グラフィックデザイナーの西出弥加さんと訪問介護の仕事をする光さん夫妻は、夫婦ともに発達障害という特性をもちながら結婚。そして、結婚早々から別居という道を選んでいます。お互いに居心地のいい暮らしのために離れて暮らす夫妻ですが、今回は久しぶりに会ってもその時間はたったの3時間だというその理由についてつづってくれました。


夫の光さんと妻の弥加さん

別居中の夫婦が3か月ぶりに合うも、3時間でお別れ。そのワケは?



発達障害同士で結婚した私たちは、お互いが居心地がいいようにするため別居中です。前日、3か月ぶりに夫が東京まで会いに来てくれたのですが、なんと今回は会ってから3時間で夫は帰宅しました。


片道2時間かけて3時間だけ遊んで、また2時間かけて名古屋へ帰っていく夫…。みなさんは不思議だと思うかもしれませんね。

この日は東京駅付近をふたりで散歩したのですが、東京駅はホテルのカフェまで直通で、地下にもたくさんの飲食店が立ち並び、短時間で濃いデートができて楽しいです。地下通路をうまく使えば素早く1〜2駅先へ移動もできます! そして地上に出ると写真映えする景色も多いです。

じつは発達障害を抱えている私たちは長い時間、人と一緒にいると疲れてしまうこともあるので、夫婦であっても短時間がちょうどいいときがあります。


そしてこの日は一瞬だけ会いに来てくれた理由がありました。それは私の誕生日に渡したいものがあるから、ということでした。

「たまたま時間が空いたから行くよ」というゆるい感じで連絡が来たので、誕生日など気にせず単純に会うのかと思いきや…。


結婚当初、お互いの発達特性が悪い方向に進み、共倒れしてしまう危機が長期間続いてしまい、婚約指輪のことなんてまったく考えていませんでした。

私が以前、ボソッと呟いた「婚約指輪はオモチャが良い、子ども時代に戻ったような気持ちになれて、なんか良い」という言葉をずっと覚えていてくれて、2年越しで渡しに来てくれたのでとても嬉しかったです。

夫は、いざオモチャの指輪を探してみると、なかなか見つからなかったようです。いろんな店舗を回り、仕事の合間で駆けつけてくれた夫に大きな愛情を感じました。

<文・イラスト/西出弥加 構成/西出光>

【西出弥加さん・光さん】



妻の弥加さんは東京在住の絵本作家、グラフィックデザイナー。1歳のときから色鉛筆で絵を描き始める。20歳のとき、mixiに投稿したイラストがきっかけで絵本やイラストの仕事を始める。オフィシャルブログ「私とリトルさやの徒然日記
」、Twitterは@frenchbeansaya