廃駅ならぬ「廃IC」 2度移転した高速ICとは 旧施設は何に?
北海道を中心に、利用の少なくなった鉄道駅の廃止が進んでいますが、実は高速道路にも「廃IC」がいくつか存在します。なかには、2度も移設され2つの“廃”が残っている場所も。それらは今どうなっているのでしょうか。
「ここでは出られません」が立つICの跡
近年、利用の少なくなった鉄道駅の廃止が進んでおり、北海道では2022年3月のダイヤ改正でも7駅が廃止されます。一方、高速道路のICはめったなことでは廃止されませんが、全国では廃ICもいくつか存在します。
代表的な例としては、建設途上で設けられた仮のICが廃止されたケースなどが挙げられますが、北海道にはレアケースとして、開通から2度もその機能が移転したICがあります。道央道の虻田洞爺湖IC(洞爺湖町)です。
旧虻田洞爺湖IC。接続していた国道230号旧道は、画面上(北)で途切れている(画像:Google Earth)。
虻田洞爺湖ICは1994(平成6)年に開通。当初は現在より2km以上も東(室蘭寄り)にありました。その後移転することになったのは、2000(平成12)年春に発生した「有珠山噴火」によるものです。
虻田洞爺湖ICが接続していた国道230号は、沿道にあった西山の噴火により寸断。一時は一帯が避難指示区域となり、道央道も不通になりました。
噴火から約3か月後、国道230号の代替として国道指定された道道との交点に「虻田洞爺湖仮出入口」が設けられました。この仮出入口は、もとのICよりも西側の豊浦町内にあり、虻田洞爺湖ICの函館方面出入口として機能しました。
損傷の大きかった室蘭方面も、翌年には虻田洞爺湖IC〜伊達IC間、虻田洞爺湖仮出入口〜虻田洞爺湖IC間が順次復旧し、虻田洞爺湖仮出入口は廃止。噴火から1年3か月後のことでした。
その後、噴火口に近かった国道230号の寸断区間は西側に新ルートを建設して復旧することとなり、噴火から7年後の2007(平成19)年に開通。これにより虻田洞爺湖ICも国道230号の新ルート上に移設され、現在に至ります。
2022年現在、旧虻田洞爺湖ICはランプウェーも含め、ほぼそのまま残存しています。豊浦町内に設けられた虻田洞爺湖仮出入口の痕跡も残っており、NEXCO東日本北海道支社によると、いずれも「特に何にも使われていない」状態とのこと。道央道本線上の旧虻田洞爺湖IC出口ランプの分岐は、ガードレールでふさがれたうえで、「ここでは出られません」との看板が立っています。