収入減でもコーヒー外飲みの妻に「うっせえわ」 コロナで「金の切れ目が縁の切れ目」?
1年以上続いているコロナ禍は、私たちの生活のさまざまな面に大きな影響を及ぼしています。「コロナ前よりも収入が減った」という人も少なくないでしょう。収入面のマイナスは夫婦仲にも、マイナスの影響を与えている例が多く、「コロナ前と比べて、夫婦仲がギスギスしています」という声を聞くようになりました。
コロナ禍における困窮による「コロナ離婚」。全てをコロナのせいにはできませんが、一因となることもあり得ます。
浪費が止まらぬ妻
「コロナで収入が大幅に減りました」と語るのは寛貴さん(32歳、仮名)。外食産業で働いていて、新型コロナの影響をもろに受けたそうです。
「昨年、月給は1割減程度でしたが、ボーナスがゼロになったのがつらかったですね。ローンの返済はボーナスを当てにしていたので、毎月の支出を抑えて、返済にお金を回し、何とか乗り切っています」
そんな寛貴さんが毎日、不満に思っているのが妻の消費行動です。
「別に、高価な宝石を買うような大きな支出があるわけではないのですが、全体的に財布のひもが緩いんです。例えば、ちょっと出掛けると必ず、コーヒーショップに寄って、コーヒーを飲んでいたり、『新商品は必ずチェックしないと』と言って、コンビニスイーツを頻繁に購入したり。『私って、生活の質を落としたくない人なのよね』と自己弁護しているのを聞くと腹が立ちます。『うっせえわ』って無視したくなる。僕はコーヒーは外で買わずに家飲みしているのに。
妻のことを最近、好きって思えません。ローン返済に困ったら、別れるかって思うときもあります」
今までは気にならなかった、相手との金銭感覚の違いが家計の危機によって明らかになるのはよくある話です。寛貴さんの妻のように、少額の浪費を無意識に垂れ流すタイプは、高額な買い物を決断するタイプよりも消費行動を変えにくいところがあります。寛貴さんの小さな不満の積み重ねが大爆発する前にコロナ禍が収まってくれるといいのですが。
「愛情も信頼もなくなりました」と語気を強めるのは千尋さん(35歳、仮名)。
「夫が私に相談なしに会社を辞めてしまったんです。『友人と起業する』と言い出して、勝手に都内に事務所まで借りて。私への報告は全部終わった後でした。もともとはメガバンクに勤めていたんです。別に会社で問題があったわけでもなく、本人もやりがいがあると言っていたのに、突然の退職。
『なんで、私に相談してくれなかったの?』と聞いたら、『どうしようか悩んでいたら、相談したと思うけれど、やりたいことがはっきりしていたから、相談する必要がなかった』と当たり前のような顔で言うんです。自分の人生は自分一人だけのものと思ってたんだと分かって、ガッカリしました。夫婦は運命共同体なのに」
友人と起業したものの利益ゼロで、貯金から持ち出している状態が半年ほど続いているようです。出産と同時に専業主婦になった千尋さんの収入は現在ないため、家計は1000万円を超える年収から一気にマイナスに。
「2人の子どもは今は地元の小学校に通っていますが、中学は私立を受験しようと思っていました。上の子はもう、塾にも通っています。これからますます、子どもにもお金がかかるのに『どうするつもりなの』って聞いたら、『貯金を使えばいいじゃん』と反省する様子はなし。もう、夫への愛も信頼もなくなりました。
離婚したいぐらいですが、今、離婚しても養育費がちゃんともらえる保証もないので、このまま、今ある貯金を運用したり、夫が自由に使えない口座に少しずつ移しておいたりすることで、私と子どもたちの将来の備えをしておこうと思っています。夫が勝手にやるなら、こっちも勝手にやらせてもらうわって感じです。夫にはもともと“自己中”の面はあったのですが、これまでは目をつぶっていたんです。メガバンク勤めで、ずっと安泰と思っていたのに人生設計が崩れちゃいました」
「2人で夢を語り合う」関係に
「愛は(お金に)勝つ」と断言したいですが、現実の夫婦はお金が減るとともに気持ちがすさみ、思いやりが減ってしまい、それがやがて、夫婦の溝に発展してしまう可能性があるということです。家計が苦しいときこそ、思いやりを持って接しないと不必要な夫婦げんかが増えてしまいます。
一方で、コロナ禍による給与減のため、夫婦で「節約競争」をして、節約自慢の話が増え、関係性がよくなったという夫婦や、2人で投資の勉強をして、会話の幅が広がったという夫婦の話も聞いています。
お金の問題は捉え方次第です。最低限の生活費さえあれば幸せな夫婦、生活費+娯楽と教養費があれば幸せな夫婦、毎月、貯蓄できる金額があれば幸せな夫婦、そして、赤字でも2人で支え合うことで一体感を生み、幸せを感じられる夫婦――。ミリオネアでも不満を感じて、憎しみ合う夫婦もいれば、コロナ禍で失職中でも助け合って、幸せに暮らす夫婦もいることでしょう。“金の切れ目は縁の切れ目”は本当かという問いに「そうです」とは答えられません。
「私(僕)のために頑張って働いてくれる夫(妻)がいとおしい」という気持ちは、お金があってもなくても皆が持つことができる感情です。幸せ度数はお金に振り回されません。「愛は(お金に)勝つ」と信じて、お互いに愛情を注ぎ続けましょう。身の丈に合わない浪費はもっての外ですが、それが夫婦愛の倍増につながる確信があるならば、合意のもとで使ってもいいと思います。
お金の使い方、増やし方を2人で考える時間を夢を語り合う会話タイムに昇華できる夫婦は最強ですね。