アメリカ・シアトルに住んで十数年。子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、現地で話題のフードやライフスタイルを紹介してもらいます。

日本では潮干狩りと聞くと夏の風物詩といった印象がありますが、シアトルでは、肌寒い季節こそが本番。今回はその潮干狩りの様子と、日本人は聞き慣れないシアトルのご当地グルメ、レーザークラムについて教えてもらいました。


シアトルの冬の風物詩・レザークラム狩り

シアトルのご当地グルメの貝「レザークラム」とは?



●秋から春までの旬の味覚

肌寒い時期、シアトルの人たちがこぞって出かけるのが、レーザークラム狩り。


レザークラムは、日本でマテ貝と呼ばれる細長い貝と近いとされますが、見た目は全然違います。黄土色のような殻をもち、大人の手のひらほどの大きさ。中には大きな身が入っています。
この殻はとてももろく割れやすいので、傷つけないように収穫するのは大変。

砂の中に深く潜っているため、通常は「クラムガン」と呼ばれる道具をスポーツ用品店などで購入し、貝がいる目印となる小さな穴を砂浜で見つけたら、このクラムガンを回しながら押し込みます。クラムガンを引き抜いたら砂と一緒にレーザークラムが取れる仕組み。

クラムガンを上手に深く、真っ直ぐ砂の中に入れないと、殻に当たって潰してしまう恐れがあります。

クラムガンを砂の中に入れるのも引き抜くのも、かなりの力が必要で、小さな子どもには難しいかも。わが家の場合も、小学生の息子は収穫したレーザークラムを網に入れて持ち運ぶ係に徹していました。私もクラムガンに挑戦しましたが、序盤で力尽き、あとは全面的に夫におまかせすることに。その代わり、料理と下ごしらえを担当しました。

●レーザークラム料理の下ごしらえ


レーザークラム狩りにはライセンスが必要で、ひとり15個までと収穫量に制限もあります。それでも、まとまれば結構な量です。流水で洗ったあと、クーラーボックスの塩水に浸し、まずは砂抜き。


細長い口がびよ〜んと出てきて、動きが活発になると、ピュッピュッと水を吹いてきます。入れておく容器にフタがなければ新聞紙などをかぶせておかないと、辺りは水浸しとなってしまうほど。見た目はかなりグロテスクです。




そのまま半日、あるいはひと晩置き、食べる量だけ、むき身にしていきます。殻はやわらかいので身を出すときは、手でむくだけでOK。あくまで自己責任ですが、むいたそのままを薄く切り、刺身にしてわさびじょうゆで食べると絶品。お酒が進みます。

殻ごと焼いて、しょうゆをたらしても美味でしたが、アメリカ人の夫には不評でした。いわゆる浜料理のようなものだと思うのですが、あまりなじみがないのかもしれません。

●ぜいたくクラムチャウダー


バターソテー、フライがアメリカでは一般的な食べ方ですが、家族にいちばん喜ばれたのはクラムチャウダー。これはアメリカの貝料理の定番ですね。

以下、参考までにレシピをご紹介します!



【材料(4人分)】

・レーザークラム(アサリなどで代用可) 適量

・白ワイン 適量

・牛乳 1リットル

・バター 大さじ2

・ジャガイモ(さいの目切り) 2個

・タマネギ(薄切り) 1個

・ニンニク(みじん切り) 2片

・ベーコン(細切り) 約200グラム

・ローリエ 1枚

・小麦粉 1/2カップ

・塩・コショウ 適宜

・水 1カップ

・コンソメスープの素 1個

【つくり方】



(1) フタつきのフライパンでレーザークラムを殻のまま、バター半量、白ワインで酒蒸しにする。蒸し汁も取っておく。



(2) 深めのスープ鍋でベーコンに焼き色をつけてから、ニンニク、タマネギ、ジャガイモ、残りのバターを入れて炒め、塩・コショウする。



(3) 野菜に軽く火がとおったら小麦粉を加え、さらに炒める。牛乳を小分けにたしていき、よく混ぜたら、(1)の蒸し汁、コンソメスープの素と水、ローリエを加え、ひと煮立ちさせたあと、弱火にして約15分煮る。



(4) 殻から外したレーザークラムの身を入れ、塩・コショウで味を調えたら火から外し、スープ皿に取り分けて完成。





お好みで、キノコ各種、セロリ、ニンジンなどを入れるのもおすすめです。ぜひお試しください!

【Norikoさん】

アメリカ・シアトル在住で現地の日系タウン誌編集長。フリーランス・エディター/ライターとしても、日米のメディアに旅行情報からライフスタイル、子育て事情まで多数の記事を寄稿する。著書に『アメリカ西海岸ママ〜日本とは少し違うかもしれない、はじめての妊娠&出産〜
』(海外書き人クラブ)、共著書に『ビックリ!! 世界の小学生』
(角川つばさ文庫)。