艶やかな大人の街・赤坂は、賑やかなメイン通りから少し外れると一転し、静けさに包まれる。

中でも一ツ木通りから円通寺通りへと向かう小さな路地には、知る人ぞ知る名店が多くたたずみ、大人のデートにぴったり。

今回は、そんな路地で巧みにリノベーションした一軒家造りの中華に迫っていく。



※まん延防止等重点措置期間中につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。



築80年にもなる昭和の民家を改装している

大人しか知らない隠れたロケーションに入店前から期待が膨らむ!


かつて、“東京六花街”のひとつとして賑わいを見せた赤坂。

そんな色香漂う街の風情に溶け込むかのように佇む一軒、それが『月居 赤坂』だ。

“昭和の粋”を感じさせる瀟洒な外観に惹かれて暖簾を潜れば、そこには密やかな大人の空間が広がる!



L字型カウンターのほか、個室も完備する

デートなら、臨場感満点のカウンターが間違いない!


店内では、中国のアンティーク家具や磨きこまれた木のカウンターが、どこか艶めかしい雰囲気を放つ。

目の前で調理のライブが繰り広げられるカウンターに座れば、中華の音や香りとともに、会話も盛り上がるはずだ!

ここで楽しめるのは“中国割烹”と銘打たれた、シェフ・船倉卓磨さんによる月替わりのコース。

トリュフが効いたスターターからスパイスを大胆に使う火鍋まで、シェフの感性が光るそのラインナップを見ていこう!



「松露」

中国の古き良きお粥に、トリュフをこれでもかとスライス!


まずは、中国の発酵食品“腐乳”を用いたお粥に、旬の黒トリュフをたっぷりと削りかけたひと皿。

トリュフがお粥の優しい味わいの絶妙なアクセントとなり、早速胃袋をつかまれる!

時期によってトリュフの代わりにからすみを使用することもある。



「酔蟹」

官能的な味わいに仕上げた“酔っ払いガニ”!


続いて上海ガニの紹興酒漬け。(提供は10月〜12月のみ)

150gのメスを使用し、1週間以上漬け込むことで風味を引き出した。

舌にねっとりと絡みつく、濃密な上海ガニの旨みに思わずお酒が進む!



「焼味」

鴨と豚からあふれ出る肉の旨さが病みつきに!


鴨(手前)と豚(奥)をそれぞれ異なる手法で仕立てた焼味(シャオウェイ)。

鴨は肉の美味しさを楽しんでもらうために、提供時間に合わせて窯焼き。南高梅の甘酸っぱいソースが絶妙なアクセントに!

氷室豚のチャーシューは、炭火でじっくりと焼き上げ。外はカリッと、中はしっとりジューシーな仕上がりにため息がこぼれる!


中華の花形料理や、旨辛火鍋でコースを締めくくる!



「鱶鰭」

スープに徹底的にこだわったフカヒレ料理!


コース中盤にはフカヒレの煮込みが登場。

繊維が太く、歯切れのいいヨシキリザメを使用している。

豚ゲンコツ、鶏ガラなどを入れて8時間かけて炊き上げる芳醇で濃厚な白湯が絶品!

「〆にこのスープをご飯にかけて食べれたら……。」そんな思いが脳裏をかすめた。



「麻辣羊火鍋」

鮮烈な辛さと羊の滋味が体を芯から温める!


寒い今の季節に、見逃せないのが「コースの最後に何か印象に残る一品を」との思いから提供される火鍋だ。

大小さまざまな唐辛子が浮き沈みする真っ赤なスープは、見るからにインパクト大!

桂皮や八角など6種余りの香辛料がせめぎあう香り高さにも食欲がそそられる。



シェフが大鍋から小皿に盛り付けて提供する


主役の羊は薄切りのもも肉と下茹でしたスペアリブ。

ラム特有の風味にスープの辛みやコク、スパイシーさが痛快に絡む旨さは格別だ!



「担々麺」

辛さ一辺倒ではない上品な担々麺で〆る!


火鍋を存分に堪能したら「辛いスープには麺」とのことで、もちもちの手打ち麺を投入。

自家挽き胡麻と麻辣醤を合わせれば、特製担々麺の出来上がりだ。

ひと口すすれば胡麻の風味が広がり、追いかけるように麻辣醤の刺激が出現!

辛さとクリーミーさのバランスが絶妙な〆にも、シェフのセンスが光る。



少量多品目の構成で、食後感も心地良いおまかせコースは16,500円(サ別)。

まだ知らなかった名店のひとつとして、欲張りな男女を満足させるにはもってこいの一軒だ。