大雪の首都高 事故52件 113km通行止め またも車両滞留14時間…どうしてこうなった?
東京で4年ぶりに大雪警報が発令された日、首都高はまさに大混乱。事故が多発し、長時間の車両滞留が起こり、多くの路線が通行止めになりました。なぜ、毎度このようなことが繰り返されるのでしょうか。
雪で首都高またも大混乱
東京では4年ぶりとなる大雪警報が発令された2022年1月6日(木)、首都高はまさに大混乱に陥りました。12日(水)に開催された前田信弘社長の記者会見にて、その状況が発表されました。
1月6日の大雪で車両滞留が発生した首都高C2中央環状線、江北JCT付近(画像:首都高速道路)。
6日はノーマルタイヤ車によるスリップ事故などが各地で相次ぎましたが、首都高速道路によると、この日だけで首都高上では52件の事故が発生。通常1月は1日20件ほどだというので、倍以上です。
本線上では長時間にわたる車両滞留も発生。C2中央環状線の江北JCT〜板橋JCT間では内回り・外回り双方で発生し、解消までに14時間を要したといいます。
また、除雪などのための「予防的通行止め」も含め、最大で113.3kmが通行止めに。これは首都高の路線長の3分の1にあたります。入口閉鎖も多数発生しました。
通行止めが全て解消されたのは、翌7日(金)の20時頃でした。前田社長によると「7日は天気がよかった」とのことで、もし雪が降り続いていたら、解消までさらに時間がかかったことでしょう。
首都高では、これまでも大雪に見舞われた際に同様の対応に追われてきました。全国的にも大規模な車両滞留が多く発生したことから、国は2021年、大雪に対する道路管理の基本方針を転換しています。「通行を確保する」のではなく、早期の通行止めや出控えの広報を行い、「車両の滞留を徹底的に回避する」という方針です。
にもかかわらず、再び繰り返された車両滞留。「予報の段階では雪の降り方が予測できず、現実を追いかけるような形になった」と、前田社長は今回の対応を振り返ります。「雪の降り方は予報通りにならない。これは教訓」と話しました。
どうしたって首都高は雪に弱い
度重なる雪での混乱に、首都高速道路では雪氷対策の体制を強化しつつ、2021年度からは「予防的通行止めを行う」ことなどの広報にも取り組んできました。それでも首都高は、ひとたび雪が降ったり路面が凍ったりすると、影響が長引く構造的な要因を抱えています。
首都高は全線のうち8割近くが高架橋です。これらの場所は地熱がないうえに風が吹き抜けるため、凍結しやすく、溶けにくいのです。都市部のため、本線に雪が降り積もれば、その場から雪を排出することができず、ダンプに積んで捨てに行かなければなりません。
そのため、通行止めは長時間になりがち。アップダウンも多いため、今回、車両滞留が起きた王子付近では、夜通しで路面の氷を削って退出路を確保するなどしていたそうです。
一方、雪を甘く見たノーマルタイヤ車などが、車両滞留や通行止めの原因を作り出した側面も間違いありません。通行止め解除に向けた作業が行われていた7日には、朝の時点で通行が可能だった5号池袋線の上りでスリップ事故が発生し、新たに通行止めになるなどしています。
前田信弘社長(中島洋平撮影)。
首都高速道路は引き続き、冬タイヤの装着や滑り止めの携行を呼び掛けています。積雪時の影響は一般道も同様ですが、首都高の場合は前出した道路構造から、その影響が大きくなりやすく、長引くケースも多いと想定した方がよいのかもしれません。