見捨てられ不安というのでしょうか。じつは私はこの感覚をずっともっていた時期がありました。人が離れていくのが怖いから嫌われないようにふるまう、相手の機嫌をうかがう。そんなことにばかり神経をすり減らしていた時期が長かったように思います。
●人が離れていくと自分を責め続けてしまう
友人関係もそうですが、ビジネスでも同じ感覚でした。取引先、ビジネスパートナー、関わってくれる人たちに対して「嫌われたらどうしょう」と思っていました。
そうすることで、だれからも見捨てられることがないし、だれも自分から離れていかないはず…。ところがいくら気を配っていても、離れていく人は出てきてしまうもの。そうなってしまうと、どうしても「自分が悪かったんじゃないか」「自分に落ち度があったのではないか」と自分のことばかり責めてしまいます。そしてわりと長い間その感情が続くというようなことがありました。
相談支援の仕事をするようになって、いろいろな人の話を聞くうちに、自分と同じような感覚をもっていて、それで悩んでいる人が結構いるということを知りました。離れていった相手に対して、執着や怒りを感じるのはある意味仕方がない自然の感情だと思います。でも、その結果として自分を責めてしまうのは、あまりよいことではありません。
確かに自分に何かしらの落ち度があるのなら、反省したり謝罪したりする必要もあるでしょう。でも、単にお互いの価値観が違ってしまった結果、どちらから離れてしまうということもよくある話です。その場合は「だれのせい」ではないので、自分だけを責めたところであまり意味がありません。しかしながら、見捨てられ不安に悩む人は、この状態から抜けられずに苦しい思いをしています。
●見捨てられ不安を解消する3つの考え方
じつは私自身、ここ数年はすっかりこれで悩むことがなくなりました。それは少し考え方を変えたからなのですが、そのことを見捨てられ不安に悩む人たちにお話をしたところ「ラクになった」という声をいただきましたので、こちらでもその3つの「考え方」をお伝えしていこうと思います。
・その1「自分のニーズと相手のニーズは同等である」
理由はどうあれ、「離れないでほしい」と思うのは、自分のニーズです。これをとおすということは、相手側の立場でいくと「私もあなたと離れたくない」というニーズがないと成り立ちません。ですが相手は「あなたの元から離れたい」というニーズをもっています。自分が「こうしてほしい」という権利を主張するのであれば、相手にも同様に権利を主張することができるはず。なので、相手の「離れたい」は尊重されないと不公平になります。これはフェアではありません。
・その2「相手は幸せになるために離れていく」
ではなぜ相手は自分の元から離れていくのでしょうか? 理由はいろいろあると思いますが、結局のところは「ここよりもよい場所がある」そう思ったからです。もしこちらが相手を束縛したいとか、支配下に置きたいというのでない限り、根本的には相手にも幸せになってほしいという思いはもっていると思います。ならば、相手が自分の元を離れることで、より幸せになれるのであれば、それは善いことに違いはありません。
・その3「自分との出会いがあったからこそ」
相手が幸せになるために離れていくのも、元は自分との出会いがきっかけです。そうであれば、二人が出会い、よい時間を過ごせたことは何も間違いではなかったと考えられます。ただ、その時間が終わっただけなので、自分は自分で幸せになるために行動すればいいわけです。
この3つの考え方をもつようになってからは「見捨てられ不安」に悩むことはなくなりました。もちろん、ケースによっては納得できない、理不尽だと思うこともあるでしょう。相手がどんな感情をもってあなたから離れていくのかはわかりません。ただだれしも「自分の幸せのために離れていく」のは間違いないです。ならばそれに貢献できたことを喜ぶというよい考えに転換させて、あなた自身も自分の幸せのことを考えてもいいのではないでしょうか。