新型コロナウイルスが感染拡大し、収束のめどが立ちません。感染に気をつけることはもちろんですが、先々の景気悪化についても不安が叫ばれています。

節約アドバイザーの丸山晴美さんに、いま私たちができる備えについて教えてもらいました。


先々の景気を考えたら不安になる人も多いはず(※写真はイメージです。以下同)

来る夏のボーナスカットの可能性も念頭に入れた家計の見直しのすすめ



新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、1日1日状況が変わっています。外出自粛への動きがさらに強化され、トイレットペーパーや食材を求め、人が店頭に殺到するなど、冷静さと余裕さが失われつつあると感じています。

現時点で、政府では所得補償や1人10万円の現金支給や、「お肉券」「お魚券」といった緊急経済対策も検討されていますが、あまり現実的ではない案ばかりでモヤモヤしている方も多いかと思います。こうしたモヤモヤを抱える多くの生活者が、政府を頼ることを諦め、自己防衛のために行動した結果が、商品の品薄なのかもしれません。

とはいえ、目先の心配ばかりはしていられません。この影響で業績が伸びる企業もあればそうでない企業もあります。業績が悪化すれば、当然、夏のボーナス、長期化すれば、冬のボーナスが減額される可能性があり、最悪ボーナスゼロも視野に入れなければいけない業界もあるはずです。
あらかじめ労働契約や就業規則等でボーナスが支払われると決まっていれば、ボーナスは支払われますが、企業の業績によってボーナスの支給額が左右される場合は、いま早急に見直しをしていくことが必要です。

●ボーナス依存度が高い家計は要注意。ボーナス分のお金の調整を


とくにボーナス依存度が高い家計はすぐさま見直しをしてください。ボーナス依存度が高い家計とは、「ボーナス払いで住宅ローンやクレジット払いを利用している」、「毎月の生活費が給料ではたりず、その補てんにボーナスを充ている」家計のことです。

わかりやすく言いかえると、ボーナスが貯蓄に回わらずに、支払いや消費に回っている家計のことです。なぜボーナス依存度が高い家計が危険かと言えば、家計の体力がボーナス頼りであり、その支給額が減ってしまうと家計が回らなくなってしまう可能性があるからです。

この夏の住宅ローンなどのボーナス払いで引き落とされる予定がすでに決まっているお金は、別途貯蓄をして備えておいて引き落とし口座に入れておきましょう。クレジット払いではボーナス払いを選択しない。またボーナスをあてにした大きな買い物などの計画は延期するなどして、確実にボーナスが入金された後に計画を立てるように調整しましょう。

●クレジットカード払いも危険。支払いを先延ばしにしない家計に

月々の収入ではやりくりできず、たりない生活費の補てんにボーナスを使っている場合は、毎月の収入で貯蓄ができるように見直すことが先決です。
なかでもより注意すべきは、クレジットカード払いをメインに利用し、引き落とし分をその月の給料から支払い、その月の生活費はクレジットカードで支払って…と、クレジットカードの支払いと利用で月の収入が自転車操業状態になっている家計です。

翌月の収入をあてにしたクレジットカードの利用方法なので、収入が減ったときに家計が回らなくなる恐れがあります。最悪の場合、払いきれないクレジットカードの請求をリボ払いにして、その後リボの残高が増えていくという悪循環になりかねません。

だからこそ今のうちに一度クレジットカードの清算をしましょう。デビットカードやチャージ式の電子マネーやQRコード決済にして、支払いを先延ばしにしない家計に修正することをおすすめしています。

●今だからこそやっておきたい固定費の見直し

そして、今だからこそ改めて全体の固定費を見直していきたいですね。

費目としては、住居費や保険料、教育費、公共料金といった毎月かかる固定費です。毎月の固定費が収入に対して大きくなるほど、生活費や貯蓄にまわるお金が少なくなり、ボーナスだけではなく月の収入が減ったときにも家計が立ち行かなくなる可能性があります。
思いきった費目のリストラ策も必要となるかもしれませんが、健全な家計のためには避けては通れないところです。

外食、レジャー、し好品、スマホ課金、定期購入、定額サービスといった、積もれば大きな金額になる出費も見直ししやすいところです。
もちろん、コロナショックの影響ですでに削りながらやりくりしている家庭も多いかもしれません。大事なのは、それぞれの優先順位や予算を決めて、できるだけ出費を抑えて、その分を貯蓄に回すようにすることです。1つあたり、1か月あたりは大きな金額ではなくても、年単位で考えると大きな金額になるはずです。

冷静ながらも危機感を持ちつつ、日々の生活や健康管理だけではなく、家計の健康管理も忘れずに行っていきたいですね。

●教えてくれた人
【丸山晴美さん】


節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー。所持資格はFP技能士2級、宅地建物取扱主任士(登録)、調理師、消費生活アドバイザーなど。クックパッドニュースで「丸山晴美の食費節約レッスン」
のの連載を持つ。著書に『定年後に必要なお金「新・基本のキ」』
『簡単! しっかり貯まるお金の基本』
(共に宝島社刊)、新刊『50代から知っておきたい! 年金生活の不安、解消します』
など多数