関連画像

写真拡大

大津市の小学校で実施されたいじめ防止授業で、講師の弁護士がした「この中にも同性愛者がいる」という発言が「配慮を欠いている」と報じられ、波紋を呼んでいる。

今回の騒動を報じた共同通信の記事(12月23日)に対して、ネットでは「何が悪いのか」と指摘が相次いでいる。

授業終了後、保護者から意見は寄せられていないが、市教委は今回の経緯と再発防止について、23日にも生徒を通じて保護者に文書を配布するという。

一体何があったのか。大津市教育委員会と滋賀県弁護士会に詳しい事情を尋ねた。

●アウティングについて紹介する中での発言

大津市教委の児童生徒支援課によると、今回報道された発言がなされたのは、11月に大津市立小で高学年を対象に行われた「いじめと人権」がテーマの講演。

講演で弁護士が「どういった行為がいじめに当たるか」と呼びかけたところ、児童から「暴言」という答えがあった。

その際に、暴言でなくても人を傷つけてしまう事例として、弁護士は「同性愛の方が、好きな人に告白したら、告白された相手がその内容をLINEに流してしまった。それで自死されたケースもあり、そういう言葉は選んで人を傷つけないようにしましょうね」と性的指向や性自認を本人の了解なく第三者に暴露する「アウティング」について紹介。

その流れで「同性愛者は100人に1人いると言われているから、この中にもいるかもしれません」といった発言が出たという。

●「発言や話題自体が問題ではない」

市教委によれば、学校担当者が市教委に提出する実施報告書の中で、改善希望欄に記載があったことで発覚したというが、滋賀弁護士会の竹下育男副会長は、市教委が共同通信から問い合わせを受け、そこで初めて連絡があったと話す。

大津市教委、滋賀県弁護士会、いずれの担当者も、発言や話題自体が問題ではなく、事前に児童にどう伝えるか打ち合わせがなされないまま話されたことについて「配慮を欠いていた」としている。

「事前の弁護士と学校で行った打ち合わせでは、LGBTや同性愛について話すことは決まっていなかった。小学校5、6年生全員が理解しているような話題ではない。そこも踏まえて、発達段階に応じた心情などに配慮し、どう伝えたらいいかというのを話した上で、こうした話題は伝えていかなければならない」(市教委)

「弁護士の判断だけではなくて、学校でクラスの雰囲気や実態を分かっている教員が、児童の様子などをしっかり共有させていただいた上で、話さなければならなかった。そこが詰めきれていなかった」(市教委)

竹下副会長は「性の多様性についての授業をしているかどうかを認識しないまま、いきなりそうした話をした。小学校の5、6年生を相手にしての授業であり、理解してもらうための前提を欠いた状態で発言したことについて、配慮を欠いたと共同通信の取材に話した」と説明した。