巨人とDeNAの決定的な差とは 元巨人コーチは「凡打への意識の違い」指摘
プロ野球の巨人が首位を快走している。2020年のレギュラーシーズンの3分の1を消化し、貯金は「10」となっている。快調巨人を4ゲーム差で追うのが2位DeNAだ。巨人を上回るチーム打率を誇り、巨人追撃の一番手とみられるDeNA。中盤戦以降、DeNAは巨人を捕らえることが出来るのか。そして巨人との「決定的な差」とは...。J-CASTニュース編集部は、巨人で戦略コーチを務めた橋上秀樹氏(54)に聞いた。
「ワンプレー、ワンプレーに雑な面が...」
DeNAは8月に入ってから8勝6敗、直近のヤクルト3連戦(8月14日〜16日)では1勝2敗と負け越した。初戦は大貫晋一投手(26)が好投し6−2で勝利。第2戦はエース今永昇太投手(26)が4回持たずにKOされ、第3戦は平良拳太郎投手(25)が3回3分の2を投げて6失点と試合を作れなかった。
橋上氏がDeNAの課題として指摘するのが、第3戦の4回の守備の場面。平良は1死3塁から山中浩史投手(34)に四球を与えた。山崎晃大朗外野手(27)のセイフティースクイズ失敗後、山田哲人内野手(28)に3塁線を破るタイムリーツーベースを許した。ここでレフトからの中継が乱れ、1塁走者の山中がホームへ。2点を失った平良はさらに2本のタイムリーでこの回4点を失った。
「DeNAのプレーを見ていると、ワンプレー、ワンプレーに雑な面が見え隠れしている。あの場面はしっかり中継プレーが出来ていれば、かなりの確率でアウトに出来たと思います。ホームでアウトに出来ていればこの回は1失点ですんだが、やれることが出来なかったためにさらに追加点を許してしまった。さらに上を目指すには、アウトに出来る場面できっちりアウトを取る野球を徹底するべきですね」(橋上氏)
「巨人は少ないヒットでも点に結びつける」
打撃においてDeNAは強打者が揃っており、チーム打率はトップ広島の.272に次ぐ.270をマークし、チーム本塁打は巨人の68本に次いでリーグ2位の56本を記録している。その一方でチーム得点はリーグ4位となっており、橋上氏はDeNAが抱える課題を次のように指摘する。
「現状を見ると、DeNAは得点効率が悪いです。チーム打率2割7分のDeNAに対し巨人は2割5分。3試合少ない巨人の方がDeNAよりも得点が多い。常にヒットで点を取るのではなくて、考え方に柔軟性を持った方がよいと思います。野球は点を取るスポーツでありヒットを打つスポーツではない。ランナーをいかに効率よくホームに迎え入れるかが課題となるでしょう」(橋上氏)
また、橋上氏は巨人とDeNAの「決定的」な違いに言及した。
「巨人は少ないヒットでも点に結びつける。ベンチの采配であったり選手の意識であったりするものだが、DeNAは凡打でも点が取れるということをもう少し選手各自が頭の中に入れれば、得点効率が上がると思います。ここが巨人の攻撃陣とDeNAの攻撃陣の大きな違いだと思います。打線を線でつなげるためには、凡打でいかにランナーを進めるか、凡打でいかに点を取るか。打線のつながりは、ヒットとヒットでつなぐという意識よりは、ヒットとヒットの間に入ってくる凡打をいかに有効な凡打にするかが大事になってくる。点を取るための術を個々が意識するようになればおのずと上が見えてくると思います。逆転の目は十分にある」(橋上氏)