大阪ではオミクロン株の市中感染が確認された(写真は、大阪・道頓堀)

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2021年の年末を迎え、世界の動きがガラリと変わってきました! 新型コロナウイルスの変異ウイルス「オミクロン株」がものすごい勢いで拡大。欧州各国は急遽「ロックダウン」などの規制強化に踏み切り、イスラエルではなんと、4回目のワクチン接種が発表されました。

クリスマス休暇をあざ笑うように、猛威を振い続けるウイルス。日本国内でも、大阪でオミクロン株の市中感染が確認されるなど、世界中が戦々恐々としています。

「市中感染」は英語でどう言うの?

ワクチンの普及や治療法の進歩で、一時は「コロナに打ち勝った」との「希望」が広がった2021年でしたが、オミクロン株の出現で様相が一変してしまいました。世界予想で知られる米政治学者のイアン・ブレマー氏は、この1年を次のように総括しています。

The world failed to get back to normal in 2021(2021年、世界は通常の社会に戻ることに失敗した)get back to normal:通常に戻る

ブレマー氏のことばが表すように、オミクロン株の出現で、世界は「通常の社会」からどんどん遠ざかっているようです。英国では、なんと、1日あたりの感染者が10万人を超えて過去最高を記録しました!

Number of new Covid cases in UK passes 100,000 for first time(英国で1日の感染者が初めて、10万人を超えた:英紙ガーディアン)

米国でもニューヨークを中心に一気に感染者が増えていますし、専門家からは「世界の人口の4割近くが、今後3か月でオミクロン株に感染する」といった驚愕の試算が公表されました。そんななか、日本国内でも、大阪で国内初となるオミクロン株の市中感染が確認されて、師走の街に激震が走っています。

Japan reports first case of community spread of Omicron(日本は、オミクロン株の初の市中感染を公表した:ロイター通信)case of community spread(市中感染)

「市中感染」は「a case of community spread」と表しています。「community」は、「共同体」「地域社会」という意味ですから、文字どおり「地域社会内で広がった事例」です。意外と(!)直球と言うか、直訳ですね。

米通信社のブルームバーグは、大阪での市中感染確認を伝える記事の中で、大阪について次のように説明していました。

Osaka is an area that experienced the early outbreaks of the delta variant (大阪は、デルタ株が早い段階で感染爆発した地域だ)

ブルームバーグの記事は、デルタ株と同じようにオミクロン株も「大阪が震源地になる可能性がある」とも読み取れます。諸外国では最初の市中感染が確認された後、瞬く間に感染者が急増していますから、オミクロン株は予想を上回るスピードで私たちの身近に迫ってきているようです。

イスラエルは「4回目接種」を発表! 日本は......

オミクロン株の急拡大で、世界のワクチン事情も一変しています。各国が予定を前倒しして3回目の「ブースター接種」に踏み切っていますが、中東のイスラエルはなんと、4回目のワクチン接種を始める考えを公表して世界を驚かせました!

Israel begins fourth dose vaccine for people 60 and over(イスラエルは、60歳以上を対象に4回目のワクチン接種を開始する:CNN)fourth dose:4回目接種

報道によると、イスラエルでは人口の4割以上が3回目のワクチン接種を終えているそうです。諸外国に先駆けてワクチン接種を進めている同国では、8月から3回目の接種を進めていましたが、年末に1日の新規感染者数が久しぶりに1000人を超えたことから、「4回目接種」に踏み切ったようです。

ちなみに、3回目接種から「4か月」以上経過していることが接種の条件だそうですが、このペースだと年に3回ワクチンを接種することになります。人体への影響を懸念する声もあがるなか、専門家の一人は、取材に対して次のように述べていました。

In a situation like this, if you don't act immediately, you miss the train(このような状況で、即座に行動しなければ「電車に乗り遅れる」でしょう)

一方、日本ではようやく医療関係者や高齢者を対象に3回目のブースター接種が始まったばかりです。岸田文雄首相は空港での「水際対策」の強化を強調していますが、すでに市中感染も確認されています。諸外国は早々に「水際対策」の効果を見極めて、ブースター接種加速に舵を切っています。

さすがにイスラエルの「4回目接種」の決断には、「ちょっと早すぎるのでは?」と疑問を感じますが、「水際対策」に固執している日本政府の対策にも不安が募ります。世界のワクチン対策に「乗り遅れ」ているかもしれません。

それでは、「今週のニュースな英語」は、「miss the train」から「miss」を使った、ビジネスに使える慣用句をいくつかご紹介しましょう。

Don't miss that meeting !その会議を逃すな!(出席したほうがいい)

Don't miss the boat !チャンスを逃すな!(ボートに乗り遅れるな!)

Don't miss the deadline !締め切りを逃すな!(締め切りは守って!)

You have missed the point of argumentあなたは議論のポイントを外している(理解していない)

オミクロン株については、これまでの変異株と比べて重症化率が低いとする報道もありますが、少なくとも当面はワクチン接種が生活の一部になりそうです。2022年こそは、ワクチンやマスクともお別れして、「get back to normal」(通常の生活に戻る)ことを期待したいです。(井津川倫子)