セクシー女優にとって避けて通れない「家族」の問題。そんなセンシティブなテーマに、正面から取り組んだ書籍『AV女優の家族』が話題だ。現役人気女優の白石茉莉奈が、知られざるエピソードを語る――。

 幼いころから抱いていた夢をかなえ、ジュニアタレントとしてティーン向けファッション誌で活躍した、白石。高校生のときには人気CMにも出演したが、「普通の女の子の生活がしてみたい」と芸能活動を一時休業し、その後、結婚・出産を経験した。「若いママになりたい」というのも、もうひとつの夢だったからだ。

 しかし、なにかが物足りない。毎日が幸せだけど、やっぱり外に出たい、仕事がしたい――。そんな思いが湧いていた矢先、AV女優の事務所にいた友人から、誘いを受けた。

「『続いても1年くらいかな』とか『バレる前にやめよう』って思ってましたね。家族にも、主人にも、自分の兄弟にも内緒で、『バレませんように』っていうスタートでした」

 華々しくデビューしたが、ほぼ同時に家族にバレて、家族会議が開かれることになる。

「AV女優としてのファースト写真集に、サインするっていう宿題が出て、自宅のベッド下に写真集を隠していたのですが、すぐママに見つかっちゃいまして。

 で、その写真集の画像が送られてきて『名前違うけど、これ、そう?』って。それで、実家に呼ばれて『家族会議を開きます』って(笑)」

 両親は普通のサラリーマンに、普通の専業主婦。「どうするんだ、これから」「旦那や子供は知ってるのか」「あなた自身はどうなりたくて、この仕事に就いたの?」と、質問攻めにあった。

「とくに、母親の動揺は激しかったです。理解されないし、応援されないだろうけど、わかってもらいたいという気持ちを、素直にストレートに伝えました。

 父は『まぁ、一度の人生だから、決めたんだったらもう大人だし、とりあえずサポートできる範囲でやってみるけど、もちろん、そんな長くは続けないよね?』と、一応の理解を示してくれました」

 いまも現役の人気女優であり、結婚生活も続いている彼女。目覚ましい活躍を続けるなか、夫は知らないフリをしてくれているのだろうか?

「旦那さんは今も海外赴任中で、まだ知らないと思います。でもいよいよ、帰国するかもしれない状況になってきて、なんて言おうかなって思ってます。

『AV女優のお仕事をしてます。楽しいです。でもまだやめたくないです』っていうのは、もちろん伝えるつもりですけど。でも、『最悪の場合、離婚することになったらどうしよう』って、最近やっと考えはじめて」

 さらには、小学5年生の男の子の母でもある。

「息子には、まだきちんと話したことはないんですけど、『もしかしたら気づいているかもしれない』と思います。男同士だし、先に息子とパパだけで話をしていたり、というのもありそう。まず2人で話し合ってから、私のところに確認しに来そうだなっていう気もしていて……」

 それまで作り上げてきた人間関係をすべて失うことを承知で「それでも挑戦したい気持ちが勝っていた」という彼女は、AV女優という仕事を「天職」ととらえている。これからも、さらなる新しい道を、切り拓いていくつもりだ。

しらいしまりな
1986年8月10日生まれ 小学生のときに芸能界入りし、CMなどに出演後、芸能活動を休止。休業中に結婚、出産。夫と子供に内緒で2013年にAVデビュー。2015〜2019年にはセクシーアイドル集団「恵比寿★マスカッツ」の第2世代メンバーとして活躍した

取材&文・寺井広樹

※『AV女優の家族』は光文社新書より発売中

(週刊FLASH 2020年7月21日号)