京成線は、京成電鉄に加え都営地下鉄、北総鉄道、京浜急行電鉄、芝山鉄道といった多種多様の通勤形電車が走っています。車両の新旧や会社などで運転感覚の違いはあるのでしょうか。京成電鉄のベテラン運転士に聞きました。

車両の世代の違いは感じるのか

 京成電鉄は、東京の都心と千葉県の成田空港や千葉などを結ぶ私鉄です。曲線の多い市街地や千葉ニュータウンなど、様々なエリアを走ります。今回は、歴代の「スカイライナー」車両や数多くの通勤車両を運転してきた京成電鉄の現役ベテラン運転士・松村眞一さんに、京成線内を走る通勤車両について話を聞きました。


京成電鉄の通勤形車両(恵 知仁撮影)。

――最新の通勤車両と、古い通勤車両では運転操作などの違いは感じられますか?

 ハンドルの形状などに違いがあります。ブレーキの利きや反応なども違いますが、問題を感じるほどではありません。お客様の乗車率などをセンサーが判断して、ブレーキの利きが変わるといったことはあります。

――車両の加速度について、通勤車両の方がスペック上は高いようですが、スカイライナー車両との違いはどう実感されていますか?

 スカイライナーは40〜50km/h程度からの加速力が大きく、すぐに120〜130km/hに到達します。スカイライナー車両を通勤車両のように走らせたら、低速では速度が乗らないと思います。通勤車両は50〜60km/hまで同じペースで急加速します。

通勤車両で120km/h運転をすると?

――2010(平成22)年開業の成田スカイアクセス線向けに、最高速度120km/hに対応した通勤車両3050形(3000形7次車)が登場しました。最高速度が高い仕様だと、運転感覚は異なりますか? スカイライナーの高速運転とは違いがありますか?

 性能的には他の通勤車両とあまり変わりません。スカイライナーとの違いについては、通勤車両だとアクセス特急での高速運転時でも、高速に達するまでにスカイライナーより時間を要します。


京成電鉄「スカイライナー」のAE形(2代目)電車(画像:写真AC)。

――京成線に乗り入れる都営地下鉄や北総鉄道、京浜急行電鉄、芝山鉄道といった他社局の車両にも乗務されたことがあると思いますが、「他社局の車両は違うな」と思うところはありますか?

 車両の世代が同じだと運転感覚も近いですね。最新の車両どうしでは大差ないと思います。他社局でも運転感覚は大体同じです。

――雨天や満員時などで運転感覚は変わりますか? 最も気を遣うのはどのようなときですか?

 変わりますね。線路が濡れているときは気を遣います。落ち葉も種類によっては大変ですね。特に脂分の多い葉っぱは滑りやすくなります。

――通勤車両とスカイライナーの運転では、気を遣うところが違いますか?

 通勤車両ですと、各駅停車なら次の駅が見えますから、すぐに停車を意識することになります。スカイライナーの場合は、運転操作は少ないですが加減速時に揺れないように意識します。

「運転しやすい車両」はある?

――「運転しやすい車両」「運転しにくい車両」というのはあるのですか?

 私は特に感じません。通勤車両であれば大体同じ感じですね。

――京成電鉄の社内では、松村さんのように基本的にスカイライナーしか運転しない運転士は多いのですか? その場合、優秀な運転士が抜擢されるのでしょうか。また、松村さんが通勤車両を運転するとしたら、ダイヤ乱れのときになるのでしょうか?

 シフトなので、スカイライナーは優秀な運転士を抜擢しているということではありません。ダイヤ乱れのとき等に、乗る予定がなかった通勤車両に乗務することはあります。

――最後に少し離れた質問ですが、京成電鉄は、旧成田空港駅(東成田駅に残る旧特急ホーム)など現在では使われない施設へ列車を運行するイベントツアーを開催することもありますが、企画時に運転訓練するものなのですか?

 旧成田空港駅は、現在は東成田駅の一部としてお客様が利用されないホームも夜間滞泊で使っていますから、特別な訓練はしていません。

――貴重なお話、ありがとうございました。