「親亡き後」支えたい 視覚障がい者のグループホーム建設 500万円目標に寄付募る
視覚に障がいのある人の暮らしをサポートする親などが亡くなったあとも安心して地域で暮らせるグループホームをつくろうと宇都宮市にある支援施設がクラウドファンディングで寄付を募っています。
視覚障がい者の共同生活を支えるグループホームをつくろうとしているのは宇都宮市竹下町にある「とちぎライトセンター」です。
目が見えない・見えにくい人や知的障がいなどがある人に働く場所を提供したり、日常生活を送る訓練を行ったりしています。
建設を進めているグループホームは定員7人の木造平屋建てで、施設から車で5分ほど離れた宇都宮市石井町で来年4月のオープンを目指しています。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響などで資材の値段が上がり、もともと用意していた自己資金や自治体の補助金では建設費用が足りなくなってしまいました。
そこで11月30日までクラウドファンディングで500万円を目標に寄付を募っています。
視覚障がい者が一人暮らしをするには料理や外出、買い物など、さまざまなサポートが必要です。
生活訓練で施設を利用する全盲の中條美智子さん(59)。以前一人暮らしをしていましたが熱中症で病院に運ばれたことがあります。
そのときの困難もあり、グループホームへの入居を希望しています。
中條さん:「心の安定のためにもホームに入りたい。一人暮らしのときに熱中症などのトラブルがあり、誰も頼る人がいなかった」
一方、就労の支援で施設を利用している梶原秀子さん(60)は高齢の母親と2人で暮らしています。
遠方に住む姉のサポートを受けながら生活していますが、負担をかけたくないとグループホームへの入居を望んでいます。
梶原さん:「姉たちは母の介護で大変。負担をかけたくないし、母亡きあと安心して暮らせる場所がほしい。同じ境遇の人たちと安心して自立した暮らしをしたい」
とちぎライトセンター 佐久間孝子施設長:「多くの視覚障がい者が親と暮らしている。親亡きあと、兄弟といっても兄弟にも生活がある。安心して暮らせるのはグループホームかと思う」
とちぎライトセンターによりますと、視覚障がい者に特化したグループホームは栃木県内にはまだないといいます。
親やそばで支えてくれる人がいなくなった後も地域のなかで安心して自分らしく暮らしていくためにグループホームの建設が待たれています。
寄付は11月30日までクラウドファンディングサイト、レディーフォーで受け付けています。