ドイツ代表の貢献度ランキングで上位に名を連ねたG・ミュラー(左上)、マテウス(右上)、ベッケンバウアー(左下)、ラーム(右下)。(C) Getty Images

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【識者選定 ドイツ代表レジェンドの貢献度ランキングTOP10】
1位:ゲルト・ミュラー(FW):62試合・68得点[1966〜1974年]
2位:ローター・マテウス(MF):150試合・23得点[1980〜2000年]
3位:フランツ・ベッケンバウアー(DF):103試合・14得点[1965〜1977年]
4位:ウーベ・ゼーラー(FW):72試合・43得点[1954〜1970年]
5位:フィリップ・ラーム(DF):113試合・5得点[2004〜2014年]
6位:ミロスラフ・クローゼ(FW):137試合・71得点[2001〜2014年]
7位:バスティアン・シュバインシュタイガー(MF):121試合・24得点[2004〜2016年]
8位:パウル・ブライトナー(MF):48試合・10得点[1971〜1982年]
9位:ギド・ブッフバルト(DF):76試合・4得点[1984〜1994年]
10位:マヌエル・ノイアー(GK):96試合・0得点[2009年〜]

 正確なトラップで相手の逆を突き、腰を捻りながら決めた74年ワールドカップ・ファイナルでの伝説の決勝弾に、代表通算62試合で68ゴールという驚異の決定力――。ドイツの歴代ナンバー1レジェンドはG・ミュラーだ。

「デア・ボンバー(爆撃機)」の異名を取った不世出の点取り屋は、60〜70年代の代表チームに文字通り偉大な足跡を残した。

 これに続くのは、150キャップという歴代最多記録を打ち立てたマテウスだろう。
20年という長期に及んだ代表キャリアのハイライトは90年W杯だ。ダイナミックに攻守を牽引し、マラドーナのアルゼンチンに雪辱を果たしてドイツを世界王者に導いた。

 ユーゴスラビアを4-1で撃破した初戦のハイパフォーマンスは、優勝への道筋を付けたという意味でも鮮明に記憶に残る。
 
 リベロの始祖とも謳われる“皇帝”ベッケンバウアーをマテウスより下に位置付けたのは意外に思われるかもしれないが、激しい肉弾戦が繰り広げられた80〜90年代のピッチで、正確なビルドアップを見せていたマテウスの価値は高い。

 もちろん、74年W杯、その2年前のEUROを制した黄金時代の象徴がベッケンバウアーであり、彼を中心とした72年の代表チームは歴代最強と謳われている。

 歴代7位の43ゴールを奪ったゼーラーは58年から4大会連続でW杯に出場し、3大会でキャプテンを務めた偉大なリーダーだった。近年の偉大なキャプテンと言えばラームだ。世界王者に輝いた14年W杯では、守備的MFにSBとピッチでのマルチな貢献も際立った。

 ラームとともに頂点に立ったクローゼとシュバインシュタイガーが6位と7位だ。前者はドイツ歴代最多得点記録(71ゴール)にW杯通算最多得点記録(16ゴール)と決定力を見せつけた。後者は、ポゼッションスタイルを取り入れ近代化を果たした新時代の基盤に。

 歴代の名手を語るうえで忘れてはならないのがブライトナーだ。74年W杯の決勝で同点に追いつくPKを任されたように、タレント揃いのチームのなかでもその影響力は絶大だった。90年W杯の決勝でマラドーナを封じたブッフバルト、華麗な足技と守備範囲の広さでGKの概念を書き換えたノイアーもフットボール史に残るレジェンドだ。

文●マルクス・バーク(フリーランス)
翻訳●円賀貴子
※『ワールドサッカーダイジェスト』2021年1月21日号から転載