【ファンキー通信】古今東西の妖怪を徹底解剖!? 生物学で解き明かせ!

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 河童やろくろ首といったら、普通に考えれば空想上の生き物・・・。でも、それを至極マジメに生物学的視点から解説している本が、今密かに話題になっているのをご存じだろうか? そのユニークな内容と、実在するのではないかと思ってしまうほど巧妙な生物学的解説が、妖怪ファンを中心に子どもから大人まで幅広くウケているらしい!

 その話題の本が『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか』(新潮社)。本には、ろくろ首、人魚、カオナシ(『千と千尋の神隠し』より)など日本でおなじみの妖怪から、ドラキュラ、ケンタウロスなど西洋の怪物まで登場する。その生物の特徴を紹介した上で、生物学の理論を駆使して、生物たちの存在を解説していくのだ。「人魚=人と魚の体はどのように融合したか?」「ケンタウロス=人間の胴体はどのように馬からつながったか」など、ひとつひとつに対して持論を繰り広げる。著者なりのユーモアなのだが、その考察のあまりの真剣ぶりに、「この生物って本当にいるかも!?」という錯覚すら覚えてしまうほど。そう思ってもらえれば、シテヤッタリ! 著者も思わずニヤリといったところだろう。

 著者である、東京理科大学講師の武村政春さんは、子どもの頃から水木しげるさんの大ファンだったという。そもそもなぜ、妖怪と生物学を結びつけようと考えたのでしょう?

 「水木さんが描き出す多種多様な妖怪の世界にのめり込みました。そして、もうひとつ大好きな生物学があった。その二つが、あるとき合体したというだけのことです。現在は、妖怪を題材にした映画なども作られ、ちょっとした妖怪ブームではありますが、私としては世間の潮流に流されず、これからも独自の視点で妖怪を見つめていこうと思います」(武村さん)

 なるほど〜。妖怪に対する強い愛情と熱意を感じます。今後は、どのような活動をされていくのでしょうか?

 「4月から大学で生物学教育に携わることになりました。今後は、難しい点も多いと思いますが、教材として生物学教育に妖怪を取り入れられたら良いと考えています。また妖怪を通じて、多くの人に生命や人間とは何かということについて考える楽しさを知ってもらえれば、うれしいです」(同)

 皆さんも、妖怪の存在から“生命の神秘”を感じてみませんか?(石橋夏江/verb)

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