生産再開したTu-160M「ブラックジャック」超音速爆撃機の量産初号機が初飛行 ロシア
一部報道では50機の新造を計画しているとも。
原型Tu-160とは8割がた異なるアップグレード型
ロシアのユナイテッドエアクラフトコーポレーションは2022年1月12日(水)、新たに製造されたTu-160M戦略爆撃機の量産初号機が、カザン航空機工場の飛行場から飛び立ち、初飛行したと発表しました。
機体は高度600mを約30分飛び続けたとのことで、テストパイロットらは、操縦しながら空中における機体の安定性や制御性をチェックしたそうです。
Tu-160Mは、従来のTu-160戦略爆撃機のアップグレード型で、最大の特徴は4基あるエンジンを新型のNK-32-02ターボファンエンジンに換装している点です。また、搭載する各種システムも新型に換装されているため、全般的に性能が向上しているとのこと。
初飛行したTu-160M超音速戦略爆撃機の量産初号機(画像:UAC)。
そもそもTu-160は、旧ソ連時代に設計・開発された、可変後退翼を備えた超音速飛行が可能な戦略爆撃機です。原型は1981(昭和56)年12月18日に初飛行し、1987年から部隊配備を開始したものの、ソ連崩壊とその後起きたロシア経済の混乱などの影響により、試作機と合わせて35機ほどで生産は終わり、2010年頃には第一線で運用するのは15機程度まで減っていました。
しかし、強いロシアを掲げるプーチン大統領の指示により、改良型の開発と生産再開が計画されます。こうして生まれたのがTu-160Mで、一部報道によると50機の調達が計画されており、うち10機がすでに発注済みであるといいます。
UACのゼネラル・ディレクターであるユーリ・スリューサー局長によると、新しいTu-160Mは、約8割のシステムと機器が更新されており、大幅に近代化されているとのことです。
なお、今回のTu-160M量産初号機の初飛行に関連して、ロシアのデニス・マントゥロフ産業貿易大臣は、「我々はTu-160の完全な生産サイクルを回復した」とコメントしています。