愛知県を世界のスタートアップ支援拠点に! 「ステーションAi」設立に込められた日本の未来を憂う想いと信念とは
●愛知県とソフトバンクがスタートアップ支援拠点設立で基本協定に調印
愛知県とソフトバンクは9月7日、愛知県スタートアップ支援拠点整備等事業の基本協定調印式を行いました。
スタートアップ支援拠点となるのは「ステーションAi(エーアイ)」と呼ばれる施設で、ソフトバンクはその整備や運営業務を担当します。
また、ステーションAiの運営に伴いSPC(特別目的会社)として「STATION Ai」が設立され、2024年10月の開業を目指し運営を行います。開業後は施設の所有権を愛知県へと返還したのち、その運営権を譲渡される形でSTATION Aiが運営を継続します。
日本のみならず、アジア地域を中心とした世界のスタートアップ拠点を目指す
●日本再生のカギを握るスタートアップ支援
日本におけるモノづくりの低迷や名目GDPの失速が叫ばれるようになって久しいですが、とくに危惧されているのはスタートアップと呼ばれるベンチャー企業の少なさです。
例えば米国では、
ユニコーン企業と呼ばれるスタートアップから始まり急成長を遂げたベンチャー企業が400社以上を数えますが、日本では僅かに6社程度です。
日本国内では巨大企業の倒産や身売りが相次ぎ、いわゆる大企業病などという言葉すら流行ったように、巨大企業がその企業体力や企業論理のみで市場や経済を牽引していく時代が終焉したことは間違いありません。
これからの時代、スタートアップを如何に延ばし、その先見性や独創性を巨大企業が成長させ新たな仕組みへと組み込んでいくのかが求められています。
そこで生まれたのが、愛知県とソフトバンクが共同でスタートアップを支援するステーションAi構想です。
さまざまなスタートアップを集め、知の集合による新たなビジネスアイデアの創出を図る
ステーションAiには、モデルとなった施設があります。
フランスの「Station F(ステーション・エフ)」です。
Station Fは、2017年に世界最大のスタートアップキャンパスとしてフランスのパリ郊外に設立されました。
旧国鉄の貨物駅舎を改装して造られたことからその名が付けられましたが、
・人々が集い交差する場所
・世界に張り巡らされた拠点を結ぶネットワークポイントとしての「駅」
こうした意味も持ち合わせています。
ステーションAiでは、Station Fが掲げる思想と理想をリスペクトしつつ、
・人工知能の「AI」
・愛知県の「AI」
・人の愛を意味する「AI」
こうした意味も加味され、ステーションAiという名前が付けられました。
世界に通用するスタートアップ育成の重要性を語るソフトバンク・宮川 潤一社長
●愛知県だからこそ実現させる意味を持つステーションAi
ステーションAiの構想自体が成功するための要素もまた、愛知県という立地条件にありました。
愛知県は世界一の自動車製造企業であるトヨタを抱え、製造品出荷額推移では全県でダントツの1位です。
その「日本のモノづくりの拠点」である愛知県は、従来から大村秀章知事のもとグローバル拠点都市への模索を行っており、世界中にさまざまなネットワークポイントを持っています。
そのような中、世界を見ても類が少なく、アジア圏においてはほぼ似たようなプロジェクトのないスタートアップ支援拠点の設立は、グローバル社会における日本の発展及び世界進出で大きなアドバンテージとなることが期待されています。
日本のモノづくりを否定するのではなく、モノづくりとITを組み合わせることで新たな力を生み出していく
●日本の若者が世界に羽ばたくための「駅」として
ステーションAiの具体的な取り組みとしては、
・スタートアップや関連企業を誘致
・企業同士の交流や提携のための環境作りを支援
・入居者(入居企業)以外にもオンラインで支援提供
・独自ファンドを設立・運営
・スタートアップ企業の海外展開を支援
こういったものがあります。
調印式のプレゼンの中、非常に印象的だったものにステーションAiのCEOに就任した佐橋宏隆氏の言葉があります。
佐橋宏隆氏
「アメリカの優秀な若者の多くはスタートアップへの就職を希望する。しかし日本では多大企業を希望する。それを変えていきたい」
STATION Ai 代表取締役社長 兼 CEO佐橋宏隆氏
大企業病やそれを引き起こした要因は、企業内部のみに求められるものではありません。
終わりの見えない不況の中、安定を求めてチャレンジを諦めてしまった若者にもまた、遠因はあるように思います。
当然ながら、そういった若者の保守思考もまた、スタートアップが成長できない大企業の論理や社会風土による部分は多くあります。
企業と自治体および政府、社会構造、そして私たち1人1人の意識改革がすべて同時に行われない限り、因習とも取れる社会風土やスタートアップに厳しい世相を変えていくことは容易ではないでしょう。
ステーションAiは、スタートアップ同士やスタートアップと大企業との交流や連携を図る場であると同時に、そういった企業改革や意識改革の場でもあります。
若者を中心とした人々が、日本のみならず世界中から集い、交差し、新たな出発をする「駅」として、ステーションAiが機能することを期待します。
執筆 秋吉 健
愛知県とソフトバンクは9月7日、愛知県スタートアップ支援拠点整備等事業の基本協定調印式を行いました。
スタートアップ支援拠点となるのは「ステーションAi(エーアイ)」と呼ばれる施設で、ソフトバンクはその整備や運営業務を担当します。
また、ステーションAiの運営に伴いSPC(特別目的会社)として「STATION Ai」が設立され、2024年10月の開業を目指し運営を行います。開業後は施設の所有権を愛知県へと返還したのち、その運営権を譲渡される形でSTATION Aiが運営を継続します。
日本のみならず、アジア地域を中心とした世界のスタートアップ拠点を目指す
●日本再生のカギを握るスタートアップ支援
日本におけるモノづくりの低迷や名目GDPの失速が叫ばれるようになって久しいですが、とくに危惧されているのはスタートアップと呼ばれるベンチャー企業の少なさです。
例えば米国では、
ユニコーン企業と呼ばれるスタートアップから始まり急成長を遂げたベンチャー企業が400社以上を数えますが、日本では僅かに6社程度です。
日本国内では巨大企業の倒産や身売りが相次ぎ、いわゆる大企業病などという言葉すら流行ったように、巨大企業がその企業体力や企業論理のみで市場や経済を牽引していく時代が終焉したことは間違いありません。
これからの時代、スタートアップを如何に延ばし、その先見性や独創性を巨大企業が成長させ新たな仕組みへと組み込んでいくのかが求められています。
そこで生まれたのが、愛知県とソフトバンクが共同でスタートアップを支援するステーションAi構想です。
さまざまなスタートアップを集め、知の集合による新たなビジネスアイデアの創出を図る
ステーションAiには、モデルとなった施設があります。
フランスの「Station F(ステーション・エフ)」です。
Station Fは、2017年に世界最大のスタートアップキャンパスとしてフランスのパリ郊外に設立されました。
旧国鉄の貨物駅舎を改装して造られたことからその名が付けられましたが、
・人々が集い交差する場所
・世界に張り巡らされた拠点を結ぶネットワークポイントとしての「駅」
こうした意味も持ち合わせています。
ステーションAiでは、Station Fが掲げる思想と理想をリスペクトしつつ、
・人工知能の「AI」
・愛知県の「AI」
・人の愛を意味する「AI」
こうした意味も加味され、ステーションAiという名前が付けられました。
世界に通用するスタートアップ育成の重要性を語るソフトバンク・宮川 潤一社長
●愛知県だからこそ実現させる意味を持つステーションAi
ステーションAiの構想自体が成功するための要素もまた、愛知県という立地条件にありました。
愛知県は世界一の自動車製造企業であるトヨタを抱え、製造品出荷額推移では全県でダントツの1位です。
その「日本のモノづくりの拠点」である愛知県は、従来から大村秀章知事のもとグローバル拠点都市への模索を行っており、世界中にさまざまなネットワークポイントを持っています。
そのような中、世界を見ても類が少なく、アジア圏においてはほぼ似たようなプロジェクトのないスタートアップ支援拠点の設立は、グローバル社会における日本の発展及び世界進出で大きなアドバンテージとなることが期待されています。
日本のモノづくりを否定するのではなく、モノづくりとITを組み合わせることで新たな力を生み出していく
●日本の若者が世界に羽ばたくための「駅」として
ステーションAiの具体的な取り組みとしては、
・スタートアップや関連企業を誘致
・企業同士の交流や提携のための環境作りを支援
・入居者(入居企業)以外にもオンラインで支援提供
・独自ファンドを設立・運営
・スタートアップ企業の海外展開を支援
こういったものがあります。
調印式のプレゼンの中、非常に印象的だったものにステーションAiのCEOに就任した佐橋宏隆氏の言葉があります。
佐橋宏隆氏
「アメリカの優秀な若者の多くはスタートアップへの就職を希望する。しかし日本では多大企業を希望する。それを変えていきたい」
STATION Ai 代表取締役社長 兼 CEO佐橋宏隆氏
大企業病やそれを引き起こした要因は、企業内部のみに求められるものではありません。
終わりの見えない不況の中、安定を求めてチャレンジを諦めてしまった若者にもまた、遠因はあるように思います。
当然ながら、そういった若者の保守思考もまた、スタートアップが成長できない大企業の論理や社会風土による部分は多くあります。
企業と自治体および政府、社会構造、そして私たち1人1人の意識改革がすべて同時に行われない限り、因習とも取れる社会風土やスタートアップに厳しい世相を変えていくことは容易ではないでしょう。
ステーションAiは、スタートアップ同士やスタートアップと大企業との交流や連携を図る場であると同時に、そういった企業改革や意識改革の場でもあります。
若者を中心とした人々が、日本のみならず世界中から集い、交差し、新たな出発をする「駅」として、ステーションAiが機能することを期待します。
執筆 秋吉 健