災害大国日本の通信インフラを守れ! モバイル通信各社の災害対策やインフラ維持にかける努力を追う
●いつやってくるか分からない巨大災害
1月22日、日向灘を震源とする地震が発生し、大分県や宮城県で最大震度5強を観測しました。
日本は地震大国であり、平成年代以降だけでも阪神淡路大震災や東日本大震災など、甚大な被害をもたらした超巨大地震も多く発生しています。
また海外に目を向けてみれば、1月15日にトンガで起きた海底火山の噴火の影響によって日本各地を津波が襲いました。
東日本大震災でも津波による被害が最も大きく、その凄惨な光景が未だに目に焼き付いている人も多いことでしょう。
このほか、日本は台風や竜巻、集中豪雨による洪水や土砂崩れなど、ありとあらゆる災害に見舞われる災害大国です。
災害発生時に何よりも重要なのは「情報」です。
正確な情報を素早く入手できるかどうかで生存率が大きく変わる状況もあります。
正しい情報を確実にエンドユーザーへ届けるため、時には途絶した情報網を一刻も早く復旧させるために尽力しているのが通信会社各社です。
その中でも、私たちの生活や社会と最も近い位置にあり、私たちが情報を入手する際に利用するスマートフォンのインフラを維持しているのが、
・NTTドコモ
・KDDI
・ソフトバンク
・楽天モバイル
これらの通信会社(移動体通信事業者=MNO)です。
通信各社はどのような災害対策を取っているだろうか
●平時のインフラ維持と災害対策の要「オペレーションセンター」
通信各社は、平時のインフラ維持を含めた災害対策を数多く持っています。
最も大きな存在は通信インフラの管理・制御を行うオペレーションセンターの存在です。
例えばNTTドコモの場合、東京と大阪の2箇所に「ネットワークオペレーションセンター(NOC)」を持っています。
ここでは災害発生時だけではなく、平時の通信状況を24時間365日監視・制御しており、通信機器の故障やエラーなどで障害が発生した場合にも即時対応できる体制を整えています。
東京都品川区にあるNTTドコモのNOC
オペレーションセンターが日本に複数箇所存在する理由は「冗長性」です。
巨大地震などによって万が一東京や大阪などの都市圏が破壊され、その地域のオペレーションセンターが機能しなくなった場合でも、残ったもう1つのオペレーションセンターが機能を引き継ぎ、通信インフラを維持するのです。
NOC内部。日本全国に張り巡らされたNTTドコモの通信網をここで管理している
●移動基地局車を始めとした各社の災害対応
災害対策の拠点がオペレーションセンターであるのに対し、実際に災害が発生した時に最も私たちの身近で活躍してくれるのが「移動基地局車」です。
スマートフォンなどによるモバイル通信は、アンテナ基地局がなければ電波が届きません。
災害が発生し地域のアンテナ基地局が機能しなくなった場合、発電機とアンテナ設備を搭載した車両が活躍します。
移動基地局車と各社の通信網は、通信衛星などを使って接続されます。
通信衛星による通信速度や通信量には限界があるため、非常に限られた情報伝達しかできません。
しかしながら、それでも「通信が行える」という環境を構築・維持することが最優先される場合に利用されます。
情報がまったくない状態や誤った情報が流布されることこそが、災害時に最も恐ろしいことです。
そういった状況を1秒で短くすることこそが、移動基地局車に課せられた使命なのです。
移動基地局車は、災害以外に大勢の人が集まるイベントなどでも活躍する
すでに稼働している緊急時のモバイル通信網構築手段としては、移動基地局車以外に船舶などもあります。
さらに、今後はドローンを使った臨時基地局や、低軌道衛星を使った衛星通信網も災害時に大きな力を発揮すると期待されています。
通信衛星を使ったエリア構築については、災害時だけではなく平時も利用可能です。
そのため楽天モバイルは積極的にその活用を模索しており、
「スペースモバイル計画」として、アンテナ敷設の難しい山岳部や海上・離島などのエリア補完を目的とした運用を目指しています。
最先端技術をいち早く取り入れる楽天モバイルらしいエリア戦略だ
●「万が一」に日々備える
災害は、いつ私たちの生活に降りかかるか分かりません。
そのような「万が一」に私達自身で備えられることは非常に少なく、とくに通信や情報取得に関しては無力とも言えます。
だからこそ、MNO各社は通信インフラの維持と復旧に全力を注ぎます。
NTTドコモだけでも災害対策には毎年数十億〜100億円近い予算を計上しており、
通信料金の低廉化が進む現在でも「災害対策費用だけは削るわけにはいかない」と関係者は語ります。
何事もない平時が平時である幸せは、被災した時に初めて実感します。
私たちが日々何気なく使っているスマートフォンが何の問題もなく使えていることこそが、通信各社の努力の証です。
執筆 秋吉 健
1月22日、日向灘を震源とする地震が発生し、大分県や宮城県で最大震度5強を観測しました。
日本は地震大国であり、平成年代以降だけでも阪神淡路大震災や東日本大震災など、甚大な被害をもたらした超巨大地震も多く発生しています。
また海外に目を向けてみれば、1月15日にトンガで起きた海底火山の噴火の影響によって日本各地を津波が襲いました。
東日本大震災でも津波による被害が最も大きく、その凄惨な光景が未だに目に焼き付いている人も多いことでしょう。
このほか、日本は台風や竜巻、集中豪雨による洪水や土砂崩れなど、ありとあらゆる災害に見舞われる災害大国です。
災害発生時に何よりも重要なのは「情報」です。
正確な情報を素早く入手できるかどうかで生存率が大きく変わる状況もあります。
正しい情報を確実にエンドユーザーへ届けるため、時には途絶した情報網を一刻も早く復旧させるために尽力しているのが通信会社各社です。
その中でも、私たちの生活や社会と最も近い位置にあり、私たちが情報を入手する際に利用するスマートフォンのインフラを維持しているのが、
・NTTドコモ
・KDDI
・ソフトバンク
・楽天モバイル
これらの通信会社(移動体通信事業者=MNO)です。
通信各社はどのような災害対策を取っているだろうか
●平時のインフラ維持と災害対策の要「オペレーションセンター」
通信各社は、平時のインフラ維持を含めた災害対策を数多く持っています。
最も大きな存在は通信インフラの管理・制御を行うオペレーションセンターの存在です。
例えばNTTドコモの場合、東京と大阪の2箇所に「ネットワークオペレーションセンター(NOC)」を持っています。
ここでは災害発生時だけではなく、平時の通信状況を24時間365日監視・制御しており、通信機器の故障やエラーなどで障害が発生した場合にも即時対応できる体制を整えています。
東京都品川区にあるNTTドコモのNOC
オペレーションセンターが日本に複数箇所存在する理由は「冗長性」です。
巨大地震などによって万が一東京や大阪などの都市圏が破壊され、その地域のオペレーションセンターが機能しなくなった場合でも、残ったもう1つのオペレーションセンターが機能を引き継ぎ、通信インフラを維持するのです。
NOC内部。日本全国に張り巡らされたNTTドコモの通信網をここで管理している
●移動基地局車を始めとした各社の災害対応
災害対策の拠点がオペレーションセンターであるのに対し、実際に災害が発生した時に最も私たちの身近で活躍してくれるのが「移動基地局車」です。
スマートフォンなどによるモバイル通信は、アンテナ基地局がなければ電波が届きません。
災害が発生し地域のアンテナ基地局が機能しなくなった場合、発電機とアンテナ設備を搭載した車両が活躍します。
移動基地局車と各社の通信網は、通信衛星などを使って接続されます。
通信衛星による通信速度や通信量には限界があるため、非常に限られた情報伝達しかできません。
しかしながら、それでも「通信が行える」という環境を構築・維持することが最優先される場合に利用されます。
情報がまったくない状態や誤った情報が流布されることこそが、災害時に最も恐ろしいことです。
そういった状況を1秒で短くすることこそが、移動基地局車に課せられた使命なのです。
移動基地局車は、災害以外に大勢の人が集まるイベントなどでも活躍する
すでに稼働している緊急時のモバイル通信網構築手段としては、移動基地局車以外に船舶などもあります。
さらに、今後はドローンを使った臨時基地局や、低軌道衛星を使った衛星通信網も災害時に大きな力を発揮すると期待されています。
通信衛星を使ったエリア構築については、災害時だけではなく平時も利用可能です。
そのため楽天モバイルは積極的にその活用を模索しており、
「スペースモバイル計画」として、アンテナ敷設の難しい山岳部や海上・離島などのエリア補完を目的とした運用を目指しています。
最先端技術をいち早く取り入れる楽天モバイルらしいエリア戦略だ
●「万が一」に日々備える
災害は、いつ私たちの生活に降りかかるか分かりません。
そのような「万が一」に私達自身で備えられることは非常に少なく、とくに通信や情報取得に関しては無力とも言えます。
だからこそ、MNO各社は通信インフラの維持と復旧に全力を注ぎます。
NTTドコモだけでも災害対策には毎年数十億〜100億円近い予算を計上しており、
通信料金の低廉化が進む現在でも「災害対策費用だけは削るわけにはいかない」と関係者は語ります。
何事もない平時が平時である幸せは、被災した時に初めて実感します。
私たちが日々何気なく使っているスマートフォンが何の問題もなく使えていることこそが、通信各社の努力の証です。
執筆 秋吉 健